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オーナーはゴールド、フォロワーはプラチナ。

スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。
新規事業開発を成功へと導くために「未来の物語」を書く事業作家として働く中で考えていることを書き留めています。

職業、事業作家。(毎週月曜日更新予定)|KAZUHIKO KAWASHITA | 川下和彦|note
スタートアップスタジオquantum(クオンタム)のクリエイティブ担当役員であり、事業作家である川下和彦が、日々新規事業開発に取り組むなかで考えていることをまとめたマガジンです。
https://note.com/kazukawashita/m/mf634b5615c93

前回までは、「誰がプロジェクトのオーナーになるべきか」「オーナーにはどのような資質が求められるか」「組織内にそのような人材が見つからないとき、どこを探せばよいのか」など、プロジェクトオーナーの決め方を紹介してきました。

さあ、オーナーが見つかったとします。それは、『西遊記』に喩えるなら、三蔵法師役が決まったようなものです。そうなると、ここからは事業の立ち上げを目指して、孫悟空、沙悟浄、猪八戒という、自分にはない、それぞれに異なる能力を持ったメンバーをリクルーティングしていくことが重要になります。

では、オーナーは具体的にどのようにして他のメンバーをアサインしていけばよいのでしょうか。一重にチームづくりと言っても、解決すべき課題と、そのために立ち上げる事業によって、求められるメンバーは大きく異なってきます。例えば、ものづくりに関わる事業を開発する場合には、プロダクトデザイナーやメカエンジニアが必要になりますし、プログラムづくりに関わる事業を開発する場合には、システムエンジニアやプログラマーが必要になります。

ここで2つだけ、鉄則があります。

それは、「オーナーは、オーナーをアサインしてはならない」、また、「フォロワーになると決めたメンバーは、フォロワーに徹する」ということです。言い換えれば、三蔵法師は2人いらない。さらに言えば、いてはいけない。とわたしは思っています。

天竺を目指す旅で、2人の三蔵法師が「こっちが天竺だ」「いや、あっちが天竺だ」と言い始めたらどうなるでしょう。言うまでもなく、“船頭多くして船山に登る”状態になり、プロジェクトは遅延し、最悪の場合はチームが分裂してしまうことだってあるかもしれません。

オーナーが複数になってはいけない。そんなこと当たり前だと思われるかもしれません。しかし、プロジェクトマネジメントの経験や知識が不足していると、各領域のプロフェッショナルが頼りなく感じていつの間にか舵を取り始め、ダブル(あるいはトリプル)オーナー体制になり、結果、チームが崩壊していくというケースは実は少なくありません。

プロジェクトのオーナーになると決めた人は、覚悟をして最後までやりきる。そのプロジェクトにフォロワーとして参加すると決めた人は、とにかくフォロワーに徹してオーナーを支えることが鉄則であると、わたしは考えています。

「日本にはリーダーが足りない」「もっとリーダーシップを持つべきだ」と言う論調がしばしばメディアを賑わすこともあり、仕事熱心で真面目な方ほど、プロジェクトを先頭に立って率いていかなくてはならないという考えを持つ傾つ向がありますが、必ずしもすべてのプロジェクトでリーダーになる、あるいはリーダーシップを発揮する必要はありません。そもそも向き不向きがありますし、オーナーとして率いていくプロジェクトもあれば、フォロワーとしてプロフェッショナリティを活かすことでチームに貢献するプロジェクトがあってもよいのではないでしょうか。

実際、わたしもオーナーになっているプロジェクトと、フォロワーになっているプロジェクトの両方が同時進行しています。確かに、オーナーはチームの王将的存在ですからわかりやすくキラキラ輝くゴールドだと言えるかもしれません。しかし、そうだとすると、オーナーを支え、事業の具現化に貢献するフォロワーも、とても貴重な価値のあるプラチナなのです。

次回は、この記事の途中で触れた多様な経歴や職能を持つ組織形態のことについて、もう少し詳しく紹介したいと思います。

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