年間流通総額約800億円。ECサイトの戦略策定から泥臭い現場の運用までを一気通貫で支援するオンサイト株式会社。「100名以下の少数精鋭」を掲げるこの組織には、元ライブドア副社長である代表・岸をはじめ、個性と実績を持つプロフェッショナルが集まっています。
そんな環境で、新卒入社からわずか数年で頭角を現し、現在は2つのチームを統括するマネージャーとして活躍するのが江原 圭亮。「大学5年生のつもりで飛び込んだ」と語る彼は、いかにして経営視点を身につけ、地域経済を動かすほどの実績を作るに至ったのか。
「市場を知るためにドラッグストアを20店舗回って店員に聞き込む」「経営視点でPL/BSを語りクライアントの組織設計まで行う」。机上の空論ではなく、そこまで泥臭くやり切るからこそ、800億円を動かせる。そんな現場のリアルな成長記録を紹介します。
江原 圭亮 / クライアントソリューション事業部 マネージャー
早稲田大学卒業後、新卒でオンサイト株式会社に入社。入社直後から大手クライアントのEC立ち上げや運用改善に従事し、現在はコンサルティングチームと戦略チームの責任者を兼務。自身もプレイングマネージャーとして複数のクライアントを担当し、売上拡大から業務フローの改善まで幅広く支援している。プライベートではフルマラソンを完走するストイックな健康投資家。
手を動かせば、何でも形にできる。圧倒的な打席数を求めオンサイトへ。
ーー現在はマネージャーとして2つのチームを統括されていますが、そのキャリアの原点はどこにあるのでしょうか?
原点は学生時代にあります。300人規模の広告研究会というサークルで副幹事長として活動していたんですが、そこで映像制作やWeb制作をYouTubeで見様見真似でやってみたら、意外と形になったんです。
「未知の領域でも、自ら情報を掴んで手を動かせば形にできる」。今思うと、この時の感覚が、正解のない変化の激しいEC業界で、顧客の理想を実現するためにあらゆる手段を尽くして達成しにいく、オンサイトのスタンスとリンクしています。
就活では第一志望だった広告代理店にはご縁がなく、フラットに企業を探していた時に出会ったのがオンサイトでした。面接で代表の岸さんから言われた「うちは圧倒的に打席が多い。大企業が一生かかって経験することを、数年でやれる」という言葉が強烈に刺さりましたね。
ーー「打席数」ですか。
はい。実際に話を聞くと、その「打席」の種類が桁違いに多様だったんです。クライアントは、老舗食品メーカーからアパレル、家電、バイオベンチャーまで多種多様。規模もスタートアップから上場企業まで様々です。対峙する相手も、現場の担当者から経営者まで幅広く、求められる支援も「売上アップ」だけでなく「物流改善」や「システム構築」まで、とにかく守備範囲が広い。しかも、ECやITという常に最先端を走り続けなければならない領域です。
そんな多種多様な環境で成果を出すためには、一つの正解なんてありません。息をするようにインプットし続け、目の前の課題に合わせて知識を総動員しなければ、プロとして貢献できない。勤勉だった父の影響で「社会人になっても学び続けないと終わる」という強い危機感を持っていた私にとって、この「強制的に勉強が必要な環境」こそが、求めていた成長痛でした。
だから正直に言うと、「大学5年生のつもり」で入社を決めたんです(笑)。もちろん不真面目な意味ではありません。あまりにも濃密で多様な経験ができるこの場所なら、「お金をもらいながら、死ぬほど勉強させてもらえる」と直感したからです。
新卒を最短で「経営人材」へと鍛え上げる環境。
ーー現在はマネージャーとして、どのような視座で仕事をされていますか?
単に「売上を上げましょう」という話だけでなく、経営に直結する会話が増えました。例えば、プロジェクトの立ち上げを提案する際も、「この投資を何年で減価償却するか?」というPL/BS(損益計算書・貸借対照表)に関わる財務的な視点で議論します。また、「内製化支援」といって、「この業務はアウトソースして、ここは社内の〇〇さんに任せましょう」といった、クライアントの人事・組織設計の領域まで踏み込むこともあります。
私たちは単なるコンサルタントではなく、「クライアントのEC事業部長」を代行するくらいの姿勢で取り組んでいます。しかも、私たちの後ろにはエンジニアやCSといった「実行部隊」がいる。口だけ出して終わりではなく、実行の全責任を負う「最後の砦」としてのプレッシャーがあります。
ーーそのプレッシャーは、いつ頃から感じるようになったのですか?
新卒1年目からです(笑)。オンサイトでは、若手のうちから容赦なく「最後の砦」としての打席に立たされます。
鮮烈に覚えているのが、1年目のゴールデンウィーク明けの出来事です。ある地方企業のECサイト立ち上げプロジェクトで、私は数百万規模の見積もりを作って提案に行きました。そうしたら、担当者の方から「高すぎる、値下げしてくれ」と難色を示されてしまって。
普通なら持ち帰って上司に相談する場面ですが、オンサイトは違いました。岸さんに報告したら、「じゃあ社長に直接提案しに行こう」と(笑)。しかも、ただ行くだけじゃなく、担当者の方には「社長にはこう伝えておきますね」と根回しまでセットして、トップダウンで決裁を通すシナリオを描き、私が実行したんです。
震えましたよ(笑)。でも、結果としてその提案は通り、プロジェクトはスタートしました。「良い提案を作るだけじゃダメだ。それを実現するために、泥臭く人を動かし、政治も使い、最後までやり切るのが仕事なんだ」と、身体に刻み込まれた経験でしたね。
ーー新卒で凄まじい経験ですね…。そのプロジェクトの結果はどうだったんですか?
それが何より嬉しかったことなんですが、その時開発した商品が、今では「ふるさと納税」の返礼品として大ヒットし、その町の税収の約50%を賄うほどのインパクトを生み出しているんです。
新卒1年目の自分が冷や汗をかきながら動かした仕事が、数年越しに地域経済を支える柱になっている。この手触り感こそが、オンサイトの仕事の醍醐味です。
「自分が判断を間違えたら、現場が混乱し、数千万円の損失が出るかもしれない」。このヒリヒリするような判断を日々繰り返す経験は、安全圏からアドバイスだけをするコンサルタントでは絶対に得られません。ここで数年揉まれれば、どこに行っても通用する経営人材になれると断言できます。
このヒリヒリする決断の回数が、オンサイトの言う「打席数」なんです。
「愛嬌」とは、汗の総量だ。ドラッグストア20店舗を行脚して掴んだ自信。
ーーそんな厳しい打席に立ち続ける中で、オンサイトが大切にしている「愛嬌」をどう解釈していますか?
私たちが踏み込むのは、クライアントの組織設計やPL/BSといった経営の根幹です。時には、相手にとって耳の痛い指摘もしなければなりません。そんな時、正論やロジックだけで人は動いてくれない。「言ってることは正しいけど、あなたには任せたくない」となってしまったら終わりなんです。
だからこそ、「愛嬌」が必要なんです。それはただニコニコすることではなく、「ここまでやってくれた江原さんが言うなら、信じてみよう」と思わせる、圧倒的な行動量と自信のことだと思っています。
例えば以前、ある商品の案件を担当した時のこと。商品の本当の魅力を探るために、ネットでひたすら調べるだけではなく、ドラッグストアを20店舗以上回りました。ただ棚を見るだけじゃありません。他の商材を調査した際は、ご迷惑にならない範囲で「これ、なんで売れてるんですか?」「どういうお客様が買っていきますか?」と聞き、実際に購入して試します。
ーーそこまでやるんですか…。
やります(笑)。そこまでやって得た一次情報があるからこそ、クライアントに対して「現場ではこうなっています。だからこの施策が必要です!」と自信を持って言える。そうすると、クライアントも「そこまで調べてくれたのか」と驚いて、面白がってくれるんです。
深く入り込むからこそ、ロジックだけでは足りない。最後に人を動かすのは、こうした泥臭い行動に裏打ちされた「可愛げ」や「愛嬌」なんです。
ーーそうした徹底的な顧客視点は、江原さんだけでなくオンサイト全体に根付いているものなのでしょうか?
そうですね。これは私個人のスタイルというより、オンサイト全体のカルチャーとして染み付いているものです。
例えば、私たちは見積もりや請求書を営業任せにせず、コンサルタント自身が作成します。「お客様から何に対して対価をいただいているか」を骨の髄まで理解し、その重みを痛みとして感じるためです。「これだけの金額をいただいているんだから、絶対に成果で返さなきゃいけない」という覚悟が、毎月の作業を通じて養われています。
また、1年目に岸さんから「お客様は何が嬉しいかをとことん考えろ」と言われて以来、私は毎月7日のカレンダーに「お客様は何が嬉しい?」という予定を登録し続けています(笑)。忙しい日々に流されず、強制的に顧客視点に立ち返るための習慣ですね。
あと、「いいものに触れて感性を磨け」という教えも。これは単に「遊べ」という意味ではなく、世の中で何が流行っているのか、人は何にお金を払うのかを肌感覚で知ろうという意味です。それを知らずして、お客様の商品は売れませんから。
ーーそういえば今日のMTGでも、オンサイトらしい場面があったとお聞きしました。
あるクライアントの業務を自動化することで工数が削減され、結果としてオンサイトの売上が下がってしまった報告があったんです。担当者は少し申し訳なさそうにしていたんですが、それを聞いた岸は「最高じゃん! クライアントにとってハッピーなんだから」と即答して。
普通、自社の売上が下がるのはネガティブなことですが、オンサイトでは「顧客の利益になるならそれが正義」なんです。このブレない判断基準が、現場の私たちが迷わず顧客ファーストを貫ける理由だと思います。
マネジメントで気づいた、成長する人の共通点。
ーーマネジメントをする上で、大切にしていることはありますか?
サークルの副幹事長時代に学んだのは「人の目的はバラバラだ」ということです。「本気で映像を作りたい人」もいれば、「ただ楽しく活動したい人」もいる。それを一つにまとめるのは無理なので、それぞれの目的を叶えつつ、全体として進む方向を調整する力がつきました。
今のマネジメントにも部分的に活かされています。オンサイトには「JIBUNGOTO(自分ごと)」というフィロソフィーがありますが、新卒メンバーは最初、どうしても「自分主語」だけで動いてしまいがちです。
▼オンサイトの4つのフィロソフィー
ーー「自分主語」から「会社・顧客主語」へどう変わるのでしょうか?
壁にぶつかった時が分岐点ですね。「自分主語」だけで動いていると、「一人でできることの限界」に必ず直面します。そこで諦めてしまう人もいれば、内省して、ベクトルを自分から相手(顧客やチーム)へと向け直す修復ができる人もいる。
「自分一人じゃ無理だ」と気づき、周りを頼れるようになったメンバーは一気に伸びます。「自分の成長」ではなく「会社・顧客の成功」に本気で向き合えた時、結果として自分も一番成長していることに気づくんですよね。このプロセスを見守り、背中を押すのが私の役割だと思っています。
ーーそうした視座の高さは、やはり岸代表との距離の近さも影響しているのでしょうか?
それは間違いなくありますね。 実は私、岸さんと毎月栃木へ出張に行っているんです。移動中も現地での仕事もずっと隣で、経営者の判断や視点をリアルタイムで体感しています。
このインタビュー中も、岸さんが会議室を無邪気に覗きに来ましたよね(笑)。それくらい社長との距離が近くてフラットなんです。
また、社内では頻繁に「席替え」も行います。隣に座る人が変われば、入ってくる情報も変わる。会話が固定化して成長が止まるのを防ぐためです。こうした1つひとつの仕掛けが、組織の熱量を維持しているんだと思います。
ーー非常に風通しが良く、熱量が高い環境なんですね。
そうですね。岸さんもよく言いますが、組織が大きくなりすぎると、どうしてもこの熱量は薄まってしまう。だからこそ、私たちはあえて「100名以下」にこだわり、一人ひとりが当事者として没頭できる環境を守ろうとしています。
目下の目標は、正社員を闇雲に増やさず、外部のパートナーさんたち(主婦の方や副業人材など)との連携やAI活用も含めた「ワークシェア」を進めることです。
そのために今、多岐にわたるコンサルティング業務の徹底的な「仕組み化」に取り組んでいます。今のリソースのまま、2倍のクライアントを支援できる体制を作り、「少数精鋭でとてつもない成果を出す」組織にしていきたいですね。
ーー最後に、どんな方に仲間になってほしいですか?
「何者かになりたい人」ですね。具体的にやりたいことが決まっていなくてもいいんです。「くすぶっているエネルギーをどこかにぶつけたい」「自分の力で何かを動かしたい」という渇望がある人なら、オンサイトは最高の環境です。
私たちの仕事は、ロジック(数字)がベースにありますが、最後のひと押しは個人の「感性」や「愛嬌」です。「データはこう言っています。でも、ここをこう変えた方が絶対にお客様は喜びます!」と、自分の色を加えて提案できる人。
変化の激しい時代、3年後や5年後のキャリアなんて考えても意味がありません。目の前の打席に立ち続け、泥臭くバットを振り続ければ、気づいた時にはいつでも起業できるような実力がついています。そんな景色を、一緒に見に行きましょう。
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