こんにちは!
ワールドインワーカー株式会社の神成です。
先日、特定技能「外食」分野における新規受け入れ停止措置が大きく報道され、日本における外国人受け入れのあり方について改めて注目が集まりました。
SNSやニュースサイトのコメント欄では、
「外国人を採用する前に日本人を採用すべきだ」
「日本人の雇用を奪うのであれば、外国人は必要ない」
といった厳しい意見も多く見られました。
一方で、私たちが日々向き合っている外食業界では、深刻な人手不足が続いています。実際に採用現場に立っていると、世論で語られる内容と、現場で起きている課題との間に大きなギャップを感じることも少なくありません。
そこで今回、私たち特定技能人材の受け入れ支援に携わるメンバーが集まり、
「なぜ外国籍人材の受け入れが必要なのか」
「そもそも日本は外国人受け入れを進めるべきなのか」
というテーマについて、当事者の立場から率直に議論してみることにしました。
ワークショップでは、「若年層が減少し続ける日本の現状が十分に理解されていないのではないか」「そもそも日本人・外国籍という属性で人を区別して考えること自体が本質的な課題ではないか」といった社会構造に関する議論から、「だからこそ、現場の実態を知る私たち自身が発信していくべきだ」「外国籍人材と共に働くことの価値を、もっと社会に伝えていくべきだ」という意見まで、立場や経験の異なるメンバーからさまざまな考えが飛び交いました。
議論を進める中で改めて感じたのは、このテーマに単純な正解はないということです。
人手不足、人口減少、地域経済、共生社会、教育、文化の違い――。
外国人受け入れを巡る議論は、さまざまな課題が複雑に絡み合っています。
それでも、私たちは日々外国籍人材と企業の間に立ち、多くの成功や失敗、葛藤と向き合っている当事者です。
だからこそ、ニュースやSNSだけでは見えない現場のリアルをもとに、「日本はこれからどうあるべきなのか」を真剣に考えてみたいと思いました。
この記事では、当日の議論の様子や各チームの意見、そして最終的に私たちがたどり着いた結論を包み隠さずお届けします。
ぜひ最後までご覧ください!
現場で起きている「すれ違い」の正体
ワークショップでは数名ずつのグループに分かれ、まず「外国籍人材の受け入れにおいて、現場で何が課題になっているのか」を話し合いました。
そこで多くのチームから共通して挙がったのが、企業や地域社会と外国籍人材との間にある「コミュニケーションのすれ違い」でした。
あるグループのメンバーは、日頃の企業様とのやり取りを振り返りながらこう話しました。
「企業様と接していると、『外国の方との接し方が分からない』という悩みを本当によく聞きます。悪意があるわけではないんです。ただ、どう指示を出せば伝わるのか、日本語をどこまで理解しているのか、自分たちの接し方はこれでいいのか。そういった不安や戸惑いを抱えている方が多いと感じています」
実際、その戸惑いが原因で必要以上に気を遣ってしまったり、逆に距離を置いてしまったりするケースも少なくありません。
その結果、本来であれば自然なコミュニケーションで解決できることが、「外国人だから難しい」という認識に変わってしまうこともあります。
しかし、私たちが日々支援を行う中で感じるのは、多くの場合、問題の本質は国籍ではなく「相互理解の不足」にあるということです。
日本人同士でも価値観や考え方が異なるように、外国籍人材との間でも最初は分からないことがあって当然です。
だからこそ私たち支援機関には、企業様と外国籍人材の間に立ち、双方の理解を促進する役割があります。
「特別扱いをするのではなく、フラットに接すること」
「気を遣いすぎるのではなく、自然にコミュニケーションを取ること」
こうした当たり前の関係づくりをサポートすることも、私たちの大切な仕事の一つです。
外国籍人材に関するニュースでは、トラブルや課題が取り上げられることが少なくありません。
しかし、その背景には単純な対立ではなく、お互いをまだ十分に理解できていないことによる「すれ違い」が存在しているケースも多くあります。
だからこそ、私たちは現場で起きているリアルな課題に向き合いながら、企業様・外国籍人材・地域社会の間にある見えない壁を少しずつ取り除いていく必要があるのです。
リアル:世論の「反発」と、変わりゆく日本の景色
グループワークが進む中で、あるメンバーから共有された実体験が特に印象的でした。
そのメンバーの実家は、山中湖・河口湖エリアにほど近い地域にあります。近年、インバウンド需要の増加に伴い、地域には外国籍の住民が目に見えて増えてきたそうです。
しかし、その変化は地域に歓迎ムードだけをもたらしたわけではありませんでした。
「最初は地域の高齢者の方々を中心に反発も多くありました。『なんでこんなに外国人がいるんだ』という声も実際に聞いていました」
SNSやニュースのコメント欄で見かけるような意見は、決してインターネット上だけの話ではなく、現実の地域社会にも存在していたのです。
ところが、その景色は数年で大きく変わりました。
ゴールデンウィークに帰省した際、そのメンバーが目にしたのは、以前とはまったく異なる地域の姿でした。
廃校となった小学校は外国籍の方々を受け入れる日本語学校へと生まれ変わり、その周辺の飲食店や観光施設では、多くの外国籍人材が働いていました。
地域を支える重要な担い手として、外国籍の方々が自然に溶け込んでいたのです。
特に地方では、人手不足がすでに「将来の課題」ではなく「今そこにある課題」となっています。
・働き手が不足し、お店が営業できない
・サービスを維持できない
・地域そのものが成り立たなくなる
そうした現実を目の当たりにする中で、地域の人々の意識も少しずつ変化していったといいます。
「深刻な状況になって初めて気付くこともあると思います。でも、気付いた時にはもう手遅れだった、ということにはなってほしくないんです」
この言葉に、多くのメンバーが頷いていました。
外国籍人材の受け入れについて議論するとき、私たちはしばしば賛成か反対かという二択で考えてしまいます。
しかし現場で起きているのは、もっと複雑で現実的な問題です。
人口減少が進み、人手不足が深刻化する中で、地域や産業を維持するためには何が必要なのか。
その問いに向き合ったとき、外国籍人材の存在は単なる労働力ではなく、日本社会を支える重要なパートナーとして見えてきます。
「日本人か、外国人か」という問い自体が間違っている
議論が深まるにつれ、視点はさらにマクロな社会構造へと移っていきました。
あるグループからは、世論の前提そのものに対する鋭い指摘がありました。
「そもそも、『日本の若者が圧倒的に少なくなっている』という現状を、世間の人たちが十分に理解していないのではないでしょうか。だから冷たい意見が出てしまう。もっと根本的に、日本の現状や外国籍の方々の活躍を発信していかなければ、何も変わらないと思います」
さらに、こんな意見もありました。
「根本的に、日本人と外国籍という属性で分けること自体が、日本社会の課題だと感じます。労働力不足という不可逆な現実があり、世界の動きを見ても、多文化共生社会へ向かう流れは避けられません」
私たちが支援している企業様の中には、外国籍スタッフが店舗の中心メンバーとして活躍しているケースも少なくありません。
店長候補として育成されている方もいます。
日本人スタッフの教育を任されている方もいます。
外国籍スタッフの活躍によって、店舗運営や事業拡大が実現できている企業様もあります。
現場ではすでに、「日本人だから」「外国人だから」ではなく、「その人がどんな能力を持ち、どんな価値を発揮しているか」が評価基準になり始めています。
私たちは日々、その現実を見ています。
だからこそ、一部のネガティブなニュースだけを切り取って語るのではなく、実際に起きている成功事例や共生の姿を社会に伝えていく必要があるのだと感じました。
私たちが導き出した結論:現場のリアルを、もっと社会へ
各グループの発表を終え、私たちがこのグループワークを通じて導き出した結論。
それは、「実態を知る私たち自身が、もっと発信していくべきだ」というものでした。
「世間では色々と言われていますが、私たちは『外国籍スタッフのおかげで店が回っている』『彼らの成長によって売上が伸びている』という事実を知っています。であれば、その活躍している姿や企業との成功事例を、もっと社会に伝えていくべきだと思います」
グループ全体が深く頷き、チームの意志が一つにまとまった瞬間でした。
特定の国籍だからという理由だけで判断されるのはおかしい。
日本人であろうと外国人であろうと、同じ一人の人間です。
その人の魅力や技術、努力や可能性を見て評価される社会であるべきだと、私たちは考えています。
そのためには、まず知ってもらうこと。
拒否する前に見てみること。
批判する前に理解してみること。
私たちは、そんな社会を少しでも広げていくために、これからも現場のリアルを発信し続けていきます。
編集後記
今回のグループワークを通じて、私たちは改めて、自分たちの仕事が単なる人材紹介ではないことを実感しました。
私たちが向き合っているのは、人手不足という社会課題であり、多様な人々が共に働ける社会づくりそのものです。
世間にはまだ偏見や誤解があるかもしれません。
それでも、現場の最前線でリアルを見ている私たちだからこそ伝えられることがあります。
国籍ではなく、一人ひとりの可能性を見る社会へ。
違いを排除するのではなく、違いを受け入れながら共に成長できる社会へ。
ワールドインワーカーは、そんな未来を本気で実現したいと考えています。
この記事を読んで少しでも心が動いた方。
ぜひ私たちと一緒に、「はたらくからはじまる、共生できる世界」をつくっていきませんか?