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僕らが車のGUIを求めて日産で働く理由。UIデザイナー向けMeetupを開催しました!

10月11日、東京・白金台にあるWantedly本社にて、日産自動車の現場メンバーが登壇したMeetupが開催されました。

デザインの可能性を追求しながら新しい自動車開発を進めている日産自動車。コネクテッドカーや自動運転技術などが発達しつつある今、ユーザーのより良い体験を求めて自動車開発に取り組んでいます。

そこで今回は、日産で働くメンバーに、日産で自動車づくりに携わるおもしろさ・やりがいや、IT業界と自動車業界との違いなどについて語ってもらいました。充実の内容だった本イベントの様子をレポートします。

ブランドイメージの確立のために、自動車にも質の高いGUIが求められる

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まず登壇したのは、クリエイティブテクノロジストとして日産で働く川井。これまで、マスプロモーションの企画やキャンペーンに関わるフロントエンドエンジニアとして働いたキャリアを持ちますが、プロダクト開発ができる環境を目指して日産自動車に入社しました。

■川井隆典(かわい・たかのり)
ーグローバルデザイン本部 UX/UIデザイン部

川井 「これまでのキャリアを考えて、プロダクト開発に関わりたいと考えたのが、日産に入社したきっかけのひとつでした。世の中にたくさんあるプロダクトのなかでも、自動車はハードウェアとソフトウェアが高度に結びついたプロダクトのひとつです。街中を安全にスムーズに走り回っている車には様々な技術が詰まっていますし、そういったものづくりに携わることはチャレンジングで楽しそうだと考えました。あとは、これまでは少人数の組織しか経験してこなかったので、大きな企業を中から見てみたいという思いもありました」

日産自動車には、国内で生産している「Nissan」、アメリカやヨーロッパを中心に展開している「INFINITI」、アジアや中東などで展開する「Datsun」と、3種類のブランドがあります。昨年中国では150万台、アメリカでは160万台販売されたことからも、世界に知られるブランドとして成長を遂げていることがわかるでしょう。
今年2月に入社したばかりの川井にとって、そんなグローバルな日産自動車の環境は新鮮なものだったのだそうです。

川井 「とにかく英語をたくさん使うんですよね。社内に外国人が多いこともそうですが、上司が外国人だとプレゼンテーションもいずれ英語で行うことを求められるんです」

現在、川井が働くUI/UXデザイン部では、3つのチームに分かれて自動車開発を進めています。

川井 「主にリサーチ・ユーザーテストなどを行うUX、トンマナやインタラクションを担当するGUI、アーキテクチャや物理的なインターフェースを担当するHMI(ヒューマンマシンインターフェース)の3種類に分かれます。とくに、今回は車のGUIについてお話しますね」

自動車開発におけるGUIとは、車内に設置されているモニター、ナビなどのすべてを指します。運転者の視界の前方に情報を提示するHUD(ヘッドアップディスプレイ)や速度やエンジン回転数などの自動車の走行に必要な情報を提示する「Meter(メーター)」などが代表的な例です。

川井 「GUIは、時代によって変化を遂げています。たとえば、物理的なボタンの数は、2004年のある自動車では70個でしたが、2014年には30個まで減少しているのです。これから先の未来では、さらに物理ボタンが減り、ソフトウェアでのボタンが増えていくでしょう。それに伴い、GUIデザインの重要度も増していくと思います」

また、川井はIT業界から転職した身として、自動車業界の製品化プロセスの時間の長さが新たな気づきだったと語ります。

川井 「大きなデザインプロセスは、5つです。

・コンセプトを決め、デザインを開始する
・多数案のなかから数案に絞る
・1案に決定する
・デザイン完成
・納品

これが、比較的スタンダードなプロセスです。ただ、驚いたのは、このプロセスに1年間かけること。これは、デザインの意思決定がそれだけ重要であることを物語っています」

日産自動車がGUIに強いこだわりを抱いているのは、GUIをはじめとするUXに紐づくかたちでブランドイメージが確立されるため。UXの向上がブランドとしての強みであるほか、今後さらに広がるグローバル展開への橋渡しの存在となるだろうと考えています。

自動車とITの一番の違いは「生命のリスクを背負っていること」

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次に登壇したのは、Web制作会社でデザイナーとしてのキャリアを積んだ櫻井。「元IT業界のデザイナーから見た自動車のGUIデザインのプロセスについて」をテーマに、日産で自動車開発に携わるおもしろさを語ります。

■櫻井大祐(さくらい・だいすけ)
ーグローバルデザイン本部 UX/UIデザイン部

櫻井 「僕が日産自動車に入社しようと思ったのは、サンフランシスコの美術大学に通っていたので英語を活かせること、これまで経験したアプリやWebサイトではなく自動車(IoT機器)に関わりたい、企業としてチャレンジする姿勢があることに惹かれたなどの理由からです」

一般的に、IT業界で使用されるアプリケーションはカスタマイズ性が高く、レスポンスも早いことから優れた製品と捉えられていると語る櫻井。とはいえ、自動車も実はテクノロジーの側面から見ると決して引けを取りません。

櫻井 「たとえば、アメリカや中国などでは、まるで携帯電話のようなインターフェースの自動車や最先端テクノロジーを惜しみなく投入した自動車が販売されています」

開発までに時間がかかる点については、先ほどと同様に櫻井も異業種からの転職によって感じている点です。開発規模が大きく、検証にも時間がかかるため、IT業界のようなスピード感ではプロジェクトは進みません。

櫻井 「自動車は、企画からリリースまでを考えると、長い場合は4年間ほどの時間がかかります。アプリケーションやWebサイトならデスク上の画面のみで検証が完了しますが、自動車の場合はプロトタイプの制作やハンドリーチなどによる見やすさの考察が必要だからです」

自動車の開発は、IT業界のプロダクトと異なって生命のリスクを背負っています。そのため、開発からリリースまで、慎重に全行程を終えるのです。しかし、今後はそんなIT業界と自動車業界が交わっていくことが必要だと櫻井は考えます。

櫻井 「これからは、電気自動車、自動運転、コネクテッドカーなど、あらゆる技術を取り入れて自動車開発は進むでしょう。今までよりもインターフェースの情報量が多くなるため、IT業界を経験してきたUI/UX人材の存在が必要です」

ブランドに対する追求力とテクノロジーの知識が今後の課題

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最後は、川井・櫻井の2名でのパネルディスカッションを実施。「自動車業界のGUIデザイナーの役割と今後のスキル」をテーマに、日産自動車に転職して感じる仕事の難しさやおもしろみを語ってもらいました(モデレーターを務めてくださったのは、Wantedlyで人事を担当する小池さんです!)。

小池 「まず、日産自動車に転職してみて、どのようなことがおもしろいと感じていますか?」

櫻井 「プラットフォームをゼロから考えることですね。これまでよく制作していたiPhoneのアプリは、Appleのガイドラインに沿ってつくられています。その点、自動車はプラットフォームそのものをデザインしている点が魅力的です」

川井 「僕は、これまで僕がいた業界に比べて、自分が携わったプロダクトが長期間に渡って世の中に残ることにやりがいを感じています。Webの場合は、公開したキャンペーンなどは長くても1〜2年間、短いと3日間で終わってましたから」

小池 「なるほど。プロジェクトに携わる長さは、おもしろさややりがいに相関するんですかね?」

川井 「そうかもしれません。僕はまだ転職してから8ヶ月なので、自分が関わったプロダクトが世の中に出る経験はしていません。ですが、関わっているだけで楽しいですし、これからリリースできることも楽しみです」

小池 「では反対に、仕事の難しさや課題と感じるのはどのようなことですか?」

櫻井 「UXだけでなくブランドも追及している点です。IT業界では、ブランドガイドラインに沿ったUI/UXでプロダクトを制作していました。
ところが、自動車ではUXは前提として、さらにブランドの表現も意識しなければなりません。おもしろさであり、難しさでもあります」

川井 「僕は、慣れない自動車業界の用語が難しいと感じていますね。社内用語もありますし、いまだに分からない用語に出会うことが多いです」

小池 「IT業界から転職したお二人が考える、今後のGUIデザイナーに求められるスキルはどのようなものですか?」

川井 「ふたつあります。ひとつは当たり前ですけどビジュアルデザインをつくるスキル、もうひとつはテクノロジーに対する知識ですね。これからは電気自動車やコネクテッドカーなどの機能や新しい技術をGUIに反映していくことも増えるため、そういったナレッジがあると活かせる環境も多いと思います」

櫻井 「自動車業界だけに必要な知識やノウハウはあまりないと思います。英語力とか、ブランドを追求する力なんかですね。たとえば専門用語がわからなかったとしても、学べば済みますし時間も解決してくれます」

小池 「では最後に、これから先で描きたいと考えているお二人のキャリアを教えてください」

川井 「今はまだ具体的には考えていません。というのも、僕のクリエイティブテクノロジストという役割はこれまでになかった新しいもので、どう立回るかというのは状況に応じて変化し続けています。なので、まずは自分の持つデザインとテクノロジーというスキルを駆使して、柔軟に役割を全うしていきたいと思っています」

櫻井 「自動車産業は、日本の数ある産業のなかでも技術力やグローバルの目線で見ても強い産業です。だからまずは、日産のテクノロジーで日本を牽引していきたいですね。そのために、自分のスキルを伸ばしてプロジェクトに活かしていきたいです」

小池 「ありがとうございました!」

パネルディスカッションを終えたあとは、参加者を交えた懇親会を行いました。IT業界ですでにUIデザイナーとして活躍している方が中心となった本イベント。今回のトークを聞いたことで、なにか新しい発見などが見つかっているとうれしいです。


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それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!


Meetup第2回は大阪で開催予定です。興味のある方はお気軽にお申し込みください!!

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