ラクスルグループ
株式会社FUSION 取締役CRO
楠 勇真
Kusunoki Yuma
東京大学経済学部卒。2020年4月にラクスル株式会社に新卒で入社。広告領域の新規事業「ノバセル」に配属され、約40社のお客様のマーケティング戦略をサポート。2年目にはラクスル史上最年少マネージャーとしてSaaSの事業開発を担当し、3年目からは営業部長としてノバセル営業部門を統括。その後、ノバセル株式会社 事業開発部 マネージャーとしてAIを用いたWeb広告事業を立ち上げ、事業責任者を務める。現在はグループ会社であるFUSION取締役CROとしてスタッフ部門を統括。
幼少期の環境が育んだ「結果へのこだわり」
──幼少期はどんな環境で過ごされていましたか?またその環境が、今の楠さんの価値観にどのような影響を与えているか、教えてください。
会計士として個人事務所を持ち、ベンチャー企業のIPO支援などを手掛けていた父のもとで育ちました。父は幼い頃から数字と結果に非常に厳しかったですね。上場しなければ株が紙切れになる、というベンチャーの世界にいたからこそ、「結果を出すか出さないか」というシビアな考え方を持っていたようで、小学生の頃から「結果を出していない」と常に言われ続けていました 。
その結果というのは、テストの点数のような分かりやすいものではなく、もっと抽象的なものでした 。簡単に言えば、「経済的価値を生み出すこと」が結果だと示唆されていたように思います。
──それはハードな環境ですね。その経験が今の楠さんの価値観を形成するうえで影響している部分はありますか?
そうですね、とにかく「結果を出すこと」にすごい執着というか、こだわりを持つようになりました 。もちろん、それらしいことを言うのは簡単ですが、結果を出すことで初めて、自分の取り組みが価値を持つと常に考えています。この経験があったからこそ、辛いことがあってもめげずに頑張る力がついたと思います 。
学生時代の多様な経験。エンジニアからWebマーケティングへ
──学生時代はどのように過ごされていましたか?
大学1年生の頃は、塾でチューターのアルバイトをしていました。生徒と向き合い、感謝されることにやりがいを感じる一方で、このままでは自己成長できないという危機感を覚えました。そんな時、友人がインターンで活躍しているのを知り、ビジネスの世界に足を踏み入れることを決意しました。当時友人が働いていた会社は募集していなかったので、自分で学生起業している会社を探しました。そこで見つけたのが、教育関連のアプリを開発している学生起業の会社です。
元々教育には興味がありましたし、何よりエンジニアとして開発を経験してみたかったので、募集が出ていなかったのですが、問い合わせページからインターンしたいと連絡しました。
──エンジニアとしてのインターン経験で、得られたことは何ですか?
インターンでは約1年半にわたり、開発に加え営業やPM、デザインまで幅広く携わりました。お客様からのフィードバックをもとに改善を繰り返す「手触り感」のある経験ができたことは、非常に貴重だったと感じています。この経験を通じて、人がサービスを作っているということを強く感じましたし、エンジニアとのコミュニケーションも円滑にできるようになりました。
ただ、開発自体は楽しかったものの、自分は「技術そのものが好き」なわけではないと気づきました。作りたいものがあるから技術を使う、という発想のもと、PMとしてお客様に直接価値を届けたり、価値そのものを見つけにいったりするプロセスに、より楽しさを感じるようになりました。その方がレバレッジが効くとも考え、開発ができる人の力を最大限に発揮できるポジション、つまりマーケティングやセールス寄りの職種にも目を向けるようになりました。そこで、新たに大学の先輩が立ち上げた会社でWebマーケティングのインターンを始めました。
ラクスルとの出会い。仕組みを変えるというビジョンへの共感
──インターンでさまざまな経験をされていましたが、就職活動ではどのような軸で企業を見ていましたか? そして、ラクスルとの出会い、入社の決め手は何だったのでしょうか?
学生時代に自分で事業に携わることが楽しかったので、事業開発や事業創造ができるポジションにいち早く行ける会社が良いと考えていました。また、短期的な価値を中心に生み出す仕事ではなく、中長期的に世の中に価値をもたらす事業に挑戦できる会社を探していました。
背景として、当時WebマーケティングのインターンでSEO(検索エンジン最適化)を経験した際、その仕事の性質に限界を感じたことも大きかったからです。自分で仮説を持って検証し、数字を回して成果が出るプロセス自体は、勉強で点数が取れる感覚に似ていて非常に面白かった。一方で、どれだけ努力を積み上げても、Googleのアルゴリズムアップデート一つでルールがまったく変わってしまう。目の前の仕事が長期にストックしていく、繋がっていく感覚が持ちにくく、それがつらいと感じることも多かったんです。自分は、目の前の仕事が長期的にストックしていくと感じられることが大事なんだ、という気付きを得ました。
そんな時にラクスルと出会い、リアルで伝統的な産業である印刷というドメインで事業を展開していることに惹かれました 。当時、IT系のベンチャー企業はオンライン完結型のビジネスが多かったので、リアルな産業にITを掛け合わせているラクスルが魅力的に映りました。
何より「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンに非常に共感しました 。印刷だけでなく、物流でも同じビジョンを掲げて事業を展開していることに感銘を受けましたし、どんな産業であっても、中長期的に仕組みを変えることで世界を良くできる会社ではないかと感じました。
新卒入社からグループ会社取締役へ。組織を動かし新たな「仕組み」を創る挑戦
── 入社後、どのようなキャリアを歩んでこられましたか?
ノバセルに配属され、1年目はテレビCMのコミュニケーション戦略立案、メディアプランニング、効果分析など、広告代理店の業務全般を経験させてもらいました。
2年目にはSaaSの事業開発に移り、ノバセルアナリティクスというSaaSの開発に携わりました。2年目の後半からは営業責任者として、複数の事業領域を横断した営業組織の立ち上げと拡大に尽力し、2025年の春に、事業開発のポジションとして、ノバセルのAIを活用した新規事業の立ち上げを担いました。
現在はグループ会社である株式会社FUSION(以下、FUSION)の取締役に就任し、CROとしてスタッフ部門の統括や組織運営を行っています。
── グループ会社の取締役就任の背景と、具体的にどのようなミッションを担っているのか教えてください。
ノバセルが掲げる「マーケティングの民主化」を加速させるため、2025年にデジタル領域とクリエイティブに強みを持つFUSIONがグループに加わりました。広告配信がAIによって最適化されていく中で、より「クリエイティブの力」が重要になると考えたからです。私は、両社のシナジーを最大化させるために、FUSIONの経営に参画することになりました。
現在取り組んでいるミッションは、「新しい組織運営の構築」です。プロフェッショナルな能力を持つ方々を仲間に引き入れ、その知見を組織全体にインストールしていくピープルマネジメントや、制作管理の仕組み化など、会社を伸ばすためのことは何でもやっています。これまでは仕組み化や「誰でもできるようにすること」を重視してきましたが、現在は「優秀な人たちが最大限の力を発揮できるチームをどう作るか」という、より高い視座での組織設計に面白さを感じています。
── これまでのラクスルのキャリアを振り返って得られた学びを教えてください。
振り返ってみると、大きく3つあります。
1つ目は、「マーケティングとセールスの重要性」です。どれだけ優れたサービスがあっても、それを広める力がなければ価値が届かないサービスが世の中には沢山あります。「どう強いコンセプトにまとめ上げ、選ばれ続ける状態を創るか」というマーケティングの視点は、事業を成功させる上で重要な要素だと改めて感じています。
2つ目は、「ビジョンとバリューの体現」です。サービスが最終的に選ばれ続け、顧客にとって代えがたい存在になるためには、会社が何を成し遂げたいのかというビジョンが、組織の末端まで深く浸透している必要があると学びました。ラクスルの強みは、まさにここにあると実感しています。
ラクスルには「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンがあり、それを具現化するための「Reality(解像度)」「System(仕組み化)」等といった行動指針が存在します 。 組織の隅々にまでこの行動指針・カルチャーが行き渡っているからこそ、どのような状況でも一貫したサービス品質や顧客体験を届けることができる。その積み重ねがブランドとしての信頼となり、強固な強さに繋がっていくのだと、これまでの経験を通じて強く感じています。
3つ目は、最も大きく実感している要素ですが、「組織と人の重要性」です。これまでは「仕組み化」や「誰でも同じ成果を出せること」を重視してきましたが、FUSIONでの経営経験を通じて、その考えが変わりつつあります。プロフェッショナルな能力を持つ優秀な人をいかにチームに巻き込み、その人たちが最大限のモチベーションを持って動ける環境を作るか。採用、文化の形成、そしてアサイメントといった組織の構築が、事業成長においてレバレッジが大きく効く要素であると感じています。
──新卒入社以来、多岐にわたるキャリアを歩まれてきましたが、楠さんの挑戦を支える原動力、そしてラクスルという環境でそれを追求し続ける理由は何でしょうか?
1つ目は、やはり「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンへの共感ですね 。印刷や広告といった非効率な産業を、テクノロジーの力で根本から変えていくという壮大なミッションは、学生時代に「短期的な価値しか残らない仕事は難しい」と感じていた私にとって、まさに探していた答えでした。このビジョンが、中長期的に社会に貢献できる大きなやりがいとなり、私の挑戦の原動力となっています。
2つ目は、圧倒的な当事者意識を持って事業に取り組める環境です。ラクスルでは、事業開発という華やかな言葉の裏側で、業界の課題や非効率性を改善することに心からワクワクし、オーナーシップを持って仕組みを変えようとする熱量が求められます。また、会社が大きすぎないからこそ、「本気でやりきって結果を出さないと中途半端になる」という良い意味での危機感を持ちながら、自分を追い込める環境があると思っています。
3つ目は、周囲に優秀な社員がたくさんいることです。社員が皆、高い視座で仕事に取り組んでいるので、いつでも気軽に相談できる環境があります。特に事業開発メンバー同士のつながりが強く、お互いに刺激し合えるコミュニティがあることも、ラクスルならではだと思います。こうした事業開発者たちと共に、まだ誰も見たことのない未来を創り出す挑戦を続けられることが、最大の魅力だと感じています。
「仕組みを変える」ビジョンとオーナーシップが、挑戦の原動力
──最後に学生へメッセージをお願いします。
事業開発という言葉は、一見華やかに聞こえるかもしれません。ただ、私たちが求めているのは、与えられた役職やタイトルではなく、業界の課題や非効率性を改善することに心からワクワクし、オーナーシップを持って仕組みを変えようとする情熱です。
もし「仕組みを変える」という挑戦に共感し、自らの手で未来を創り出すことに面白さを感じるのであれば、ぜひ一度ラクスルの門を叩いてみてください。あなたの「こうしたい」という強い意志を歓迎し、共に社会をより良くしていく挑戦を心待ちにしています。まだ見ぬ未来を創造する旅に、一緒に踏み出しましょう。
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