こんにちは。
Orange Moon株式会社 代表の増山です。
私たちは、AIを活用したマニュアル自動作成・共有サービス「ManualForce」を開発・提供しています。
営業と開発を合わせて10人前後の、まだまだ小さな会社です。
これまでManualForceでは、PCの操作を記録するだけでマニュアルを作成できる仕組みを開発してきました。
そして今は、作成したマニュアルをAIで検索したり、自然な言葉で質問したりできるようになっています。
マニュアルを簡単に作る。
必要な情報をすぐに見つける。
分からないことをAIに聞く。
そうやって、マニュアルに関わる仕事の進め方を少しずつ変えてきました。
でも、最近はもう一つ先のことを考えています。
マニュアルは、いつまで人が読むものなのでしょうか。
マニュアルを作るためのサービスを開発している私たちが、なぜそんなことを考えているのか。
今日は、ManualForceがこれから目指していきたい未来について書いてみたいと思います。
そもそも、マニュアルは何のためにあるのか
例えば、会社で初めて担当する仕事があったとします。
まずマニュアルを開く。
手順を確認する。
書いてあるとおりにシステムを操作する。
途中で分からなくなったら、もう一度マニュアルに戻る。
それでも分からなければ、詳しい人に聞く。
これが、今までの一般的な仕事の進め方だったと思います。
マニュアルがあることで、新しい人でも仕事を覚えやすくなります。
担当者が異動しても、業務を引き継ぎやすくなる。
特定の人しか知らなかった業務を、他の人もできるようになる。
マニュアルには、そうした大きな価値があります。
ただ、少し見方を変えてみると、面白いことに気づきます。
例えば、あるシステムの操作マニュアルには、
「この画面を開く」
「この項目に情報を入力する」
「このボタンをクリックする」
「表示された内容を確認する」
といったことが書かれています。
つまり、マニュアルは、人が仕事を進めるための手順や知識を記録したものです。
では、その手順を人間だけでなく、AIも理解できるとしたらどうでしょうか。
そして、AIが実際にシステムを操作できるとしたら。
人が毎回マニュアルを開いて、一つひとつ操作する必要はあるのでしょうか。
私は、ここに大きな可能性があると思っています。
ManualForceは、まず「作る」という面倒を変えてきた
ManualForceが最初に取り組んできたのは、マニュアル作成の負担を減らすことです。
PC操作のマニュアルを作ったことがある方なら、分かるかもしれません。
これが、想像以上に大変なんです。
システムを開く。
スクリーンショットを撮る。
画像を貼り付ける。
説明文を書く。
次の画面に進む。
またスクリーンショットを撮る。
この繰り返しです。
しかも、一度作ったら終わりではありません。
システムが更新されれば、マニュアルも更新する必要があります。
大企業では、さまざまな部署で膨大な数の業務が行われています。
その一つひとつについて、手順を整備し、最新の状態に保ち続けるのは簡単ではありません。
そこで私たちは、PC操作を記録することで、スクリーンショットや説明を含むマニュアルを自動で作成できる仕組みを開発しました。
これまで手作業で行っていたことを、できるだけ自動化する。
本来の業務に使える時間を増やす。
まずは、そこから始めました。
実際に、大企業のお客様にもManualForceをご活用いただき、マニュアル作成や更新の工数削減につながる事例も生まれています。
ただ、そうしたお客様の業務に向き合う中で、マニュアルの課題は作成だけではないと考えるようになりました。
次に変えたかったのは、「探す」という仕事
マニュアルを簡単に作れるようになっても、それだけでは十分ではありません。
せっかく作ったマニュアルが、必要なときに見つからない。
どのファイルを見ればいいか分からない。
探すより人に聞いた方が早い。
結果として、同じ質問が何度も繰り返される。
そんな状態では、マニュアルを整備した意味が薄れてしまいます。
だからManualForceでは、作るだけでなく、使うことにも力を入れてきました。
その一つが、AIチャットです。
従来は、必要なマニュアルを探して、その中から知りたい手順を見つける必要がありました。
でも、AIに自然な言葉で質問できるようになれば、その手間を減らせます。
例えば、
「このシステムで申請を取り消すにはどうすればいい?」
と聞けば、関連するマニュアルの情報をもとに、必要な手順を確認できる。
ここで、マニュアルの役割が少し変わります。
これまでは、人が情報を探しに行くものでした。
それが、AIに質問することで必要な情報を得られるものになる。
「マニュアルを読む」から、「マニュアルの内容をAIに聞く」へ。
これは、ManualForceにとって大きな変化だと思っています。
でも、私はその先にも可能性があると考えています。
AIに手順を教えたら、そのまま仕事を進められないだろうか
例えば、毎月決まったシステム操作を繰り返している業務があったとします。
社内システムを開く。
必要な情報を確認する。
別のシステムに入力する。
処理結果を確認する。
こうした仕事を、担当者が毎月手作業で行っている。
そして、その操作方法を説明したマニュアルが存在している。
では、もしAIがそのマニュアルを理解して、実際にシステムを操作できるとしたらどうでしょうか。
人が毎回マニュアルを確認して、同じ操作を繰り返すのではなく、AIが手順に沿って作業を進める。
判断が必要な場面では、人に確認する。
想定外のことが起きたら、処理を止めて報告する。
作業が終わったら、結果を確認できるようにする。
そんな働き方が実現できるかもしれません。
これまで、マニュアルは人間が仕事を覚えるためのものでした。
でも、AIがその内容を理解できるようになれば、マニュアルは違う役割も持てるのではないか。
人に仕事を教えるためのマニュアルが、AIに仕事を教えるための情報にもなる。
私は、ここが次の大きな可能性だと思っています。
もちろん、これはManualForceが現在提供している機能ではなく、これから実現を目指していきたい構想です。
でも、これまでマニュアルの自動作成に取り組んできた私たちだからこそ、挑戦する意味があると考えています。
AIが進化しても、企業の仕事を理解できるとは限らない
最近、AIの進化は本当に速いと感じます。
文章を書く。
情報を整理する。
プログラムを作る。
さらに、PCの画面を理解して操作する技術も進んでいます。
ただ、AIがさまざまなことをできるようになったからといって、企業の仕事をそのまま任せられるわけではありません。
なぜなら、AIは、その会社独自の仕事の進め方を最初から知っているわけではないからです。
例えば、同じ経費精算という仕事でも、会社によって使っているシステムは違います。
入力する項目も違う。
承認のルールも違う。
確認しなければならないことも違う。
場合によっては、同じ会社でも部署ごとに運用が違います。
こうした仕事をAIに任せようとすると、まずはその仕事がどう進められているのかを理解させる必要があります。
でも、その手順が担当者の頭の中にしかなかったらどうでしょうか。
前任者から口頭で教わっただけ。
古いマニュアルはあるけれど、今の業務とは違う。
そんな状態では、人が仕事を引き継ぐことさえ難しいと思います。
当然、AIに正しく仕事を任せることも難しくなります。
だからこそ、企業の中にある業務の知識を、きちんと残しておくことが重要になると考えています。
そして、その情報を作る負担を減らすことは、ManualForceがこれまで取り組んできたことでもあります。
PC操作から手順を残す。
その手順を整理し、更新できるようにする。
必要なときにAIが参照できるようにする。
さらに、その情報をAIによる業務実行にも活かせるようにする。
今まで人に仕事を引き継ぐために作っていたものが、これからはAIに仕事を引き継ぐための資産にもなるかもしれない。
そんな未来を考えています。
ただし、手順があればAIに任せられるほど、企業の仕事は単純ではない
ここは、私自身も重要だと考えている部分です。
企業の業務には、間違えてはいけない操作がたくさんあります。
マニュアルが古かったらどうするのか。
画面の配置が変わっていたらどうするのか。
途中でエラーが発生したらどうするのか。
操作する権限はどう管理するのか。
実行した内容を、あとから確認できるのか。
そして、どの判断は人が行うべきなのか。
これらを考えずに、AIに仕事を任せることはできません。
特に、私たちが日々向き合っている大企業のお客様にとっては、セキュリティや正確性、運用上の管理が非常に重要です。
そもそも、すべての仕事をAIに任せる必要もないと思っています。
人が判断した方がいいこともあります。
お客様とのコミュニケーションや、複雑な意思決定のように、人が中心になるべき仕事もあります。
私が考えているのは、人の仕事を何でもAIに置き換えることではありません。
AIに任せられる仕事はAIに任せ、人は人にしかできない仕事にもっと時間を使えるようにすること。
そのためには、技術だけでなく、実際の企業の業務を深く理解することも必要です。
簡単な挑戦ではありません。
でも、だからこそ取り組む面白さがあると思っています。
マニュアルの価値は、むしろこれから大きくなるのかもしれない
「AIが仕事をするなら、マニュアルはいらなくなるのでは?」
そう思う方もいるかもしれません。
でも、私はむしろ逆の可能性があると考えています。
AIが仕事を進めるようになるほど、
何をするべきなのか。
どの順番で進めるべきなのか。
どんな条件で判断するのか。
どんな場合には人の確認が必要なのか。
といった情報が重要になるはずです。
そして、その情報が整理されていなければ、AIに安心して仕事を任せることも難しいと思います。
もちろん、今あるマニュアルをそのままAIに渡せば、すべてうまくいくわけではありません。
操作手順だけでなく、判断の条件や例外への対応なども必要になるでしょう。
でも、そうした業務の知識を蓄積していくことは、今後の企業にとって大きな資産になると思っています。
これまでのマニュアルは、人が仕事をするために読むものでした。
これからは、AIが仕事を理解し、実行するための情報にもなっていくかもしれません。
マニュアルの役割が、「読むための資料」から「仕事を進めるための基盤」へと変わっていく。
私は、その変化に大きな可能性を感じています。
約10人のOrange Moonが、この未来に挑戦するということ
前回の記事では、約10人のOrange Moonが、大企業の仕事を変えようとしているという話を書きました。
私たちは、まだ小さな会社です。
営業と開発を合わせて10人前後。
会社として整っていないこともありますし、やらなければならないこともたくさんあります。
それでも、ManualForceは3,500チームを超える皆様にご利用いただくサービスになりました。
そして今、AIの進化によって、さらに大きな可能性が見えてきています。
マニュアルを簡単に作ることから始まり、必要な情報をAIに聞けるようになった。
その先には、マニュアルをもとにAIが仕事を進めるという未来があるかもしれない。
もし、それを実現できれば、ManualForceは今とはまた違った価値を提供できるサービスになると思います。
当然、簡単ではありません。
技術的に解決しなければならない課題もあります。
お客様の業務をもっと深く理解する必要もあります。
プロダクトの作り方も、お客様への届け方も、これから変わっていくと思います。
でも、私はそこに今のOrange Moonで働く面白さがあると感じています。
完成されたプロダクトを、決まった方法で広げていくだけではない。
実際のお客様と向き合いながら、新しい課題を見つける。
技術の進化を取り入れながら、これまでできなかったことに挑戦する。
そして、自分たちの手でプロダクトを進化させていく。
営業であれば、お客様の業務を理解し、新しい価値をどう届けるかを考える。
開発であれば、技術的な課題と向き合い、まだ実現できていない仕組みを形にしていく。
どちらも、この事業を進めていくために欠かせない仕事です。
今あるManualForceを広げることも、これからのManualForceを作ることも、両方が面白い。
そんな段階に、今のOrange Moonはいると思っています。
最後に
私たちは、マニュアルを作るためのサービスを開発してきました。
でも、マニュアルを作ること自体が、最終的な目的ではありません。
本当に実現したいのは、企業の中にある仕事の進めにくさを減らすことです。
誰か一人しか知らない仕事。
何度も繰り返している作業。
新しい人が覚えるのに時間がかかる業務。
そうしたものを、テクノロジーでもっと良くしていきたい。
そして、AIの進化によって、これまでとは違う方法でそれを実現できる可能性が出てきました。
マニュアルを自動で作る。
マニュアルの内容をAIに聞く。
そして、マニュアルをもとにAIが仕事を進める。
まだ、そのすべてを実現できているわけではありません。
だからこそ、これから挑戦する意味があると思っています。
Orange Moonは、まだ10人前後の会社です。
でも、これからのAI時代に、企業の仕事がどう変わっていくのか。
その変化を、外から眺めるだけではなく、自分たちのプロダクトで実現する側にいたい。
私は、そう考えています。
マニュアルを作るAIから、マニュアルを活かして仕事を進めるAIへ。
ManualForceの挑戦は、まだまだこれからです。
そんな未来を一緒に作っていくことに、少しでも面白さを感じていただけたら、ぜひ一度お話しできればと思っています。