「国が変わるのを待つのではなく、自らの手で世界から国境をなくしたい」”元ペルー人”の私がone visaを起業した理由

経済格差の中で育った体験が「選択肢があることは恵まれている」という気づきに繋がった

私は日本人の父とペルー人の母の間にハーフとして生まれて、幼少期をペルーで過ごしました。ペルーは日本ほど発展した国ではなく、当時の私の身近な職業といえばタクシーの運転手や市場のお兄さんなど。

あのままペルーにずっといたとしたら、将来の選択肢としてそうした限られた職業しか想像できなかったと思います。先進国以外の人たちは、まず情報にアクセスする術が限られている。

言い換えれば、生まれてきた環境によって人生の限界がある程度決まってしまう。しかし、例えば私が運良く日本に来ることができて今の自分があるように、情報にアクセスできることで自分の可能性に気づくことができるというのは、とても素敵なことだと思うのです。

世界から国境をなくしたいと思うようになったのは、国を超えて世界中に広がっている自分の可能性を知り、あらゆる人が自分の望む場所で生活することができる世界を実現したいという思いからです。

【原体験】友人家族のキョウセイソウカン


仲の良かった友人家族と。写真右が私です。

7歳までペルーで過ごし、その後大阪の天満に移住してきました。

天満にはペルー人のコミュニティがあって、そこで知り合った家族と仲良くなり、よくバーベキューをしたり、一緒にキャンプに行ったりしてました。私と同じ年の友達が本当にドッペルゲンガーかと思うほど顔がそっくりで、すごく仲良くしてもらっていたんですが、ある時を境にパタッと会わなくなったんです。

すごく仲が良かったので、もっと遊びたいと思ってお母さんに聞くと

「もう日本にいない」と。

「なんで?」

「キョウセイソウカン」と。

当時は強制送還の意味も分かりませんでしたが、子供ながらになにか怖いことなのだと言う感覚はありました。大人になるに連れて、ビザの申請に必要な書類が本国でしか手に入らず、手配が間に合わなかったのだと知りました。

「ビザの知識があれば強制送還は防げたのではないか」

その思いがずっと、胸の奥にくすぶり続けました。この原体験があったからこそ、今のone visaがあります。

国が変わるのを待つより、自分が変えるという思いの芽生え

入国管理局で働き始めてすぐに、入管業務の非効率さを目の当たりにしました。入管の書類は書き方がわかりにくく、完璧な書類を持ってくる人はほぼいません。

独自に集計した数値ではなんと97%の人の申請書類に不備がありました。

そして、提出書類が足りないなど深刻な不備でなければその場で書き直してもらうために申請の列が長くなるのです。

日本語も英語も読めないのでポストイットに絵を書きながら説明する

中でも、トルコ系の難民の人などは英語も日本語も話せない状態で申請に来るので、当然書類の書き方もわからず、結構な確率で「白紙」の申請用紙を持ってきます。でも、悪気のない笑顔で持ってこられるので見捨てられないというか憎めないんですよね。笑

とはいえ、書き方を教えるにしても英語も日本語も通じないので、ポストイットに絵を書いて指差しであーでもない、こーでもないと教えていきます。そうすると、1組終えるのに1時間以上かかることもあり、混雑の原因になっていたのです。

これはダメだと思い、入社して4ヶ月で現場の責任者になったのを機に、改善の提案をしようと決意します。

業務を行う中で、職歴の書き方や固定電話と携帯電話を書く場所など、間違いが特定の箇所に偏っていることに気づきました。しかし、申請書類は公文書なので簡単にフォーマットを変えられるものでもありません。そこで、パソコンで母国語の申請画面に沿って申請書類を作ることができれば入力ミスは減らせるのではと思いつきました。

意気揚々と提案資料を準備し、責任者が集まる会議に出席したのですが、

その会議の議題は”備品としてボールペンを置くかどうか”。そして1時間会議をして結論が出なかったんです。

「これはダメだ。1時間の会議でボールペンを置くかどうかひとつ決められないのでは、私の提案が実現するのはいつになるのだろう」

もともとは3年は入管で働くつもりでしたが1年で辞めて、起業の道を選びました。

仲間と共に世界から国境をなくしたい

起業してからも紆余曲折ありましたが、2017年の6月にone visaのβ版をリリースし、仲間も徐々に増えてきて、ようやく会社らしくなってきました。

one visaは「世界から国境をなくす」をビジョンとして掲げています。これはより具体的に言うと、世界中の人々が自分が生活する場所を自由に選択することができ、国境を超える際の物理的、心理的なハードルをなくしていくということです。

例えば、目下取り組んでいる「one visa」や「one visa visit」は、日本に働きにくる外国人や、出張や旅行で海外に渡航する人たちのビザ取得のハードルを下げるサービスです。これは、人が国を超えて移動する時に、最初に国境を感じるものがビザだと思っているからです。

例えば、日本人がビザ免除で台湾や韓国に旅行したり、EU圏内でドイツからフランスに移動するのなんて、感覚的には国内旅行とそう変わりません。同じ国境を超えるという体験でも、就労ビザを申請してアメリカに働きに行くのでは、感じるハードルの大きさが全然違います。

申請書類の書き方もわかりにくいのでストレスが大きいですし、ビザが通らずそもそも入国できない可能性もあるので、多くの人にとってビザ申請は嫌な作業です。

しかし、母語で入力可能なわかりやすいフォームに沿って簡単な質問に答えて、全てオンラインでビザ申請の作業を終えることができたら、このビザを申請するという作業が作り出している心理的な国境というハードルは最小化されます。これが「one via」と「one visa visit」事業で実現したい世界です。

one visaはβ版リリースから約1年、one visa visitは今年の6月にクローズドβ版をリリースしたばかりで、どちらもまだまだ改善の余地をたくさん残していますが、一緒に戦う仲間が増えてきて、少しずつですが私たちが提供する価値に満足いただけるお客さんも増えてきています。

最初は私一人の思いとして始まった「世界から国境をなくす」という挑戦も、今は優秀なメンバーと一緒にチャレンジすることができていて、とても心強いです。

起業は航海に似ている。仲間探しが楽しい

私は起業と航海は似ていると思うんです。航海って、リスクをとりにいく行為ですよね。陸地にとどまっていれば安全なのに、まだ見ぬ土地を目指して危険を冒して海に出るわけですから。

今の時代、夢をみてリスクを取る行為は起業かもしれませんが、かつての大航海時代はこれが航海であったはずですし、そう遠くない未来には宇宙へ飛び立つことになっているかもしれません。

航海といえばONE PIECEを思い浮かべる人も多いと思うんですが、必要な人材が順番に仲間になっていく感じとかはまさに起業と同じです。最初に戦闘員(副船長?)が仲間になり、航海士、狙撃手、コック、医者、考古学者、音楽家、船大工、操舵手と、必要なメンバーが仲間になっていきますよね。one visaでも、デザイナー、CS、エンジニア、セールス、行政書士資格を持つコーポレートスタッフなど、順番に必要な人材が集まってきている感があります。

それでも、組織の成長が成長するにつれて必要な人材の数はどんどん増えていくため、これからも仲間探しを続けていきます。一緒に世界から国境をなくす仲間が増えていくのがとても楽しみです。

世界をかえるというのはエゴの押し付けなのかもしれない。それでも信念を持って前に進みたい

one visaは世界から国境をなくすというビジョンを掲げています。そのビジョンの根底にあるのは、世界中の人達が「日本で生活する」とか「アメリカで働く」といった”選択肢”をもてるような世界を実現したいという思いです。

「日本で働けば年収は◯万円でこういう生活ができる」とか「そのためには大学を卒業してマーケティングを学ぶ必要がある」といった情報にすべての人がアクセスすることができることで、自分の人生を大きく変えることができる。

そのプロセスの中にあるハードルを一つ一つ解決していくようなプロダクトを提供していきたいと考えています。

ひょっとすると、私たちが実現したい世界はエゴなのかなと思うこともあります。

情報にアクセスできるが故に海外で生活することを選択し、家族と離れることになるかもしれません。裕福とは言えないかもしれませんが、自国でも十分に生きていくこともできる人たちに、先進国の生活を夢見させて海を渡らせることは満足の基準を引き上げることでもあり、都会の早い生活リズムの中で心の貧困を招いてしまう可能性もある。

それはエゴなのではないかと言われれば、確かにエゴなのかもしれないと。

それでも私は日本に来て後悔をしたことはないし、ペルーのことは好きですがペルーに戻りたいと思ったこともありません。

それは、日本で教育を受ける機会に恵まれて、起業をして今こうしてチャレンジをできていることに感謝しているから。なので、他人の人生に影響を与えているという責任には向き合いながら、信念を持って前に進んでいきたいです。

おわりに

one visaは現在仲間を募集中です!

私たちが戦っている市場では、2019年に大きな変化が訪れます。政府が発表している情報では、2025年までに日本で働く外国人を50万人増やすと明言しており、外国人の単純労働も解禁されると見込まれています。

私たちはそんな成長真っ只中の市場のど真ん中で「世界から国境をなくす」チャレンジをしています。

しかし、世界から国境をなくすためには、まだまだ仲間が足りません!一緒にone visaの事業を拡大してくれる人は、是非気軽にランチでも行きましょう!ご連絡お待ちしております。

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