仕組みを磨く側から、創る側へ。ラクスルグループ 経営幹部が語る、大手とベンチャーの舞台で築くキャリアパス【セミナーレポート】
「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、印刷、広告、物流といった多様な領域で事業を展開しているラクスル。
本レポートは、トヨタ自動車で10年間生産性を高めるための業務改革を推進し、その後ラクスルにジョインした上級執行役員・渡邊 建氏が登壇したキャリアセミナーの内容をお届けします 。
渡邊氏が語る、「IT×リアル」で産業の仕組みを創り変えるミッション と、大手企業・ベンチャー企業のキャリア形成や、新卒への期待について発信します。
登壇者プロフィール
ラクスル株式会社 上級執行役員
ラクスル事業本部 本部長
渡邊 建
Watanabe Tatsuru
京都大学工学研究科卒業後、トヨタ自動車株式会社を経て、2017年7月ラクスル株式会社に入社。
ラクスルの根幹である印刷プラットフォーム事業において、顧客に商品を「安く、早く、高品質」に届けるための供給戦略の企画や、提携工場の生産性をさらに高めるための業務改革(BPR)などを推進。 さらには、新規事業の開発、M&A(企業の合併・買収)でグループに加わった企業の価値を最大化する統合プロセス(PMI)まで、事業成長の様々な局面をリード。
2022年8月、株式会社ダンボールワンの代表取締役社長に就任。2023年6月より株式会社ラクスルファクトリーの社外取締役を兼任し、ラクスルグループ全体の成長に貢献。
「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」BtoBプラットフォームを目指すラクスル
──ラクスルはどのようなサービスを展開している会社ですか?
「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げ、BtoB領域を中心に多様なサービスを展開しています。ベンチマークとしているのは、Amazonや楽天といったプラットフォーム企業です。彼らがBtoC領域で成長を遂げてきたように、私たちはBtoB領域でお客様の経営課題をワンストップで解決できる「BtoBプラットフォーム」となることを目指しています。
※2025年12月時点のサービス図
──これまでどんな事業を展開してきたのでしょうか?
これまでデジタル化が進んでいない伝統的な業界にインターネットを持ち込み、産業構造の変革に取り組んできました。祖業である印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」をはじめ、マーケティングのプラットフォーム「ノバセル」、物流のプラットフォーム「ハコベル」、ITデバイスとSaaS統合管理サービスの「ジョーシス」など、内製での事業立ち上げと連続的なM&Aによって、事業と顧客の領域を拡張させながら、独自の強みを有するポートフォリオカンパニーへと成長しています。
世界一を体感できる大企業からベンチャーへ転身したキャリアストーリー
── 数ある企業の中で、新卒でトヨタ自動車株式会社に入社した理由は何でしょうか。
私自身、「社会に大きなインパクトを与えたい」という想いが根底にありました。当時、『The Goal』という小説が流行っていて、産業を変える、大きなインパクトを残すということに非常に面白さを感じました。製造業というものが世界に展開できる、スケールの大きいモデルだと考え、日本には世界レベルのオペレーション・サプライチェーンを持っている会社がある。そこに入社して、インパクトの大きさを体感したいと思ったのがきっかけです。
── その後、ラクスルへの転職を決めた理由は何でしょうか。
トヨタ自動車は今でも本当に尊敬しており、世界に大きなインパクトを与えるトヨタ自動車の強みである「オペレーショナル・エクセレンス」を体感できました。
しかし、10年間勤める中で、完成された環境を維持・運用する役割から、自らの手で新たなモデルや仕組みを構築する側へと踏み出したいという思いが強まったのが転職のきっかけです。ラクスルのITを使って世の中の仕組みを変え、大きな産業を変えようとしている広がりに、「トヨタ自動車のような会社を創れるのではないか」と思ったことも理由の一つで、入社を決めました。
大企業が求める「精密を高める実行力」とベンチャー企業が求める「課題設定力」
── 大手企業、ベンチャー両方のキャリアを歩んできましたが、大企業で求められる力とメリットは何でしょうか?
まず、大企業で働くことの最大の価値は、「世界一のモデルを高解像度で体感できる」経験を得られる点にあります。なぜその会社が世界で大きくなっているのかという具体的なメカニズムを、組織内部から知ることができるのは非常に貴重です。また、自分の活動が遠心力が効いて大きくなり、大きなインパクトが出やすいという特徴もあります。
一方で、大企業で成果を出すために求められるのは、「精度を高める実行力」です。企業が持つ出来上がった素晴らしいサービスと、それを実現する裏側のモデルは確立されているため、そのモデルをいかに効率的かつ高精度で磨き上げていくかという点が重要になります。
また求められるのは、決められた領域において徹底的に実行できること、精度を高めることです。関係部署が多いので、それを推進するための社内の解像度を高めること、プロジェクトを成し遂げるためのキーパーソンを特定して動かしていけるかといったリレーションの構築能力も不可欠となります。
── 一方でベンチャーで求められる力とメリットは何でしょうか?
対照的に、ラクスルのような成長ベンチャーでは、「自分の力でインパクトを創り、大きくする」経験が得られます。規模は小さくても、自分の貢献が会社の業績にダイレクトに紐づくようなところで働きたいという想いを実現できます。
成長ベンチャーで成果を出すために何より重要なのは、「課題設定力」です。大企業のように確立したモデルがないため、何をやるか、どこからやるかなどを自分で考えなければなりません。自分で決めて成し遂げることが大事であり、その課題設定や実現力が非常に重要だと言えます。さらに、不確実な状況が多い中でリスクを取って意思決定をすること、つまり、失敗を前提に突き進めることが強く求められる能力となります。
不確実性を力に変える、20代で磨くべき力と成長を加速させる打席数
── ラクスルの事業家について教えてください。また、キャリアパスはどのように描いていくのでしょうか。
ラクスルには事業責任者になる大まかなルートがあります。私たちは事業開発(BizDev)と呼んでいますが、サービスを創る上でプロダクトやマーケティングなど、あらゆる要素を自分で弾けるようにならないと、事業責任者にはなれません。
事業開発は、その中でいくつか自分の領域を持ち、そこを高めていく「総合力」を求められる人材です。ここから、事業部長や、ある一定の領域のプロフェッショナルである機能部長といったルートがあります。
私自身は、元々トヨタ自動車で10年間サプライチェーンをやってきた経験を強みにして、最初は機能部長から、事業部長、そして事業経営者になっていったルートです。
キャリアの築き方として、0→1の事業立ち上げ期の実務において、お客様対応からサービスを実現させるオペレーションまで、すべてを自分で決めるという経験を積むこと。
そして、事業をグロースさせる1→10、10→100のフェーズで、数百億円規模の印刷事業リーダーとして経験を積んだり、M&A戦略の一環としてダンボールワンという会社をラクスルと統合し、提供価値を高めることにダンボールワン株式会社のCEOとして取り組みました。
こうした新たなチャレンジに積極的に取り組んでいくことによって、結果的に事業経営者のルートを進んでいきました。自分の中でどういう能力を高めていくか、どういうキャリアに上っていきたいのかを持っておくと、目の前に転がってきたチャレンジを取れるようになると思います。
── 事業家となるために、新卒で意識すべきことや、20代にやるべきことは何でしょうか。
事業家はポータブルスキルではなく、総合格闘技の積み上げだと思っています。意識・やるべきことは2つです。
1.目の前の課題で「誰よりも大きな成果」を出す
目の前の課題に本気で取り組み、他の人よりも大きな成果を上げること。いかにこの中でこのチャンスを最大化できるかに振り切れるかで、成長カーブが大きく変わると思います。
2.構想力(仮説検証)を高める
目の前の課題の奥にある構造、背景や、メカニズムを想像し、自分なりに仮説を持って取り組むこと。仮説は間違っていてもいいです。スタンスをとり、試してみて、振り返り答え合わせの連続を回すことによって、事業家としての伸びしろが決まると思います。
── 仮説検証の質を高め、「やり切る力」を磨くにはどうすれば良いでしょうか。
振り幅を持ってやりきることが大事です。明確なKPIを置き、ちょっとの失敗を恐れず、白黒つけることが非常に大事だと思います。失敗したら次はこっちの道ではないと自分で納得がいくのですが、わからなかったら方向を変えられず、そこで停滞してしまいます。新しい事業を進めるにあたり、停滞は成長の機会を失うことにつながるので、いかに前に進めるようにするかが重要です。
未来を創る視点。キャリア形成における「成し遂げたいこと」の重要性
── ラクスルで「IT×リアル」を使って産業を変革する醍醐味はどのような点でしょうか。
大きな醍醐味は、IT完結型のサービスでは実現し得ない、難易度の高い「掛け算」に挑戦できる点にあります。これまでのIT完結型のサービスは、M&Aによる業界再編が進み、他社による模倣も容易になった結果、体力勝負のフェーズに入りました。これは、サービス自体の革新性のみならず、いかに多くのサービスを揃え、強力なセールスチームでそれを売り切るかという、資本と組織の総力戦になったと思います。
しかし、ラクスルが挑戦しているのは、ITを使って世の中の仕組みを変えるという「IT×リアル」の領域です。この領域は難易度が高いですが、ITだけでは成し遂げられない「掛け算」ができる事業にこそ、次の大きな投資の領域になりうるチャンスがあります。もちろんAI領域もありますが、私たちはAIをそれ自体が独立した領域として見るのではなく、「どういうサービスにAIを組み込んでいくか」という掛け算の対象として捉えています。つまり、事業の根幹にどうAIを組み込めるか、それによってお客様の価値をどのように高められるかという視点が重要です。
このように、「IT×リアル」の複合的な課題に対し、最新のテクノロジーを組み合わせて解決を試み、その結果として社会や産業を変えていくことこそが、ラクスルで働く醍醐味だと言えます。
── 事業家としての市場価値を高めるには、どの会社をファーストキャリアに選ぶべきでしょうか?
何を「市場価値」の判断基準に置くかによって変わってきます。
例えば、報酬面を重視するのであれば、ベンチャー以外のキャリアが良い可能性もあるかもしれません。しかし、ご自身が「どういうサービスを創りたいか」「何を成し遂げたいか」というキャリアの軸に重きを置かれるのであれば、リアル産業を変革する領域に挑戦するのは意義深いことです。
加えて、私自身の経験からもお勧めしたいのは、「自分が心から燃えるもの」に身を置くことです。どれだけ成長分野であっても、自分が本気で情熱を注げなければ、最大限のパフォーマンスは発揮できません。まずは自分が燃える領域を見つけ、その上で、事業観点からその課題にアプローチできる会社を選ぶという視点が非常に重要になるでしょう。
── 「心から燃えるもの」を見つけるためのアドバイスをお願いします。
成し遂げたいことや志は、最初から完成しているものではなく、スパイラルアップしていくものだと考えています。
まずは、ある領域に取り組んでみて何かを成し遂げることによって、その先が見えるようになる。そのチャレンジによって自分の視座が上がり、一段上層の概念まで考えられるようになるというサイクルです。その最初のきっかけとして、事業ドメイン(小売、車など)や、あるいは働く仲間が大事な場合、人で選んでもいいと思います。
また、ご自身のこれまでの経験の中で「楽しかった瞬間」を思い出してみることで、自分の中のスイッチがどこにあるのかを言語化できるかもしれません。例えば、「困難な課題に直面し、それを乗り越えて達成した瞬間に燃える」、「特定のチームや人と協力して一つの大きな目標を達成した時に喜びを感じる」、あるいは「誰かの困りごとを解決して感謝された瞬間にやりがいを感じる」など。過去に感じたポジティブな感情の源泉を探ることで、ご自身のキャリアで追求すべき本質的な価値観が見えてくるはずです。
── ラクスルをファーストキャリアに選ぶメリットとデメリットは何でしょうか。
ラクスルをファーストキャリアに選ぶことの特異性、メリットは、弊社の企業戦略が新規事業の立ち上げやM&Aを積極的に行うことにあるため、その分、事業責任者がいないと戦略が成り立たないという点です。したがって、社内では次々と「打席」が生まれており、若手の方にも積極的にチャレンジしてもらうという形になっています。これは、事業家として成長したい方にとって、非常に良い機会になると言えるでしょう。
一方で、デメリットとしては、育成の仕組みが一般的な大企業ほど整っているわけではないという点が挙げられます。私たちの育成方針は、細かい段階を踏むというよりも、不確実なチャレンジを機会として提供し、そこで活躍して成長してもらうという「機会提供ベース」です。そのため、不確実性が苦手な方や、確立された環境で経験を積みたい方には合わないかもしれません。
未来の事業家へのメッセージ
──最後に学生の皆様へメッセージをお願いします。
私たちが目指すのは、産業のインフラとなって100年選ばれ続けるエクセレントサービスを創ることです。
ラクスルには、この目標を達成するために、新規事業の立ち上げやM&Aを積極的に行う戦略があり、若手の方にも事業責任者として「打席」が回ってくる環境があります。
自分で変化を創り、不確実性を乗り越え、誰よりも大きな成果を上げたい。そして、自分の本気がダイレクトに会社の業績に紐づく環境で、産業を変えるという大きなインパクトを残したいと思うなら、ラクスルは最高のフィールドです。
不確実性を楽しみ、失敗を恐れず突き進む気概を持つあなたと、共に大きな事業を創れることを楽しみにしています。
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