「企業の可能性を解き放つ—それが、私たちの存在意義です。」
ファルムコンサルティングの代表取締役・宮井は、450社を超える経営支援の現場で、そのミッションを愚直に追求してきました。本記事では、薬剤師から経営コンサルタントへと至った独自のキャリア、MVVに込めた哲学、そして札幌という地から世界水準を目指す宮井の想いを紐解きます。
目次
1. 「無駄なキャリアは何ひとつなかった」
Q. 薬剤師から外資系メーカー、そして独立——ユニークなキャリアですが、どんな歩みだったのでしょうか?
2. なぜ起業、なぜ北海道だったのか
Q. ファルムコンサルティングを立ち上げた理由を教えてください。なぜ「起業」を選び、なぜ「北海道・札幌」を本拠地にされたのでしょうか?
① 北海道で見えた「もったいない」
② BtoBとBtoCの両方で得た「売上をつくる自信」
③ 中小企業診断士の養成課程で感じた「違和感」
3. MVVに込めた、価値創出への信念
Q. MVVを通じて、社員やクライアントに一番伝えたいことは何ですか?
4. 短期・中期・長期——3つの時間軸で描く未来
Q. 今後の展望について、短期・中期・長期それぞれでお聞かせください。
宮井 佑輔(Yusuke Miyai)| 代表取締役 CEO
北海道・札幌に拠点を構え、ハンズオン型で中小企業の経営改革を支援する株式会社ファルムコンサルティング。代表取締役の宮井は、薬剤師としてキャリアをスタートし、外資系メーカーでの法人営業を経て、独立。中小企業診断士として現場に深く入り込みながら、これまで450社以上の経営支援に携わってきた。
「価値創出にとことんこだわる会社をつくりたかった」——その想いはどこから来たのか。北海道を選んだ理由、MVVに込めた哲学、そしてAIを軸にした未来の構想まで。代表・宮井の頭の中を、じっくり覗いてみました。
1. 「無駄なキャリアは何ひとつなかった」
Q. 薬剤師から外資系メーカー、そして独立——ユニークなキャリアですが、どんな歩みだったのでしょうか?
最初に就職したのはイオンリテールです。近畿北陸カンパニーのHBC(ヘルスビューティケア)、つまり調剤薬局併設型ドラッグストア店舗に配属されて、薬剤師として勤務しながら、売場管理や販売促進、最終的には店舗運営管理まで担当しました。最初の3年間ですね。
実はこの会社を選んだのには明確な狙いがあって。薬剤師の資格を活かしつつも、病院と調剤薬局だけは絶対に行かないと決めていました。狭い領域で1つの機能だけを担い続けるのは、自分のキャリア形成にとって相当リスクだと思っていて。イオンは当時「グローカル」を掲げていた、小売流通最大手なので、薬剤師であってもいずれ海外で活躍できるような幅広い選択肢が取れる——そう感じたから入社を決めました。
一見、薬剤師の経験と今のコンサルティングは無関係に見えるかもしれません。8割の方からも「全然関係なくないですか?」と言われます(笑)。でも自分の中では、まったくそんなことはないんです。
「薬局の仕事も、コンサルの仕事も、構造はほぼ一緒なんです」
調剤薬局で患者さんと向き合うとき、血液検査の数値という定量データがあって、来局されるご本人の所見や主訴という定性データがある。そこから仮説を立てて支援していく。これって、今のコンサルティングのプロセスとほぼ同じ構造なんですよ。当時それを「無駄なこと」と決めつけて手を抜いていたら、今の自分はなかったかもしれません。
次に転職したのは、ザルトリウス・ステディムジャパンという、製薬企業向けの外資系メーカーでした。ドラッグストア勤務を通じて、自分は売上をつくるのが得意なんじゃないかと感じるようになって。それを突き詰めたいと思ったんです。
業界もガラッと変わり、最初は持っているスキルが活きるのか不安もありました。でも振り返ると、自分にとっての「0→1」の連続だったあの経験こそが、今に一番活きている。持っているノウハウとスキル、知識を総動員して、できることから優先順位をつけてとにかく結果を出す——その経験が、独立後の仕事のやり方そのものになっています。
2. なぜ起業、なぜ北海道だったのか
Q. ファルムコンサルティングを立ち上げた理由を教えてください。なぜ「起業」を選び、なぜ「北海道・札幌」を本拠地にされたのでしょうか?
実は、最初に就職した時点から「いつかは起業したい」「どこかで自分は起業するんじゃないか」という、不思議な感覚がずっとあったんです。ただ、何のために、なぜしたいのかが分かっていなかった。だから会社員時代は具体的なアクションは起こしていませんでした。
決断のきっかけは、大きく3つありました。
① 北海道で見えた「もったいない」
一つ目は、たまたまご縁があって北海道に来たときに、ビジネスの観点から「いい意味でもったいない」と思ったことです。土地、資源、人——どれも本当に魅力的で、まだまだ未開拓の領域がたくさんある。プライベートで住む土地としても、幸福度がとても高い場所だと感じました。
当時、北海道で就職活動もしてみたんです。ビズリーチに登録もしました。でも正直、北海道で「ここに入りたい」と思える会社が一社もなかった。見える範囲では見つからなかったんですね。それなら、もう独立するしかないなと自然に決まりました。
② BtoBとBtoCの両方で得た「売上をつくる自信」
二つ目は、BtoCのドラッグストアと、BtoBの製薬メーカー営業——両方を経験して「売上と利益を上げるのが、自分はかなり得意だ」と確信したことです。経験もスキルも何も持っていなかった起業前の自分とは違い、これならできるんじゃないかと、純粋にそう思えました。
③ 中小企業診断士の養成課程で感じた「違和感」
三つ目が、これが結構大きくて。中小企業診断士の養成課程で、実際の企業支援の演習を経験したんです。Excelで分析して、診断報告書を120ページ書いて……というプロセスをやるんですが、「なんでこんな非効率なことをやっているんだろう」と率直に思ってしまって。
「もっと効率的にやれば、もっと早く価値を出せるのに」
データを一気に統合して時系列で分析すれば、診断書なんて1日にまとめて、すぐ実行に移して売上を上げればいい。そう思ってしまったんですね。実際の診断士の先生方が、こうした非効率な支援をされているのを見たとき、「北海道で1番にはなれそうだな」と率直な感覚で思ったんです。中小企業の現場に触れて、「自分が入ったら、この状況は絶対に変えられる」と。
北海道へのもったいなさ、自分の積んできたスキルへの自信、そして診断士養成過程で培った確信。この3つが揃って、「もう一人でやろう」と決断しました。
3. MVVに込めた、価値創出への信念
Q. ファルムコンサルティングのミッション・ビジョン・バリューについて教えてください。
言葉にすると、こうなります。
Mission
企業の可能性を解き放つ
Vision
顧客と共に成長し続け、日本企業の競争力を世界水準へ
Value
顧客志向 / 自己研鑽 / 自立自助 / 百折不撓 / 志有者事竟成
特にValueの5つは、自分がサービス提供で大切にしていることがそのまま入っているんです。考えに考え抜いて、取締役の伊藤との壁打ちを重ねて、最終的にこの形に落ち着きました。
実はビジョンは、最初もう少し控えめだったんですよ。でも「チャレンジするなら大きいことやろうぜ」「世界水準まで持っていくぐらいでないと」と話していくうちに、こうなりました。中小企業から世界へ——だいぶ飛躍に見えるかもしれません。でも、これからの戦略はすべてこのビジョンに内包されている。だから、目指す方向としては間違っていないよね、と確信できたんです。
Q. MVVを通じて、社員やクライアントに一番伝えたいことは何ですか?
まず一番は、仕事である以上、徹底的に結果と成果を出す——これに尽きます。「価値創出」という言葉が私はすごく好きで、それを本気でやれる企業をつくりたかった。
「人間、生まれたからには、必ず役割を持っている。ただしその役割は、働くことによってしか果たせない。」
船井幸雄さんの言葉で、こういう一節があるんです。最近よく思い返すのですが、人生の中で仕事は時間としても大きな割合を占めます。仕事を通じて、うちに関わる方々の人生の目的が——まだ分からないという方も多いと思いますが——見出せたり、達成できるきっかけになれたら、本当に嬉しい。
「自分がもしこんなスタンスの会社があったら入りたいな」と思える会社をつくる、というのも創業時から意識していました。北海道で「絶対に入りたい」と思える会社が見つからなかった自分自身が、入りたいと思えるような場所。それがファルムコンサルティングです。
4. 短期・中期・長期——3つの時間軸で描く未来
Q. 今後の展望について、短期・中期・長期それぞれでお聞かせください。
【短期】 AIを経営に組み込み、「一人が100社を支援できる」世界へ
短期で言えば、まずAIを本格的に経営に組み込んだ支援です。これだけAIが浸透してきた時代でも、道内企業ではまだ「AI×経営」を本気で設計に落とし込んでいるところは少ない。AIを前提に経営計画を組み直すと、目標数値の達成期間が短縮されるか、目標自体がストレッチするか、必ずどちらかが起こります。それを具体的にどう実装するかは、私たちが非常に得意とする領域です。
もう一つは、AIツールの自社開発。現場に深く入って支援することで、組織課題や業界課題が見えやすい。だからこそ、マーケットイン型でAIツールをどんどん開発しようとしていて、今同時に3つのプロジェクトが進行中、来年は10個リリースを目標にしています。
一人のコンサルタントが個別支援できるのは、せいぜい1人で10社程度。でもAIを経営に組み込めば、一人が100社に波及できる。価値創出の規模を、もっと広げられると思っているんです。
【中期】 事業承継——後を継いで、より良い会社にしていく
中期では、事業承継の課題に取り組みたい。後継者がいないという問題は、本当に大きい。コンサルティング自体はこのまま続けますが、そこを大幅に拡大するというより、私たち自身が事業を引き継がせていただいて、より良い会社にしていく——そうしたプロセスをどんどん派生させていきたいと考えています。
【長期】 ホールディングス化、そして「北海道の粗付加価値の1%・2,000億円」へ
長期で言うと、ホールディングス構想です。M&Aを重ねるとシナジーがどんどん生まれてくる。それを仮説立てて設計し、実行していくのは私自身がすごく得意なところ。中期段階からM&Aで事業を増やしていき、最終的には北海道の粗付加価値の1%、つまり2,000億円規模を目指しています。
「中小企業から世界へ。本気で価値を出し切る会社をつくる」
飛躍に見えるかもしれません。でも、戦略は短期から長期まで、すべてこのビジョンに内包されています。