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点でも線でもなく、人生は面。RCFは、ぶれない想いへ繋がる道筋上の座標のひとつ。佐久志歩(RCFの社会事業コーディネーターインタビュー)

都会と田舎の差から、アフリカへ。ビジネスでアフリカの課題解決に関わることに決めた原体験。

私は長野県の田舎で育ちました。

当時は田舎にあって都会に無いものの有り難さに殆ど気づくこともなく、逆に都会と田舎の差、それも選択肢の質・量の差が、そこにいる人の思い描ける未来の差にまでつながっていることを、とても強く感じていたんですよね。

首都圏の大学に進学したことで、都会の暮らしは大体わかった。その頃から、都会と田舎の差への疑問は、先進国と途上国の差への疑問に変わっていった。たまたま他の先進国に行く機会を持てたことで、自然と途上国に目が向きだした。途上国の暮らしを知りたい。行くなら「最底辺の暮らし」と言われているアフリカなんじゃないか、と思い、休学してアフリカで援助活動を行うNGOに入りました。

アフリカでは、確かに援助が必要な地域もあるけれど、援助だけでは地域の暮らしは持続しないと率直に感じました。一方で、貧しいと呼ばれている地域であっても、青空マーケットではとても生き生きと商売を営んでいるおばちゃんがいたり、日本含め海外からの大企業が大規模インフラ建設事業を展開し、そこには現地人の雇用が生まれ、次第に家族や行商人たちが集まって新たな町が生まれていく、そんなビジネスがもたらす風景を垣間見てきました。

ビジネスでアフリカの人たちの暮らしを良くすることはできる。自分はそれに関わりたい。私はこれを軸に、これからの自分の人生を進んでいこうと決心しました。

将来アフリカでのビジネスに関わっていくためには多様なキャリアの積み重ねが不可欠と考え、開発学を学んだうえで帰国し、マーケティングリサーチ会社に新卒入社。グローバル企業を中心に様々な案件を担当しました。

やがて、リサーチだけでなく、その結果を活用したプランニングや推進までやりたい。しかも途上国に関連することを。

そんな思いで次のキャリアを求めていた転職活動中に出会ったのがRCFです。地域の課題解決に向けて、企業の力を巻き込みながら実現させていく。これやりたい!とすぐ思いました。

なんと、面接官の方が面談そっちのけで「CSV」(共通価値の創造)についてホワイトボード使って30分間熱く語るという珍事が(笑)。「援助」でも「CSR」でもない、「CSV」という社会への関わり方はすごくしっくりくるなと素直に思いました。また、それを、企業を巻き込み「事業」として推進する団体として、RCFは稀有な存在だと思った記憶があります。

RCFは東日本大震災からの復興支援をルーツとした団体ですが、2014年入社当時、私は復興支援とは異なる動機でRCFに参画した、当時まだ数少ないメンバーのひとりでした。

コーディネーターとして、「価値をつくりあえる社会」を実現するために俯瞰の目を持ち、責任を持つ。やりきって当たり前。難しいけれど、面白い。

RCFに参画するまで、日本国内をすっとばしてずっと海外ばかりに目を向けていた私ですが、RCFがとりくむ案件を通じて、少子高齢化や子どもの貧困問題、地域産業の衰退や地域コミュニティを維持することの難しさなど、掘れば掘るほどこの日本に社会課題がたくさんあることを知りました。次第に、日本の課題解決に関わり、改善策を考え、打ち出すところまで踏み込んでいきたい、と考えるようになりました。

RCFが取り組むコーディネーターの仕事はいわば「黒子」。地域住民や課題当事者がいて、彼らを支援したいNPOや行政・企業がいる。彼らだけでは前進しにくい場面へコーディネーターが入り、皆に共通のビジョンを見せつつ、後ろから背中を押す役割。

…実をいうと、RCFに参画した当初「黒子」はいやだな、物足りないなと思っていたんです。

けれど、これまでに3人のマネージャーと仕事をしてきたところ、3人とも同じ考えを持っていました。それは「自分たちが実現したい社会をめざすために、誰にどう動いてもらったらいいかを、とことん考え仮説を作り、相手が自然と動くように計らい、確実に結果を出す。そのほうが、自分一人で動くよりも、よほど大きな目標を達成できる」ということ。まさにRCFがとっているポジショニングそのものであり、非常に共感しています。

ちなみに、3人ともとても良い方々。やりたいと思ったことを任せてくれたり、クライアントの前でメインで動けるよう、打合せ前にMTGファシリテーションの練習に付き合ってくれたり(笑)。

とはいえ、コーディネーターという仕事は難しい。プロジェクトの全成果責任を負う意気込みで、みんな取り組んでいます。全体が見えるよう一歩引いた立場に身を置き、常に目配りをして、問題化する前に防ぎ、欠けが出れば補い、行き過ぎがあれば落ち着かせる。

こういった仕事の中で、しんどいときの絶対的な拠りどころとなるのが、掲げる「ビジョン」。「ビジョン」の種は、地域などの現場にあります。その種が芽吹くためには、地域の住民の皆さん等当事者だけでなく、私たち外部の者が一緒になって時にはリードしながら、今ある世界を直視し、誰の・どんな状態を実現させたいのかを突き詰めることで出来上がるものだと私は思っています。自ら掲げたゴールに向かって全ての人を巻き込んでいくものだからこそ、コーディネーターが目指すビジョンって、価値あるものじゃないといけない。

しかも「無事に終えて、当たり前」。計画したタスクをこなすだけでなく、+αで出てきた仕事までもしっかりカバーして、初めて評価されます。「黒子」と呼ばれる仕事は世の中に多々ありますが、コーディネーターの仕事も、つつがなく終えることが当たり前で、光が当たることは滅多にありません。

ただ、RCFのコーディネーターという「黒子」は、誰かに言われた仕事をする「黒子」ではなく、自分の考えや判断、裁量を活かしてビジョンづくりから実現・実行に関わり続けていけることが、大きな魅力のひとつだと思う。だから結局やめられない(笑)。

社会と仕事と、自分の人生。ミックスさせれば、点が線になり、線が面になっていく。

RCFでの最初の仕事が「BtoS PROJECT」だったことは幸運だったと思います。「BtoS PROJECT」は、ビジネスとソーシャルのセクターの壁をなくしていこうという人材流動促進事業。私はNGOも企業も経験していて、まさに当事者。みんなが当たり前のように、職業としてソーシャルセクターも選択できる社会をつくる、というプロジェクト趣旨と私の仕事観が非常にリンクしたプロジェクトだったので、とても共感して取り組めました。

BtoS PROJECT」では、活動を通じて自分と同年代で組織の中で似たポジションの他団体の人たちと個人的な友人関係になり、そのネットワークが仕事でも役に立つ、という好循環が生まれました。例えば、プロジェクトで大事なインタビュー企画の人選をしたら、自分の友人が選ばれた、ということがあったのですが、それはとても嬉しかったですね。

また、その仲間5〜6人で、離島で内省合宿したりもしました。「いつかはアフリカの生活改善に貢献するビジネスの事業開発に関わりたい。そのためにいま、RCFで何をすべきか、キャリアとしてのネクストステップをどうするか」を真剣に考え、アドバイスをたくさんもらいました。

そこで得た気づきのひとつが、私はRCF参画後「日本で自分が関われるアフリカ」をちゃんと探していなかったこと。そこで彼らのネットワークを通じてご縁をいただいたのが、いまプロボノで参画している「NPO法人AfriMedico」です。

ちょうど合宿を行った頃に担当していたプロボノプロジェクトを通じて「本業の傍らプロボノ」は難しいようでいて、実はけっこう自分次第で可能だと学びました。昨今、副業に関する世論や法制度が変わりつつありますが、稼ぐための仕事とそれ以外を、天秤にかけるのではなく、切れ目なく融合させる考え方こそが、キャリアの可能性を広げると思います。ワーク・ライフ・バランスではなく、ワーク・ライフ・ミックス。実はこの活動を通じて、年末年始休業を利用して10日間アフリカでの事業立ち上げの準備にも行ってきました。

点でも線でもなく、人生は面。自分自身を広げる座標のひとつにRCFがある。

プライベートの学びが仕事で生き、仕事での出会いが次のキャリアの足がかりになる。それが今、まさに私に起きていると感じています。

もしRCFを卒業して、アフリカに関わる別のキャリアへ進んだとしても、そこでいつかやりきったと思えばまたRCFに戻ってきて、日本の課題解決にトライする、というようなこともリアルにありかもしれない…。


最後に、いつも思っていることを…。

自分がRCFで得られているチャンスは、これまでRCFを支え、創ってきた先輩・同僚たちのおかげだなと。RCFだから知り合えた人、RCFだから見れる世界、RCFだからもてた人生の視点。これらのおかげで今の私の暮らしはワーク・ライフ・ミックス的に楽しいことになってる

ふとこのことを思い出すたびに、いつかRCFに参画してくる方々が「RCFでよかったなぁと思えるRCF」へと成長していく過程に、私も貢献していたい。と思い、ちょっと感慨深い気持ちになります(笑)。


佐久志歩(さきゅう しほ)

長野県出身。大学在学中にNGOで通算1年半勤務。マ−ケティングリサーチ企業を経て、2014年RCF参画。新規事業企画や在京企業の社会貢献活動の企画・推進など東北復興支援以外のプロジェクトを多数担当。リフレッシュはヨガ☆。

(本記事は2017年1月30日掲載時点での情報です)

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