「心を開く」。これはコウダプロ社長の幸田八州雄さんが、何度も講話で挙げてきたテーマです。今回の朝礼でも、「心を開く」というテーマが、さまざまな出来事や体験を通して語られました。それだけ、コウダプロという会社が大事にしているあり方ということです。
香港出張での体験、メンバー同士の対話、そして日々の仕事の中で感じた気づき。そうした個々の出来事を起点にしながら、話題は次第に「人はどのような心の状態で世界を見ているのか」という、より本質的な問いへと広がっていきました。
幸田さんが繰り返し語っていたのは、「同じ出来事でも、心が開いているかどうかで、受け取れるものがまったく変わる」ということでした。
能力やスキル、経験の差よりも前に、人にはそれぞれ「どんな心の状態で世界と向き合っているか」という前提がある。そこが変わるだけで、同じ出来事がまったく違う意味を持つようになるのです。
後半では、メンバーの発言に対するコメントを通じて、コウダプロで働くうえで大切にしてほしい視点も語られました。
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こんにちは、プレスラボ(@presslabo)の池田園子です。月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
前回(2026年2月)の朝礼noteはこちらから。
心が閉じると、何を掛けてもゼロになる
幸田さんは、「人は、自分がどんなフィルターを通して世界を見ているのかを、自覚できない生き物だ」と語ります。
たとえば、強い日差しの中でサングラスをかけたとします。最初は「少し色が変わったな」と気づくものの、しばらくすると、そのレンズ越しの世界が当たり前になり、サングラスをかけていること自体を意識しなくなってしまいます。
人の心の状態も、それとよく似ているのだといいます。私たちは、自分の心がどんな状態で世界を見ているのかを、普段ほとんど自覚していません。
そして、心が閉じているときには、目の前でさまざまな出来事が起きていても、それが自分の中で意味を結ぶことなく通り過ぎてしまう。刺激は確かにあるのに、何も起きていないかのように感じてしまうのです。
どれほど価値のある経験でも、どれほど意味のある言葉でも、心が閉じていれば届かない。幸田さんは、それを「何を掛けてもゼロになる状態」に例えていました。
一方で、心が開いていると、同じ出来事でもまったく違うものとして感じられます。人との出会いやちょっとした会話、街の空気のようなささやかな刺激までが、新しい気づきとして自分の中に入ってくるのです。
つまり、世界がどうであるか以上に、「自分の心の状態」が、世界の見え方そのものを決めている。そんな話でした。
分かるような気がします。心の持ちようによって、世界の見え方はもちろん、世界との関わり方そのものも変わるのではないか。自分の経験を振り返りながら、そんなことを思いました。
心が開くと、人の気づきや学びは変わる
この話を象徴するエピソードとして語られたのが、香港出張での出来事でした。
あるメンバーは、現地に到着した直後、気圧の変化もあって体調が優れず、街を歩くのもつらそうな様子だったといいます。周囲のメンバーの後ろを、とぼとぼと歩いているような状態だったそうです。
しかし、現地での交流や会話を重ねていくうちに、その様子が少しずつ変わっていきました。街の雰囲気に慣れてきたこともあったのでしょう。次第に元気を取り戻し、自分から道案内をしたり、お店を探したりと、積極的に動くようになっていったのだそうです。
幸田さんは、この変化を「環境に慣れた」というだけの話ではなく、「心の状態が変わったこと」によるものではないかと説明していました。
最初は、慣れない環境や街の騒がしさに戸惑い、閉じた状態で世界を受け止めていた。けれど、心が少し開いた瞬間に、同じ街がまったく違うものとして見え始めたのではないかというのです。
人は、心が閉じているときには、どれだけ多くの出来事が起きても、それを自分の中に取り込むことができません。しかし心が開くと、同じ環境の中にいても、そこから受け取るものは大きく変わります。
この変化は、海外という特別な場所でなくても起きるものです。日常の仕事や人との関係の中でも、心が開いているかどうかで、得られる気づきや学びは大きく変わってくる。そんなことを感じさせるエピソードでした。
会社は「人の心」でできている
さらに幸田さんは、会社経営の本質についても話を広げました。
ビジネスの世界では、ビジネスモデルや商品力、戦略といった「どうすれば事業がうまくいくのか」という議論がよく語られます。しかし突き詰めて考えていくと、会社とは結局、人の集まりです。そこにいる人たちが何を考え、どんな行動を積み重ねていくのか。その結果として、会社というものが形づくられていきます。
では、その行動を生み出しているものは何なのか。能力なのか、知識なのか、それとも学歴や経験なのか。幸田さんは、その根本にあるのは「心」ではないかと語っていました。
人がどんな心で仕事に向き合っているのか。どんな姿勢で人と関わり、どんな思いで行動しているのか。その積み重ねが、組織の文化や成果をつくっていくのだという考え方です。
仮に、「コウダプロ憲法」を最初から最後まで完璧に暗記している人がいたとします。しかしその人の心のあり方がよくない。一方で、憲法を読んだことすらないけれど、人としての心の姿勢がまっすぐな人がいる。
もし一緒に働くなら、どちらの人と働きたいでしょうか。多くの人は、後者を選ぶはずです。
もちろん、人の心が完全にきれいであることなどありません。人は誰でも未熟な部分を持っています。だからこそ大切なのは、「心がきれいかどうか」ではなく、自分の心を磨き続けようとする意思があるかどうかです。
人の心は、生まれたままの状態で完成しているものではありません。日々の経験や人との関わりの中で、少しずつ磨かれていくもの。幸田さんは、その姿勢を「心の玉(※)を磨き続けること」と表現していました。
※心の玉(人間性の底にある玉)とは良心のようなもので、「磨く」と「鍛える」で進化していきます。心の玉は磨くにつれて透明度を増し、鍛えるにつれて強くなっていく、と幸田さんは捉えています。
そして、コウダプロという会社は、そうした姿勢を持つ人が集まることで成り立っている組織なのだと語ります。もしその価値観を失ってしまえば、会社はただの組織になってしまう。だからこそ、心を磨き続ける姿勢を大切にすることが、この会社の文化の根本にあるのだという話でした。
会社とは制度や仕組みだけで成り立つものではなく、そこで働く人たちの心と行動の積み重ねによって形づくられていくものなのだと気づかされる内容でした。
コウダプロで働く人に求められるあり方
朝礼の後半では、メンバーのフリーコメントに対して幸田さんがコメントを返していく時間がありました。そのやり取りの中からも、コウダプロで働く人に大切にしてほしい考え方がいくつも語られていました。
その一つが、「自分の頭で考えること」です。
社会や技術が大きく変化する時代の中で、なんとなくの楽観論に寄りかかるのではなく、起きている現実をしっかり見たうえで、自分なりに考え続けること。幸田さんは、それを「解像度を上げて考えること」と表現していました。
AIの進化についても同様で、「人間にしかできない仕事は残る」という単純な楽観論ではなく、技術の進展や社会の変化まで含めて考えることが必要だと語られていました。
また、能力や知識以上に大切なのが、人としての感度だと幸田さんはいいます。
相手の状況を感じ取ること、場の空気を読むこと、人の気持ちに気づくこと。幸田さんは、自衛隊の知人の言葉を紹介しながら、「気が利く人は何でもできるが、気が利かない人は戦闘でも役に立たない」という話をされていました。
それほどまでに、人の感度や気配りは仕事の根本に関わる力だということです。
それは誰かのやり方をそのまま真似すれば身につくものでもありません。大切なのは、本質を理解したうえで、自分なりのスタイルを試行錯誤しながら見つけていくことだと語られていました。
スキルや役職は、あとからついてくるものかもしれません。ただ、その前提にあるのは、「どんな心で世界と向き合っているか」という姿勢です。
心を閉じてしまえば、どれほど経験を積んでも成長は止まってしまう。逆に、心を開いていれば、日々の出来事のすべてが学びになっていく。
コウダプロが大切にしているのは、まさにそうした部分なのだと改めて感じさせる朝礼でした。
(編集後記)
「心の状態がすべての出発点になる」。今回の朝礼を通して、改めてそう感じました。
能力や知識は、努力すれば身につけることができます。しかし、心が閉じたままでは、その能力も十分に生かされません。逆に、心が開いていれば、日常の出来事や人との会話の中から、いくらでも学びを得ることができるのだと思います。
メンバー一人ひとりの心の状態が、組織の文化や成果を形づくっていく。今回の朝礼は、そんなシンプルでありながら大切なことを、改めて考えさせられる時間でした。
Text/池田園子