1
/
5

【Member’s Story005】大手繊維商社からベンチャーへ。クリエイター峯村昇吾に聞いてみた。前編

みなさま、あけましておめでとうございます。株式会社ライフスタイルデザインの伊藤です。

新年最初の記事は、ライフスタイルデザインメンバーへのインタビュー企画第5回目になります。

今回紹介するのは、クリエイティブ室でLaFabricのブランディング及び商品企画・素材開発を手がける峯村昇吾。彼がライフスタイルデザインに出会うまで、そして入社してから今に至るまで、アパレル業界や自身のクリエイティブにかける思いや考え方を、赤裸々に語っていただきました。


【プロフィール】峯村昇吾
1982年東京都出身。青山学院大学経済学部経済学科卒業。大手繊維専門商社にて、川上全般の原料メーカーと素材開発を行い、アパレルメーカー向けテキスタイルの企画提案営業を担当。3年間の海外駐在を経て、国内外の幅広い素材開発・調達に従事。2013年モリリン㈱入社し、国内外の原料に特化した素材開発に従事。2015年11月にライフスタイルデザインに参画。素材開発・調達担当ほか、クリエイティブ全体を統括。

こちらから実際のインタビューもお聴きいただけます。あわせてどうぞ!

Member's Story:クリエイティブ室 峯村昇吾(前編)by FABRIC TOKYO's Podcast

【本編】

森:では今日は、Member's Storyの最新版ということで、峯村昇吾さんに来てもらいました。よろしくお願いします。

峯村:よろしくお願いします。

森:では、「ミネさん」でいいですか?

峯村:はい。

森:分かりました。では、ミネさん、今日はいろいろ聞きたいと思うので、よろしくお願いします。

峯村:よろしくお願いします。

森:まず、簡単に、どんな仕事をやっているかを教えてください。

峯村:商品企画と、あとはクリエイティブ――クリエイターですね(笑)。クリエイティブと言うと誤解があるかもしれませんが、クリエイティブやっていますという感じです。

森:結構業務が多岐にわたっているので、話し始めると、これで多分1時間ぐらいたっちゃうので、おいおいという感じで。

峯村:了解です、はい。

森:では、何で今、ライフスタイルデザインにいるのかということを教えてもらいたいんですけども。いつでしたっけ? 2年前くらいですか?

峯村:ちょうど2年前ですね。

森:2015年の…。

峯村:11月。

森:突然、Wantedlyで。

峯村:そうですね(笑)。Wantedlyで連絡しました。僕、前は繊維の商社でものづくりに携わっていて、それに対して、ちょっと自分でモヤモヤしていて。この会社なら、そのモヤモヤが解消されて、自分のしたいことが実現できるかなと思ったからですね。

森:なるほど。あのときは転職活動をしていたんですか?それとも、うちのことを見つけて転職したくなったという感じなんですか?

峯村:あのときは、自分で(ものづくりを)したいなと思っていて、僕はものをつくれるから、自分でやりたいなと思っていて。ただ、ずっとBtoBしかやっていなくて、BtoCができないから、とりあえず新しい考えを持っている人の話をいろいろ聞こうと思っていて。Facebookとかで、ダイレクトにDM送ったりしたんですね。

森:すごい、行動力が。

峯村:で、そのときに、ここちょっと多分いいよとお勧めされたのが、一番最初のきっかけですね。知ったきっかけ。

森:なるほど、なるほど。思い出しました。「ブランドをつくろうと思っていた」んですね最初に。

峯村:そうです、そうです。

森:それで、ブランドをつくりたくて、ITを絡めたやり方が今後は一番いいなと思っていたところだから、ファッションテック的な会社をいろいろ見ていたら、某会社の社長に会ったときに、うちのことをお勧めされたという感じでしたよね。

峯村:そうです、そうです。

森:スタイラーの小関翼さんという方(笑)。

峯村:そうそう(笑)。ITを活用したいというわけじゃなくて。

森:どんな感じだったんですか?

峯村:アパレル業界の無駄をしっかりなくして、あるべき姿を示すモデル。そのためのただ単に手段として、ITの活用があったんですけど。

アパレル業界で感じた”無駄”

森:なるほど、なるほど。ちょっと突っ込んでいいですか?その辺詳しく聞きたいんですけど、ミネさんってアパレル業界10年ぐらいいらっしゃって、それでものづくりに携わっていたと思うんですけど、ミネさんから見たアパレル業界の無駄ってどういうところなんですか?

峯村:もちろんサプライチェーンの中間流通が重なっているのもそうだし。メインはそこですかね。あと無駄なことというと、例えば結構安いメーカーにワンポイントのポロシャツをおろしました。でも、デザイナーのこの好き嫌いで、ちょっと指示したデザインと1ミリずれているんだけど、ワンポイントがみたいな。それだけでも何千万円というのが破棄になるんですよね。で、廃棄処分みたいになる。これって全然本質的じゃないし、主導権完全にメーカーに握られているだけなので、何かこう、よろしくないなと思いまして。

森:なるほど、なるほど。サプライチェーン周りの無駄も多いし、結局、物つくったところで、結構破棄にされちゃう商品たくさん見てきたという感じですよね。

峯村:そうですね。

森:それは商品が廃棄されたらどうなっちゃうんですか?

峯村:どうなんだろう?これ言っていいのかな。

森:もちろん。podcastで、テレビとかじゃないんで。

峯村:アパレルメーカー、商品のタグネームとかもう切って、家族とか友達にあげたりとか、あと仕入先の何か紡績メーカーのおばちゃんとか、加工場の人とかにあげたりとか。あとバッタ屋に売ったりとか。

森:ですよね。

峯村:もう本当に1枚何円。

森:某ディスカウントショップとか、そういうのに並んでいる感じですよね。

峯村:そうですね。とかですね。

森:すごいビジネスですね。

峯村:もうB品は毎日届いてくるので、結構。オフィスがB品の山になります。アパレルの各ブランドの。たまにB品セールみたいな感じで社員に売ったりとか。

森:やっていますね。

峯村:どうしても売れなければ、捨てることもありますし。

森:ミネさんはそういったセールでは買って…。

峯村:買いましたね(笑)。自分で着るやつは買っていないですけど。

森:友達用とか。

峯村:親とか。

森:なるほど、なるほど。それはもちろん僕らがよく知っているようなブランドとかもあるわけですね。

峯村:もちろんです。

森:それが結構理不尽だなという感じで思っていたという。

峯村:もちろんその1つとしてありますね。そんなに悪くないのに、デザイナーの信念がありますよね。そこにミスったらもうアウトという。そういうのはどの業界でもあると思いますけどね。

森:こだわるがあまりに、デザイナーの一存で、これはNGだということになってしまうわけですよね。なるほどね。いい面、悪い面というのもありますね、それは。

峯村:あと無駄というか、生産者の厳しい労働とかも、中国にいたときに見たし。


上海での経験

森:そうか。上海に4年ぐらいいたんでしたっけ?

峯村:3年ですね。

森:上海ではどんなお仕事されていたんですか?

峯村:現地で物をつくっていましたし、その生地をつくって日本のメーカーに販売したりだとか、中国の現地の内部でも販売したりとかしましたね。

森:それは何年ぐらい前でしたっけ?

峯村:7年前ぐらいです。

森:2010年ぐらい。今では上海ってすごい大都会ですよね。ここ10年ぐらいで、地下鉄の駅の数が5倍とかになったらしいですね。

峯村:僕のときも結構できていましたね。どんどん地下鉄が増えていましたね。

森:なるほど。面白い時期にいらっしゃったんですね。上海は、繊維商社の支店にいらっしゃったと思うんですけど、上海でしかできないようなことがあったから、支店を設けたんですか?

峯村:そうです、そうです。

森:それはものづくり面で?それともやっぱり労働力が安いからとか、そういった面ですか?

峯村:ものづくり面ですね――いや、違うな。

森:中国だからこそできるというものづくりがあったんですか?

峯村:基本的に縫製が中国産になっていて、中国で縫製するために、日本の生地を送り込むみたいなことが結構普通にあったんですけど、だったら中国で日本と同じクオリティーのものをつくって、そのまま現地で渡しちゃった方が、一番効率的ではないかみたいな。ということを結構前からやっていて、そこで現地法人つくって、実際に生地をつくって、アパレルメーカー指定の縫製工場にそのまま現地で渡して。その分、現地中国のコントロールが難しかったですけどね。

森:なるほど。その辺のコントロールを繊維商社で受けていて、クライアントは基本的に日本のブランドで。

峯村:日本のブランドか、あと結構、大きな展示会もあったので、それこそ結構有名なインポートブランドとも商談して渡したりしましたね。

森:そうなんですか。では、日本の企業だけのクライアントじゃなかったんですね。

峯村:全然。

森:基本的には内販というか、中国国内では売る用のものはつくっていないということですよね。基本的には中国から輸出していくというか。

峯村:でも、一部内販もあります。

森:中国のブランド。

峯村:中国のブランドです。僕がやっているというよりも、ローカルスタッフがやっていました。

森:ぶっちゃけどうでした?日本で育って、3年間中国で駐在とかって、どんな感じでした?僕、日本でしか働いたことがないから、興味があって。

峯村:そうですね。上海スタッフとの価値観は全然やっぱり違うし、面白かったですよね。

森:今でも結構生きていることってありますか?

峯村:いや、分からないですね(笑)。

森:あまりないということですね。

峯村:特には分からないですけどね。いい経験はしました。

森:「ある人物に出会った」という話ってしていいんでしたっけ?

匠との出会い、ものづくりへの学び

峯村:上海で?いいですよ。

森:ユニクロの素材の達人。

峯村:匠の1期生の人ですね。ヒートテックの開発をメインにした。

森:それは現地にいらっしゃったんですか?

峯村:そうです。現地です。ユニクロを引退されて、僕がいた商社のところに入ってもらった感じですね。

森:なるほど。そういう出会いだったんですか。上海支社で。

峯村:上海で。ずっと一緒にいました。

森:何かそこで学んだこととか、ちょっと教えてくださいよ。

峯村:いやもうそのときは、正直、何ですかね。それまで結構勢いでやってきていたんですけれども。今もやっていますけど(笑)。

森:商社は営業ですからね。

峯村:メーカーの考えとか、物事の組み立て方とか。そこをすごいなとは思いましたね。

森:営業はパワープレーじゃないと。

峯村:何ですかね。日本はメーカーなんだなって、何か思いましたね。

森:それはどういうことですか?

峯村:分からないですね。何なんだろう(笑)。

森:ものづくりのこだわりということですか?

峯村:こだわりとか、考え方とか。今当時に戻れば、またすごく違った目線で勉強になるような気もしますし、当時はとにかく、本当にロジカルに物事をすべてとらえていて、課題を発見して、それに対してソリューションするみたいな。当時74歳のおじいちゃんだったんですけど、もう本当に頭キレキレでしたね。そのユニクロの人が染色の匠でいてくれて、でもカットソーだったので。編みの匠の人がまたいたんですけど、当時六十何歳のおじいちゃん。

森:その人もユニクロ?

峯村:その人はまた別の日本のメーカーの人で、ずっと現場をやっていた本当のスペシャリストですね。その人たちのもとで編みと染色を学んできたという感じです。

森:なるほど。その辺りで結構変わったんですか?考え方とかって。

峯村:ものづくりに対する考え方は変わったし。

森:どう変わったんですか?

峯村:ものづくりに対する考え方というよりも、ただ単に右から左に流すだけだったら、もちろん駄目だし。製品の良しあしを知るのは、生地の良しあしを知ることであって、生地の良しあしは、糸の良しあしを知ることで。本当にもうより川上の部分の重要性とかを学ぶことができたという感じですかね。

森:なるほど。それが今のミネさんにつながっているんですね。

峯村:一部。一部ですけどね。中国行くと、いきなり机とかもぶっ壊れたりするので、文房具もめちゃめちゃ使いにくかったりとか。やっぱり日本のものづくりメーカーというのはすごいなと思ったし、社内でもそういう人たちもいたので。上海に住んでいると、やっぱり日本ってすごいなと。

森:僕、全然関係ないかもしれないんですけど、中国に行ってサランラップを使ったんですよ。サランラップを延ばすじゃないですか。めっちゃ切れにくくて、ようやく切れたってやって、お皿の上にラップするじゃないですか。お皿に全然貼りつかないんですよ。結局、ひもとかで結んだりしてやらないと、何か覆い隠せないんです。やっぱり日本のサランラップは使いやすいなと思いましたね。

峯村:本当。いろんなところでそういうのはありますね。

森:なるほど。全然関係ない話でしたけど。分かりました。

「新しいカルチャーをつくる」という魅力

森:では、次の質問なんですけど、そんな経緯で紆余曲折あって、うちに2年ちょっとぐらい前に出会ってから、本当にいろんな仕事をされていますよね(笑)。今の仕事の最大の魅力ってどんなところですか?

峯村:最大の魅力。何ですかね…。いろいろありますけど…。

森:では、「ない」ということで(笑)。

峯村:あります、あります。やっていることというよりも、本当に部活みたいな感じとか。あと高校のクラスでちょっと出し物するぞみたいな。オーダースーツ屋出してみるか、ぐらいの一体感になっているような気がするし。

森:文化祭(笑)。

峯村:そうそう。そういう仲間みたいなところもあるし、あとやっぱり今までtoBでアパレル主導だったけど、今はもう全部自分のさじ加減で、直にユーザーとつながれるというところはもちろん面白い。

森:面白いですよね。もろにフィードバック返ってきますもんね。

峯村:あと、やっぱりスーツという商材の中で、オーダーですけど、ただ単にファッションの偏差値を競うわけじゃなくて、もう独自路線でカルチャーをつくっているという、新しいカルチャーをつくるというところが非常に面白いところですね。



森:そうですね、確かに。全然価値観が違うところをねらっていますもんね、僕らは。担当分野的なところはどうですか?商品、素材開発と、あとクリエイティブ面のところで、どんなところが今すごい日々楽しんで仕事しているかとかありますか?

峯村:商品・素材開発は、そうですね。今までは本当に主観的に自分のこう思ったことは売れるみたいな、変な自信もあったんですけどね。やっぱり逆に難しさもすごくこの2年間でわかったし、どれだけ誰のどんなインサイトに対して、何を届けて、それをどういうふうにやるかみたいな。そういうふうに、こんなユーザーのこんなインサイトがあるよねと探し出して、じゃ、この商品でソリューションするかみたいな、このちゃんとやっている感が楽しいですね。変にやみくもじゃない。

森:なるほどね。やみくもに商品を開発して、いただいて、「どやっ」。

峯村:と言っているわけじゃない。

森:見せるんじゃなくて、しっかり顧客のことを知って、インサイトを知って、それに対してニーズに合う商品を開発していくという。

峯村:しかもちょっとやっぱり、もちろんユーザーが普通は欲しいよねと思うところじゃなくて、確かに「それそれ」みたいな部分をどういうふうに刺しにいくか。

森:ちょっと斜め上行くような。なるほど、なるほど。それでいうと、ここ直近2、3カ月ぐらいで、仕事で一番「よっしゃ!」みたいに思ったことってあります? いろいろやっているじゃないですか、商品の開発とか。店舗もつくっているし。向井(純一)さんと一緒に。あと動画とか、クリエイティブ面もすごいやっていたりとか、webサイトのリニューアルとかもやっていたりとか、いろいろやっていると思うんですけど、何かこれはおもろかったなみたいな、そういった仕事ってありますか?

峯村:そうですね。新宿店のグランドデザインみたいな根本的なデザインは、向井さんと一緒につくりましたけど、本当にイメージに近い部分が形になったなと。面白かったです。

森:結構イメージどおりいけました?

峯村:細部はまだ全然ですけどね。全体のフレームというところとか。

森:方向性はバチッと合った感じなんですね。

峯村:そうですね。あと、クリエイティブとかは、やれば普通にみんな「いいね」と言ってくれるんだなみたいな。そこはすごく感じます。

森:昨日見せてもらった動画、すごい楽しいですけどね、何か。これは社内でやったのか?というぐらいのクオリティーですね、あれ。本当に。すごい。だってあれ外注しているの、カメラマンだけですよね。

峯村:そうです、そうです。

森:すごいな(笑)。面白い。分かりました、ありがとうございます。

後編に続く


前回までの「Member's Story」はこちらからご覧いただけます。

【Member's Story 001】大手監査法人からベンチャーへ。取締役三嶋憲一郎の人生観

【Member's Story 002】自衛官からエンジニアに転身!?CTO中筋丈人に聞いてみました

【Member's Story 003】EC時代の店舗開発。400店出店した向井純一が考えること。前編

【Member's Story 003】EC時代の店舗開発。400店出店した向井純一が考えること。後編

【Member's Story 004】前編 第一号社員、高橋政裕がLaFabricと出会うまで。

【Member's Story 004】後編 第一号社員、高橋政裕が振り返る創業初期。

株式会社FABRIC TOKYOでは一緒に働く仲間を募集しています
6 いいね!
6 いいね!
今週のランキング