「内定はもらったけれど、本当にこの会社でいいのだろうか」
就職活動が順調に進んでいても、どこか納得できない。面接では志望動機を説明できても、そこで働く自分の姿は想像できない。そんな違和感を抱えている方もいるのではないでしょうか。
こんにちは。クジラ株式会社の濵野です。
今回は、私と同じくこの春に新卒入社した、SEKAI HOTEL PM(プロジェクトマネージャー)職の吉阪さんにインタビューしました。
吉阪さんは、大学3年生の冬にIT業界の企業から内定を得ました。しかし、就職活動を進める中で感じた違和感をそのままにせず、大学4年生の秋に就活を見直します。
旅先での出会いや、身近にあった空き家問題。自身の原体験を振り返る中で見つけた仕事選びの軸と、SEKAI HOTELを選んだ理由を聞きました。
内定を得ても、「このままでいい」とは思えなかった
濵野: 吉阪さんは、就活の早い段階でIT業界の企業から内定をいただいていたんですよね。
吉阪: はい。就活を始めた頃は新卒エージェントを利用し、「この業界では、こういう志望動機が伝わりやすい」といったアドバイスを受けながら準備していました。その結果、大学3年生の冬には内定をいただくことができました。内定先にも魅力を感じていましたし、就職活動としては順調だったと思います。
ただ、活動が進むほど、「私は本当にこの仕事をしたいのだろうか」という感覚が大きくなっていきました。面接では筋の通った志望動機を話せていましたが、それが自分の中から自然に出てきた言葉なのかというと、少し違う気がしていたんです。
濵野: 順調に進んでいるからこそ、立ち止まりにくさもあったのではないでしょうか。
吉阪: そうですね。内定がある安心感もあり、「このまま決めてもいいのでは」と考えたこともありました。一方で、「自分が何を大切にして働きたいのか分からないまま決めること」に不安を感じていました。ある時、面談で「会社に入った後、どのように成長したいのかが見えていないのではないか」と言われたんです。
そこで、過去の経験や自己PRについては何度も振り返っていたけれど、「これからどんな人生を送りたいのか」は、ほとんど考えていなかったことに気づきました。違和感を抱えたまま働き始めるのではなく、一度立ち止まって考えたい。そう思い、大学4年生の秋に内定を辞退し、就職活動を見直しました。
「内定を辞退したことより、最初に感じていた違和感を、そのままにしなかったことが大きかったです」
「地域が好き」の根底にあった、人への興味
濵野: 就職活動を見直してからは、どのように進めたのでしょうか。
吉阪: キャリア支援サービスを利用しながら、改めて自己分析をしました。それまでは、「企業に評価される強み」や「面接で話せる経験」を探すことが中心でした。そこから、「自分はどんな時に心が動くのか」「何を大切にしてきたのか」を考えるようになりました。その中で、二つの原体験がつながっていったんです。
一つは、旅行での経験です。
私は有名な観光地を訪れたこと以上に、地域の方に教えてもらったお店や、そこで交わした何気ない会話をよく覚えていました。人との出会いを通して、その土地を好きになる。私は、そうした旅に惹かれていたのだと思います。
もう一つは、親族が所有する家の空き家問題です。
建物が使われなくなるだけでなく、その場所にあった暮らしや周囲との関係も失われていく。その状況を身近で見たことで、地域に残る建物や営みを未来へつなぐことに関心を持つようになりました。最初は、漠然と「地域活性化に関わりたい」と考えていました。
ただ、自己分析を続ける中で、私が本当に関心を持っているのは、地域そのものよりも、そこで人と人が出会い、誰かの体験が豊かになることだと気づきました。
地域への興味の根底には、「人への興味」があったんです。
旅と空き家、二つの経験がSEKAI HOTELでつながった
濵野: そこから、SEKAI HOTELを知ったんですね。
吉阪: 実は、最初からホテル業界を志望していたわけではありません。ホテルの仕事には、接客や施設運営など、決められた業務を担うイメージがあり、私がやりたいこととは少し違うと考えていました。
その後、クジラの説明を聞き、SEKAI HOTELでは企画だけでなく、宿泊運営や清掃、地域の方との関係づくりまで自分たちで担っていると知りました。
日々の運営を通して、ゲストとまちの接点をつくっている。その働き方に興味を持ち、実際に宿泊してみました。
濵野: 実際に宿泊してみて、どのように感じましたか。
吉阪: 印象に残ったのは、地域との交流が、観光客向けの特別なイベントとして用意されていなかったことです。商店街を歩き、地域のお店を利用する中で、自然に会話が生まれる。まちの日常に、宿泊者が少しだけ参加させてもらうような距離感がありました。
私は旅先で、地域の方との何気ない会話をきっかけに、その土地を好きになってきました。SEKAI HOTELでは、そうした出会いが、宿泊の仕組みや地域との関係づくりによって生まれやすくなっていました。
また、既存の建物や商店街の営みを生かす姿勢は、空き家問題を身近に見てきた自分の関心とも重なっていました。
「人を通して地域を好きになること」と、「地域に残る建物や関係を生かすこと」。自分の中にあった二つの経験が、SEKAI HOTELの考え方の中でつながったと感じました。
「私がやりたかったのは、地域を盛り上げることだけではなく、人と人が自然につながるきっかけをつくることでした」
清掃も接客も、まちとの関係をつくる仕事
濵野: 現在は、SEKAI HOTEL プロダクトマネージャーとして働いています。実際の仕事はどうですか。
吉阪: ベッドメイクや客室清掃、フロント対応、地域の方との対話、ゲストへのまちの案内など、業務は幅広いです。
入社前から企画だけをする仕事ではないと理解していましたが、働いてみて、一つひとつの運営業務によってSEKAI HOTELが成り立っていることを実感しています。客室を準備しながら、「今日のゲストはどんな方だろう」「どのお店を紹介すると楽しんでもらえるだろう」と考えることもあります。自分たちでゲストを迎える準備をするからこそ、どのような滞在にしたいかを考える時間が生まれるんです。
SEKAI HOTELが大切にしているのは、決められたサービスを提供するだけではなく、ゲストや地域の方と一人の人間として向き合う「フレンドシップ」です。日々の運営業務も、その関係をつくるための土台になっています。
濵野: 現場ならではの大変さもありますか。
吉阪: もちろんあります。忙しい日は体力的に疲れますし、複数の業務にうまく対応できないこともあります。それでも、目の前の仕事がSEKAI HOTELの考え方とつながっているので、「なぜこの業務をするのか」を考えながら取り組めています。
企画や発信だけでなく、客室を整え、ゲストを迎え、地域の方と日々関係をつくる。そうした地道な仕事も含めて関われることが、私にとっての面白さです。
濵野: クジラのチームについては、どう感じていますか。
吉阪: 自分の担当業務だけで仕事を区切らない人が多いと感じます。会議でも、「誰の仕事か」ではなく、「どうすればもっと良くなるか」を考え、担当に関係なく意見を出し合っています。
私が失敗した時も、結果だけを見て注意されるのではなく、「なぜできなかったのか」「次はどう改善するか」を先輩が一緒に考えてくれます。自分で考えることを求められますが、困った時には一緒に整理してくれる人がいる。その点は、入社前に感じた印象と変わっていません。
誰かがまちを好きになる、最初のきっかけをつくる
濵野: これからSEKAI HOTELで、どのようなことを実現したいですか。
吉阪: SEKAI HOTELには、地域との交流を目的に来られる方もいれば、宿泊先の一つとして選んでくださる方もいます。
私は、最初から地域に強い関心を持っていなくてもよいと思っています。滞在する中で、「あのお店に行ってみようかな」「商店街をもう少し歩いてみようかな」と感じてもらえたら、その人とまちとの関係が始まります。
私自身が旅先で、人との出会いをきっかけに地域を好きになってきたように、今度は迎える側として、ゲストがまちや人に興味を持つきっかけをつくりたいです。
【編集後記】
吉阪さんは、最初から明確なキャリアの軸を持っていたわけではありません。就職活動で感じた違和感をきっかけに、旅先での出会いや、身近にあった空き家問題を振り返りました。その中で見つけた価値観と、SEKAI HOTELの仕事や考え方を重ねた上で、クジラ株式会社を選んでいます。
会社を選ぶ時、業界や職種、待遇はもちろん重要です。同時に、その会社が日々どのような判断をし、どのような仕事を積み重ねているのか。そこに、自分が大切にしてきた経験や価値観を重ねられるかを考えることも、一つの選び方ではないでしょうか。
就職活動で感じる違和感は、自分が何を大切にして働きたいのかを考える手がかりになるかもしれません。