毎朝、電車に祈っていた。
「頼む、止まってくれ。」
24歳の俺は、毎朝そう思いながら電車に乗っていた。 車両が急停止して、アナウンスが流れて、「本日の運転を見合わせます」となれば、仕事に行かなくて済む。 それだけを願いながら、窓の外を眺めていた。
おかしいと思うかもしれない。でも、当時の俺には本気でそれしか思い浮かばなかった。
夜、子どもを寝かしつけて布団に入ると、今度は別のことを考えていた。 「また明日が始まるのか。」
電車が動いている。明日も朝が来る。それがただ、重かった。
「なんとなく」うまくいく人間だった。
誤解してほしくないのだが、俺は別に、落ちこぼれではなかった。
むしろ逆だ。子どもの頃から、なんとなくうまくやってきた。 勉強はしなかったが、人付き合いは得意だった。営業の仕事も、なんとなく数字は作れた。
でも、「思い描いていた大人の姿」とは、全然違っていた。
子どもの頃、俺が憧れていた大人というのは、仕事の話をしていても楽しそうで、目が生きていて、自分の人生を生きている感じがある人だった。お金があっていい車に乗っているとか、そういう表面的な話じゃない。「充実している」というオーラがある大人。
「学生の頃は良かったなあ」と言っている大人には、絶対になりたくなかった。
なのに気づいたら、俺がそっちになっていた。
スペックだけ言うと、こうだ。
高校は、偏差値判定すら出ないレベルの学校。英語はBe動詞の意味もわからない。大学はエスカレーター式のFラン。
新卒で入ったのは建設会社で、施工管理の仕事だった。
本当は営業をやりたかった。でも、学生結婚をしていた俺には、「やりたいこと」より「安定」を選ぶ理由があった。年収500万、福利厚生もしっかりしている。人生に一度しかない新卒カードを、安全な方に使った。
2年間続けた。でも、面白くなかった。これは俺が思い描いていた社会人生活じゃない。
だから転職した。もともとやりたかった営業へ。「これで自分の人生は変わる」と思っていた。
変わらなかった。
環境を変えただけで、自分は何も変わっていなかったのだ。
でも、それが問題だとは思っていなかった。
問題だったのは、全部「環境のせい」にしていたことだ。
子どももいるから、生活を守るために会社に縛られるのは仕方ない。同世代で起業している奴は、独身だからできるんだ。たまたまうまくいってるだけだ。俺だって条件が同じなら——。
今の自分がその言葉を聞いたら、一言だけ言う。
「そんなこと言ってるから、お前はそこにいるんだ。」
変化は、一冊の本から始まった。
人生の底にいた24歳の俺が、最初にやったことは大したことじゃない。
本を読み始めた。
『億を稼ぐ人の考え方』という本だった。読んでみて、驚いた。自分の思考回路と、成功している人の思考回路が、根本から違う。でも同時に気づいた。「考え方が違うだけなら、変えられる。」
次の朝から、早起きを始めた。もともと朝が死ぬほど苦手だったが、2時間だけ早く起きて、その時間を全部自分のために使うと決めた。本を読む。起業のことを考える。動く。
誰かに宣言したわけじゃない。ただ、やった。
するとあることが起きた。根拠のない確信が生まれてきたのだ。
「こんな俺でも、なんでもできるかもしれない。」
論理じゃない。実績もない。でも、毎朝2時間動いている自分が、少しずつリアルに感じられてきた。
「誰でも変われる」は、俺自身の話だ。
今、俺はmove on株式会社のCEOとして、20代の営業職のキャリア支援をしている。500名以上と向き合ってきた。
なぜ20代の営業職なのか。
理由はシンプルだ。学歴もスキルもない人間が、社会に出た時に選べる仕事の大半は「営業」だ。俺がそうだったように。そしてその多くが、なんとなく働いて、なんとなく消耗して、誰かのせいにしながら年を取っていく。
それが許せない。
支援してきた500名の中で、俺が一番好きな瞬間がある。それは、クライアントが「自分の人生の可能性」を初めて信じた瞬間だ。さっきまでぼんやりしていた目が、急に変わる。言葉が変わる。背筋が伸びる。
その瞬間のために、俺はこの仕事をしている。
かつて電車が止まれと祈っていた男が言うから、説得力があると思っている。
どん底から変われた人間が一人いるだけで、「誰でも変われる」はただの綺麗事じゃなくなる。
最後に、あなたに聞きたい。
今の環境に、本気で満足しているか。
「まあこんなもんか」と思いながら、惰性で日々を過ごしていないか。
もしあの頃の俺みたいに、心のどこかで「もっとあるはずだ」と思っているなら、話だけでも聞いてほしい。
move onは、あなたの「無意識を変える」ために存在している。