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出会いから出会いへ。NOパッケージ、完全オリジナル型のコンサルティングをスタートしたときのはなし。<後半>

みなさん、こんばんは。

前回は、オリジナル型のコンサルティングをスタートしたときのはなし。<前半>をUPさせていただき、株式会社二幸さん(代表取締役可児愛久様)と、犬山市の観光と地域の活性化を目指した、オリジナルのおみやげ店を立ち上げるべく、お手伝いさせていただくことになった経緯をお話させていただきました。

この、コンサルティングの取り組みを弊社ではFSS(Friend Ship Shop)と呼んでいます。


自社のブランド10ブランド、店舗30店舗以上立ち上げに携わってきた私でしたが、他社のお店を立ち上げるお手伝いはこの時がはじめてでした。

可児社長がオープンする「むすび茶屋」のお手伝いにおいて、
デザイン・商品MD・店舗の什器・売上管理・スタッフ教育・店舗運営など、考えることとやることはたくさんありますが、ビジネス上で私が大切にしたことは大きく2つあります。

ひとつめは、
「スタート時のハードルは低い取り組みにしたい。」ということです。

お店を作るのにはお金がかかります。さらにその先運営していくことで、賃料・人件費・水道光熱費・商品仕入れ・備品購入などの経費、、、と固定費が必ずかかってくるのも特徴です。

私たちが元気にしたい!と思っている観光地とその場所でお商売をする人たちは、私たちのような企業が運営しているケースもあれば、家族で運営しているおみやげやさんもあります。
私たちも、今ではたくさんの店舗を運営していますが、スタートは1店舗でした。

だからこそ、1店舗のお土産屋さんをスタートするとき「ひとつのオリジナル商品を作成するのに、ロット10000です。」と言われることの辛さや、「そのロゴデザインにショッパーに、ショップカード、デザインフィーと作成費で1,000万です。」の苦悩を私たちは痛いほど知っています。

上記の例は決して、その事業が全ての業態に対して苦悩であるわけでも不可能であるわけではありません。ある一定規模の店舗をスタートする、というニーズと合っていないというだけです。もちろんニーズさえぴったり合えばロットも金額も、何の問題もないこともあるでしょう。

この「ニーズにぴったり合う」ということがFSSの取り組みの大切なキーワードだと思っていたからこそ、自分たちの経験をベースに様々な条件や取り組みを決めていきました。

例えば、この「むすび茶屋」のある犬山の城下町の場合、観光地として成長段階で、未来に焦点をあてる必要がありました。愛知県が取り組むインバウンドへの対策や、周りのホテル建設計画、城下町のみなさんで取り組むイベントなども含め目に見えて成長が感じられたほどです。実際その予想は的中し、お店がスタートする以前と後では、休日の観光客も増え新しい店舗も増えています。
ただし裏を返すと、今だけを切りとると幅広いたくさんのお客様に足を運んでいただくにはまだまだ伸びしろがある観光地であることも確かでした。
オープンの段階で、お店を埋めつくす商品すべてを自社在庫として持つにはリスクが高いし、お客様が欲しいと思うもののマーケティングが済んでいない今多くのオリジナル商品を作るよりも、段階を踏む方がよいと考えました。そのため弊社が提供する既存の商品も、「むすび茶屋」オリジナル商品も、弊社が企画・製造したものに関しては全て委託契約とし、スーベニールで在庫を抱え、売れた分だけお金を払ってもらうという形をとりました。

他には、2階にレンタル着物屋「犬山日和」があり、奥にテイクアウト、手前が弊社がプロデュースする物販という業態であることを利用し、二幸さんのノウハウがあるレンタル着物以外の部分で出来る限り人件費を抑えられるよう、私たちも提案させていただきました。
テイクアウトと物販のレジ位置を一緒にしてしまい、閑散期の人件費を抑えること、シフトの組み方を工夫するなどし、オープン初期からなんとか利益を上げられる仕組みを考えたいと思いました。

お店を成功させるには運命共同体。ブランドやお店は続けていくことで年月が作り上げていくブランド力や安定感、店舗力があります。そこに新鮮味をまたプラスして、また安定して、という繰り返し。犬山の城下町の変化とともに3年5年10年スパンで、成長していけるようしたいと考えています。

もうひとつは、
「当事者として、筋の通ったデザインと店・商品づくりをする」ことです。

自社の商品づくりでもよく失敗例としてあるのですが、例えば何かの商品のデザインをデザイナーが考えていく中で、みんなの意見を取り入れて修正しているうちに、なんだかよくわからない、誰の想いの詰まったものなのかわからないものが完成して、商品化されなかったり売れなかったりすることがあります。
今回のお店も、「どんなイメージのお店にしたいのか」「今やろうとしている商品づくりやグラフィック展開は、そのイメージに合っているのか」を、進んでは振り返り、そしてまた進んでは振り返り、を繰り返しました。

この部分は、私も大変苦労した部分です。
自社のブランドを作るのであれば、例えば自社の他のブランドと比べてどうなのか?どのデザイナーが作るものがイメージに近いのか、などを話して詰めていくことで、ある程度肌感覚でニュアンスとテイストを掴み、「今回はこれだ!」という筋が通りやすいのですが、そういうわけにもいきません。
可児社長が思っている”こんなお店をつくりたい!”を自分に落とし込む必要がありました。

ですので、ヒアリングやブランドイメージを実際に弊社でもテイストを変えて2人のデザイナーが作ったものを見てもらい比較したりなど、共通のイメージを膨らましていく作業を繰り返し行いました。

可児社長との取り組みの後、私がそのあとも実践しているのは、「キーワードを拾い上げる」作業です。
女性らしさ・上品・かわいい・明るい・POP・ハレ感・ほっこり・あたたかい・日本の和のかわいい・ハート・ピンク・京都・金沢・川越・水引・透明感・・・
気になるお店や、参考にしたいお店、いいなと思う空気感など。
言葉だけでは、人によって捉え方も様々なのでもちろんこれと組み合わせて写真をみたり、デザインをみたりを行うのですが、みなさんの頭の中に膨らんでいるイメージを少し視覚で捉えられる気がしています。
他にも、設計・デザインがどのような形であがってきているのか、テイクアウトのメニューをどのようなもので考えられているか、レンタル着物のイメージ写真など、色々なものを見せていただきながら、「むすび茶屋」のイメージを固めていきました。


「むすび茶屋」というお店の名前は可児社長がスタート時よりこれにしたい、とおっしゃっていたのですが、この店名からも人によって感じる雰囲気は様々です。お話の中のキーワードや、いろんな土地のいろんなお店の話をすることで、打ち合わせスタート時に言葉で感じているよりも、女性らしさ、着物のようなハッとする明るさはありながら、上品なかわいらしさをイメージされていると感じ、パッケージなどもそれに合わせデザイナーが作成していきました。
今思えば、株式会社二幸さんの、ハレの日をプロデュースする貸衣装、華やかさ・上品さ・おしとやかさと、業態は違えど繋がっていたような気がします。


商品も、元々可児社長が作りたい!とおっしゃっていたアイテムがたくさんあったので、その中でも私たちが可能性が高いと感じたものから商品化し、さらに、私たちが売れると自信のある商品群を作成しました。
1つめに大切にしていることでお伝えしたように、もちろんハードルはあってはいけないのですが、挑戦も大切だと感じたのも事実です。

可児社長が作りたいと言ってくださった商品は、はじめてのものやロットが多いものもあったので、踏み切るのに勇気がいったのですが、(社内だったら却下にしてるかも笑)ペットボトルの水やハートの最中など、ベスト10に入る人気商品になっています。
可児社長が目指す「むすび茶屋」に筋がとおってぴったり合っている商品を作ることができ、お客様に買っていただけていることは、私たちにも発見であり勉強になりました。


こうしてオープンした「むすび茶屋」。
何度でも訪れたくなるお店になるよう、進化していかなくてはいけません。


オープンして3年、知ってくださっているお客様も増えて、また新たな商品を作って挑戦してみようと話をしていた矢先、コロナの影響を受け、まだまだその苦しい状況から抜け出せずにいます。
これは犬山だけでなく、全国の観光地で同じことが起こっていて、私たちの本拠地京都も同じです。

しかし今はぐっと耐えて、また笑顔でお客様が戻ってきてくれるのを待つしかありません。
力を蓄えて、素敵な「むすび茶屋」をみなさまにお届けしますので、可児社長に、一番最初にお会いしたときの熱い150kmの直球ボール、ホームランにしてみせますので、しばし、お待ちくださいませ。

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