こんにちは、未来開発室の米山です!
11月7日(金)、福岡大学商学部・飛田先生の「アントレプレナーシップを学ぶ」という授業にて、弊社・原口がゲストスピーカーとして登壇いたしました。
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この授業では、コウダプロの商品企画・開発の考え方をお伝えし、半期を通して学生のみなさんに新しい商品企画を立てていただき、最終的に発表していただきます。
飛田先生は、弊社の新卒第1号である原口の恩師でもあります。原口だけでなく、コウダプロという会社としても長くご縁をいただいており、今回このような貴重な機会につながりました。
コウダプロ参加回は全3回構成で、最初は代表・幸田のスピーカー回、次がヒット屋部長・原口のスピーカー回、そして最後が学生さんによる発表回です。
✨第1回はこちら!
🏫飛田先生とコウダプロの関係については、こちらの記事でもご紹介されています。
それでは第2回、原口のゲストスピーカー回の様子をお届けします!
アイデアからリリースまでの8ステップ
私自身、あまり商品開発のステップを意識したことはなかったのですが、コウダプロの商品開発プロセスを整理すると、8つのステップに集約できることに気づきました。
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8つのステップ
1. 事業機会の探索
まずは「こんなものがあったらいいのに」というアイデアの種を見つけることから始まります。
ここで意識しているのは“ニッチ市場”を狙うことです。
なぜニッチ市場を狙うのか
リソースが限られたベンチャー企業が成果を出すためには、競争を避けて集中的に戦える“すき間市場”で勝負するのが最も合理的です。
「みんなが欲しいもの」を目指すのではなく、「100人に1人しか欲しがらないけれど、その1人は確実に熱狂してくれるもの」を探します。そして、ファンを作っていくことが、コウダプロが企画を考える上で、欠かせない視点のひとつです。
自分ごと化の重要性
企画が成功するかどうかは、「開発者がどれだけ本気で取り組めるか」に強く左右されます。成果を出すという合理性だけでなく、開発者自身の強い「熱意」や「愛」が企画を前に進める原動力になります。
つまり、そのプロジェクトを“自分ごと”として扱えるかどうかが重要です。コウダプロでも、自分や身近な人の“切実な悩み”を起点に生まれた企画ほど成功しています。
2. 課題の深掘り
次に、「なぜその課題は存在するのか?」を徹底的に掘り下げます。
課題の本質や、どこにテコ入れすれば状況が変わるのかを見極めるフェーズです。
3. ニーズ調査
「このアイデアは本当に求められているのか?」を検証します。といっても、弊社では大々的な市場調査は行いません。
ターゲットとなる3人だけに話を聞いて、「それ、欲しい!」と言ってもらえれば、調査は完了です。3人が欲しがるなら、日本中を探せばもっとたくさんの人が欲しがるはずだ、という考え方です。
4. 商品開発
ここからようやく、モノ作りが始まります。まずは手作りで構わないので、簡単なプロトタイプ(試作品)を作ることが重要です。
実物があるとないとでは、議論の深さが全く変わります。そして、具体的な形が見えてきたら、それを実現してくれる技術を持ち、私たちへの想いに共感していただけるパートナー企業を探します。
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5. 改良・商品化
一度作ったプロトタイプを、徹底的に改良していきます。商品が完成するまで、絶対に妥協はしません。
弊社ではあえて発売スケジュールを厳密に決めないのですが、それは「納期を守るために、商品の完成度を犠牲にする」ことを避けるためです。
また、この段階で商品の価値が一瞬で伝わるネーミングを考えることも非常に重要です。
6. テストマーケティング
完成した商品に値段をつけ、実際に売れるかどうかを試します。
アスガールを1個300円でテストした時、多くの人から「高い」と言われました。
セオリー通りなら値下げを検討するところですが、私たちは「本当に二日酔いで困っている人なら、明日の健康が買える300円は安いはずだ」という強い意志を持ち、価格を変えませんでした。
顧客の声に耳を傾けつつも、自分たちのビジョンに自信を持つこともまた、同じくらい重要なのです。
7. 商品リリース
いよいよ、商品を世の中に送り出します。プレスリリースを書いたり、クラウドファンディングを活用したりといった手法もありますが、根底で大切なのは、自分の身近な人に「これ、すごく良いんだ!」と熱意を持って勧められるかどうかです。その熱量が、最初の火種になります。
8. 売る
リリース後は、ひたすら売るための活動です。まず「この商品を通じて、世の中をどう良くしたいか」というビジョンを明確にし、具体的な戦略を立てます。
この時、「小さく始める」ことと「やることを絞る」のが鉄則(ランチェスター戦略)です。
いきなり100店舗にアプローチするのではなく、3店舗に集中する。その方が、一つ一つの商談の質も高まり、結果的に成功への近道となります。
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仮説と検証
そして、この全ステップを貫く最も重要な原則が、「仮説と検証」をひたすら繰り返すことです。
これはスポーツの上達プロセスと全く同じです。例えば、野球選手がバッティングを改善したい時、ただ闇雲にバットを振り続けるでしょうか?おそらく違いますよね。「今のフォームはここが悪いのかもしれない」と仮説を立て、その仮説に基づいてフォームを修正し、実際に打ってみる(検証)。もしダメなら、また新しい仮説を立てて試す。この地道な繰り返しが、着実な上達につながります。
商品開発もこれと全く同じです。自分たちのアイデアはあくまで「仮説」に過ぎません。それを市場に問い、顧客の声を聞き、検証を繰り返す。このサイクルをどれだけ速く、どれだけ多く回せるかが、ビジネスの成功確率を決めると私は確信しています。
しかし、この8つのステップを忠実に実行するだけでは、商品はできても「ヒット商品」になるとは限りません。プロセスを土台とした上で、顧客を熱狂させるためには何が必要なのか。次に、その核心に迫ります。
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鍵を握る2つの要素と「キャズム理論」
ここまでは、アイデアを形にするための具体的なプロセスについてお話してきました。しかし、ただ商品を作るだけでは不十分です。本当の「ヒット商品」を生み出すためには、もう一歩踏み込んだ戦略が必要になります。さきほど言ったように、私たちの目標は「100人が1回買ってくれる商品」ではなく「ひとりが100回買ってくれる商品」を作ることです。
これを実現するために、私たちは商品開発の段階で常にふたつの要素を考えています。
商品開発のふたつの要素
一度買いたくなるか
商品のコンセプトを聞いただけで、ターゲット顧客が「面白そう!」「それは試してみたい!」と心が動き、思わず一度は手に取ってみたくなるような、強い魅力やワクワク感があるか。
手放せなくなるか
一度使ってみたら、その効果や価値に感動し、「これがない生活はもう考えられない」と思わせるほどの体験を提供できるか。期待を裏切らない、本質的な価値があるか。
この2つが揃って初めて、商品は顧客にとって「なくてはならない存在」となり、継続的なビジネスへと成長していくのです。
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ニッチからマスへ、ヒットの壁を越える「キャズム理論」
商品が世の中に広まっていく過程には、「キャズム理論」と呼ばれるモデルがあります。これは、新しい商品が市場に浸透していく際に、乗り越えなければならない深い溝(キャズム)が存在することを示しています。
キャズム理論
イノベーター / アーリーアダプター: 新しいもの好きで、いち早く商品を試す層。
キャズム: この初期市場と、次のメインストリーム市場との間に存在する、深く、乗り越えるのが難しい溝。
アーリーマジョリティ / レイトマジョリティ: 商品の評判を聞き、多くの人が使い始めてから購入を検討する大多数の層。
ラガード: 最も保守的で、最後まで商品を受け入れない層。
アスガールは、キャズム理論におけるニッチ市場集中戦略の成功例だと思っています。
初期のイノベーター層では、ランチェスター戦略を用いて福岡・中洲の飲食店に絞って展開し、「知る人ぞ知る」状況を作りました。
そこからアーリーアダプター層は、レペゼンフォックスのDJ社長さんにYouTubeで紹介していただいたことが大きな転換点となり、EC売上と口コミが増加しました。
これらを元に、地域密着型ドラッグストアへの展開を開始することで、キャズムを超えることができたと思っています。アスガールは、社長自身の深い二日酔いの悩みを起点に開発され、強い商品力と世界観を持って、絞って小さく始める戦略で大多数の顧客層へ広がっています。
多くの商品は、最初の「アーリーアダプター」までは到達できても、その先の「キャズム」を越えられずに消えていきます。この溝を越えられるかどうかが、ヒットの分かれ道なのです。
越えるために、しっかりとしたプロセスと、顧客を虜にする商品力、そして市場を広げるための戦略があって初めて、商品は「ヒット」へと近づいていくのです。
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講義後、前回同様に学生のみなさんからたくさん質問をいただきました!
貴重な機会をくださった飛田先生、そして熱心に耳を傾けてくださった学生のみなさん、本当にありがとうございました。
次回は、学生さんたちの発表回のレポートをあげさせていただきます!
どうぞお楽しみに!
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