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社会と教育のギャップを埋め、すべての人の可能性を伸ばす。教育業界のキーマンが語る、ライフイズテックのこれまでとこれから

「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」をミッションに掲げ、2010年の創業から次世代デジタル人材育成を手がけるEdTech企業、ライフイズテック。学校や塾、企業に向けてさまざまな教育サービスを届けています。今回は、ライフイズテック取締役の讃井 康智さんに話を聞きました。

Profile
讃井 康智(Yasutomo Sanui) 取締役 CEAIO(最高AI教育責任者) 1983年、福岡市生まれ。東京大学教育学部卒業後、株式会社リンクアンドモチベーションに勤務。その後独立し、東京大学大学院 教育学研究科に進学、故三宅なほみ先生に師事。各地の教育委員会・小学校・保育園などで、創造的で協調的な21世紀型の学びを実現するサポートを行う。ライフイズテックには2010年の立ち上げ時から参画。現在は採用の統括に加え、自治体・学校向け事業・AI教育推進・政策提言等を担当。経産省 産業構造審議会「教育イノベーション小委員会」委員、青森県教育改革有識者会議特別委員などの公職やNewsPicksプロピッカー(教育領域)なども歴任。


「教育を良くしたい」という思いで、ライフイズテックの立ち上げに参画

ー まず、讃井さんがライフイズテックに入社したきっかけを教えてください。

私は、2010年のライフイズテック創業時から在籍しています。当時、IT業界で唯一「時間が止まっている」とされていたのが若年層、とくに中高生向けのIT教育でした。すでに有名ITベンチャー企業が注目されており、iPhoneアプリやボーカロイドなども流行っていたのですが、それらを作る方法を学ぼうと思ってもピアノやサッカーのような教育環境がまったく整っていなかったのです。

私は福岡県出身で、高校生だった2000年頃には「プログラミングでゲームを作りたい」と思っていましたが、当時の福岡にそれが学べる場所はありませんでした。それから10年が経ち、東京に場所を変えてもまったく状況が変わっていないことに衝撃を受けました。「中高生が学びたいことを今すぐに学べる環境を作りたい。日本の子どもたちの未来を変えたい」という考えが代表の水野と一致し、参画を決めました。

ライフイズテックは「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」というミッションを掲げ、中高生が夏休みや春休みに参加できるオフラインのIT教育プログラム「Life is Tech ! Camp(以下、キャンプ)」事業から始まりました。2020年からは新学習指導要領に対応したプログラミング学習教材「ライフイズテック レッスン」の提供を開始し、その後、企業のデジタル人材育成のための「DXレディネス研修」事業もスタートしました。LX(Learning Experience)設計の自社技術を軸に、現在では2020年以降にスタートした学校や学習塾、企業向け事業で売上の7割を占めるまでになっています。

そのため、現在のライフイズテックの社員には大きく2つの共通項があります。ひとつは、子どもたちの可能性を信じ、今の時代に合った新しい教育を届けたい人であること。もうひとつは、事業を大きくして、一人でも多くの子どもたちに自分たちのサービスを届けたいという強い思いを持つ人だということです。

展開する事業も増え、規模もどんどん大きくなっていますが、1年以内の早期離職率が1桁台で推移しているのも、職種問わずミッションへの強い共感があるのが理由だと思っています。

ー ライフイズテックには会社が好きな人が多い印象ですが、何か施策などを実施されているのでしょうか?

全社会はもちろん、Slackでも日常的に会社の方向性や各事業の最新事例、お客様の感謝の声、各学校や企業での取り組みなどを積極的に共有しています。それぞれ向き合うお客様は違っても、同じゴールに向かっていることを感じてほしいんです。新しい理想の教育を作っていけている、その結果、お客様に喜ばれているんだということを伝えています。

ライフイズテックには、福利厚生として「夏や春に開催するキャンプに、社員の子ども1名が無料で参加できる」というものもあります。ただ、エンゲージメントが高まる1番の理由は福利厚生ではなく、事業そのものの魅力を社員のみんなが作り続けてくれていることにあると感じています。

もともとモチベーションが高い人が集まっているのも大きいかもしれません。教育の現場は課題だらけで、学校・塾・企業といったそれぞれの現場ではそれを感じていながらも、解決する方法がわからないことも多いのです。だからこそお客様から「これこそ子どもたちに届けたかった教育だ」というお声をいただくことは多いです。最近もご高齢の先生に「ライフイズテックのサービスを使って教育人生の集大成と言える授業ができた」と言っていただけたことは嬉しかったですね。こうした感謝の声が自分たちのやりがいや原動力になっていると感じます。


成長のスピード感を強く感じられるのは、第二創業期の今だからこそ

ー キャンプから始まった創業時と、事業が増えた現在では、企業フェーズも違うと思います。現在のライフイズテックの強みはなんでしょうか。

今は第二創業期であり、ビジネスを大きくするスピード感はライフイズテック史上いちばん感じられるタイミングだと思います。BtoCからBtoBへ、中高生から社会人までビジネスの領域が広がったことで、一段とやりがいがあります。

現在のライフイズテックの強みは、大きく2つあると考えています。

ひとつは「LXでの実績」。すなわち、質の高いサービス・プロダクトが揃っていることです。どのサービス・プロダクトでも、学習者にとって一番良い学習環境を届け、一人ひとりの成長スピードを早めてきた自負があります。ライフイズテックの創業事業であるキャンプの卒業生からは、ビッグベンチャーで1年目から活躍していたり、20代前半で注目スタートアップを起業している人など、日本のITビジネスを牽引する存在が続々と生まれています。現在はオフラインに加えオンラインでも、BtoCだけでなくBtoBでもサービスを提供しています。これまで積み上げた質の高い学習体験をスピーディに横展開していけるのが今のフェーズなのです。

「ネットワーク」も大きな強みです。創業から10年以上LXに向き合っているからこそ、すでに全国800以上の自治体と取引があり、そのうち200近い市区町村では、地域内全校でサービスをご利用いただいています。そのため、新たなサービスをスタートする際にも、今までの実績や信頼をもとに、すぐに話を聞いていただける環境があります。学校や自治体に限らず、ライフイズテックのお客様は、ソーシャルインパクトを与える事業そのものに共感してくださっている方がほとんどです。教育を変えたい、社会課題を解決したい、これまで培ったスキルや知見を活かしたいと考える人には、今のライフイズテックは本当におすすめしたいタイミングです。工夫に工夫を重ね、「動かない」と思われていた体制を動かそうと、熱意とスキルを総動員して取り組んでいるメンバーしかいないので、その環境も大きな刺激になるはずです。

現在、「学校・自治体向けSaaS(ライフイズテック レッスン)」「学習塾向けSaaS(情報AIドリル)」「企業向けDX人材育成サービス」という、法人向けの3つの事業部でセールスとカスタマーサクセスのチームが役割分担しながら活躍してくれています。

セールスは各事業部ごとに顧客の課題を丁寧に把握し、課題解決型の提案をしていっています。スタートアップらしくスピード感がとても早く、大きな自治体やエンタープライズ企業との交渉も多いので、セールスとしてもっと成長したいと考えて、転職して来られる方も多いです。カスタマーサクセス(CS)は、担当する顧客に深く入り込んでハイタッチな支援をするチームと、全国一律で利用者が活用しやすいようなロータッチ・テックタッチのサポートを企画・実行するチームとがあります。いずれのCSでも、顧客の課題を解像度高く理解することを大切にしながら、ツール活用率の改善だけでなく、エンドユーザーである中高生がオリジナルのwebサイトを作れたり、受験に向けて教科「情報」の理解度が飛躍的に高まったり、企業の中でDXの具体的な改善プロジェクトをスタートしていくといった、「教育によって行動が変わる」状態まで視野に入れて動ける点が魅力です。自治体のお客様からも最近「現場に寄り添った手厚い支援のおかげで、新しい教育を全校で格差なく実現できている」というお声をいただきました。

ライフイズテックでは教育系企業出身のメンバーは25%以下とあまり多くはありません。一方で、Saas系企業からの転職者が増えています。採用では、教育業界での経験以上に、お客様の課題を解像度高く把握し、それを解決するための提案と支援ができることを重視しています。


ー 企業として順調な成長を遂げている印象がありますが、現在の課題はありますか?

ありがたいことに全国からお引き合いをいただいているため、お届けするスピード感と質の両方を落とさないようにするのが今後の課題です。日本には1,700以上の自治体があり、その最後の1地域・1校にまで私たちのサービスを届けたいと考えています。2025年1月の大学入学共通テストから「情報 I 」が新設され、多くの国公立大学が共通テスト科目として「情報 I 」を課すと発表しています。そこまでに支援が間に合わないと、進路可能性の格差にもつながってしまう。だからこそ、今こそ支援のスピードと質を上げたいと考えています。

企業におけるDXも新たなフェーズに入っています。「DXのためのツールはある。社内にDXの専門部署もある。なのに、社内の多くの人が自分事に思わないから全社的なDXは進まない」という状況が散見されます。企業のDXは最後はツールではなく、人や組織がキーになります。その大事な部分がこれまでの企業DXでは後回しにされてきたゆえに、取り組める余地が大きくあります。

現在、ライフイズテックで強く意識しているのは、「再現性」と「拡張性」です。それは最高の教育を一人でも多くの子たちに格差なく届けたいからです。そのため、属人的・労働集約的に事業を作るのではなく、テクノロジーを活用した仕組み化を重視し、アジャイルにPDCAを回しながらベストな事業モデルを探究し続けています。事業づくりや仕事の面では、教育系の企業文化よりも、Saas企業のようなテックカンパニー文化が強いと思います。

また、これまでは組織開発の部署がなく、中途採用のみで組織運営をしてきましたが、2023年7月から組織戦略室という部署を立ち上げ、取締役副社長COOの小森を専属に据えています。今秋からはマネージャー育成にもより注力していく予定です。

採用ではこの2年で約80人の方が入社してくれました。前職でベンチャーの役員や大企業の事業部長クラスの役割を務めていた方もどんどん入社してくれています。入社後に活躍して1年以内に事業部長クラスになった中途入社の方も出ています。また、新しい事業・サービスの立ち上げも継続的に取り組んでいますので、最初は既存事業で業界特性などを理解した上で、早い段階で新規事業に関わっていただけるチャンスも多いです。

ー ライフイズテックで活躍できるのはどんな人でしょうか?

中高生の可能性を最大限伸ばすことやDXを目指す会社を支援することに本気で向き合える人です。理念や事業への共感だけでなく、課題解決のためにどれだけ事業を伸ばしていけるかが重要です。教育や人材育成の領域は、これまでずっと変わらなかった部分が岩盤のように残っています。だからこそ、粘り強く工夫を重ねて、新しいアプローチ方法で関係者を巻き込み、物事を進めていく苦労とやりがいがあります。その過程を楽しめることが大事です。


社会の変化と、教育のギャップを埋める存在でありたい

ー ライフイズテックが目指す10年後の姿を教えてください。

ライフイズテックを「プログラミング教育の会社」と思っている方もいますが、実態は違います。私たちは社会の変化と、教育のギャップを埋める存在でありたいと思っています。

社会の変化がテクノロジーの進化によって加速度的に早まる一方、組織における教育力はその変化に比例していません。学校教育が見直されるのは学習指導要領の改定として10年に一度ですが、企業の人材育成施策も頻繁に変化しているわけではありません。今後、テクノロジーの進化がさらに加速することにより、そのギャップはさらに大きくなるでしょう。実際、企業における注目テーマは最近まで「DX」でしたが、今は「AI」、今後は「量子コンピュータ」などどんどん変わっていきますから、その変化に合わせて組織における教育は進化していく必要があります。

だからこそ、ライフイズテックは教育テーマにも、対象とする年代にもこだわらず、今後も新しいビジネスを展開していきたいと思っています。

学習者の体験として、中高生時代には学校や塾などで学び、その経験を活かして進学・就職先を決定する。そこで学びが終わるのではなく、就職後も社会の変化にともなって学び直しする体験が続きます。本人の志向性や学習履歴をもとに、人生を通じた学習体験を支援し続けられるサービスが提供できれば、学習者の未来の可能性を最大化することができるでしょう。だからこそ、今後も新規サービスを生み出し続けると同時に、サービス間の連携をもっと強めていきたいと考えています。代表の水野は「まだやりたいことの5%くらいしかできていない」といつも話しています。それだけ解決したい課題や実現したいビジョンが沢山あるのです。今後は、海外への展開や新しい学校づくりの支援などにも本格的に注力したいと思っており、そのために積極的に仲間を増やしたいと思っています。

ー 最後に、求職者のみなさんにメッセージをお願いします。

「いつか教育の仕事がしたい」という方はたくさんいますが、私は挑戦するなら今だと思っています。まずはマーケットの環境が大きく変わっています。ソーシャルインパクトを出せる企業への投資や支援が活性化してきており、まさに世の中に私たちの活動が求められている時期と言えます。スタートアップがどんどん成長できる土壌が整ってきました。

さらに、今まで変わらなかった日本の教育は、今変わろうとしています。小・中学生一人に1台PCが支給され、EdTechサービスを活用した教育もこの3年で急速に普及しています。対話的・探究的な学びが全国ではじまり、プログラミング教育も進化しています。特別な学校だけでなく、全国の学校で変化が起こっています。

間違いなくここ数年で教育は大きく変わります。この大改革が終わった後に教育業界に飛び込んでも、今以上のおもしろさは感じられないでしょう。だから、「いつか教育の仕事がしたい」方には、今飛び込んできてほしいと思っています。

ライフイズテックでは今も社内で複数の新規事業が始動していますが、今後は今以上にイノベーションがたくさん起きる会社にしていきたいと考えています。また生成AIの登場により、個別最適な学びがより深く実現できるようになっていくでしょう。それはEdTechが第3世代に突入する大事なタイミングであるということでもあります。その大きな変化をライフイズテックはリードしていく存在になります。教育がこの150年で一番変わろうとしている大きな節目に、ぜひライフイズテックを選んでほしいと思っています。


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