IT業界って、エンジニアの業界?
「IT業界に興味ある?」
そう聞かれて、
「プログラミングする業界ですよね?」
くらいのイメージしかない人も多いのではないでしょうか。
もちろん、システムやソフトウェアをつくるエンジニアはIT業界を支える重要な仕事です。
でも、IT業界はそれだけではありません。
企業のシステムづくりを支援する会社もあれば、エンジニアの技術力を通じて開発を支援する会社、自社のソフトウェアをインターネット経由で提供する会社もあります。
さらに、営業、コンサルタント、カスタマーサクセス、マーケティング、企画など、エンジニア以外の仕事もたくさんあります。
まずは3分で、IT業界の基本を整理してみましょう。
まず30秒で!IT業界とは?
かなりシンプルに言えば、
ITやデジタル技術を使って、企業や個人の課題を解決したり、サービスを提供したりする企業が集まる業界
と考えてみてください。
実際、「情報サービス産業」の中だけを見ても、顧客業務の分析やソフトウェア開発、システムインテグレーション、情報処理サービスなどがあります。つまり、「IT企業」と一言で言っても、中身はかなり幅広いんです。経済産業省
だから就活では、
「IT企業かどうか」より、「何のIT企業なのか?」
を見ることが大切です。
誰がお客様なのか。何を提供しているのか。どうやって売上をつくっているのか。そして、自分はそこで何をするのか。
ここまで見ると、企業の違いが少しずつ見えてきます。
これだけ覚えよう!IT業界の全体像
まず、就活でよく見る3つの言葉を整理します。
ただし、ここは大事です。
SIer・SES・SaaSは、完全に同じ軸でIT企業を3分類する言葉ではありません。
1社が複数の事業を行うこともありますし、このほかにもWebサービス、アプリ、ITコンサルティング、通信、ハードウェアなど、ITに関わるビジネスはたくさんあります。
この3つは、IT企業を見るためによく登場する代表的なキーワードくらいに考えてください。
SIerって何?
SIer(システムインテグレーター)は、ざっくり言えば、
「企業のシステムづくりを支える会社」
です。
たとえば企業から、
「社内の業務をもっと効率化したい」
「新しい顧客管理システムを導入したい」
といった相談を受けます。
そこから企画や設計、開発、導入、運用などに関わり、顧客企業のシステムづくりを支援します。経済産業省も情報サービス産業について、受託開発や情報システムを一括して請け負うシステムインテグレーションなどが含まれると整理しています。経済産業省
ただし、すべてのSIerが最初から最後まで自社だけで担当するわけではありません。
企業によって担当する工程や顧客、得意分野は異なります。
SESって何?
ここは就活生がかなり混乱しやすいところです。
SESは一般にSystem Engineering Serviceの略として使われ、エンジニアの技術や業務遂行を通じて、顧客のシステム開発・運用などを支援する形態を指す言葉として使われています。経済産業省の過去の調査でも、準委任などによるSES契約が確認されています。経済産業省
ただし、
SES=派遣
ではありません。
労働者派遣では、派遣元が雇用する労働者が派遣先の指揮命令を受けて働きます。厚生労働省
一方、準委任や請負などでは、発注者と受注者側の労働者との間に直接の指揮命令関係を生じさせないことがポイントです。契約書の名前だけではなく、実際の働かせ方によって判断されます。厚生労働省
なので、
「客先で働いている=派遣」
「客先常駐=全部SES」
と考えないようにしましょう。
実際の契約や働き方は企業・案件によって違うので、就活では確認することが大切です。
SaaSって何?
SaaSは、
Software as a Service
の略です。
簡単に言えば、ソフトウェアをインターネット経由で“サービスとして使える形”で提供するものです。
経済産業省の資料でも、SaaSはクラウド上で稼働するアプリケーションを、Webブラウザなどを通じて利用する形として整理されています。経済産業省
企業向けの顧客管理、会計、人事、営業支援など、さまざまな領域でSaaSがあります。
利用料金を継続的に支払うモデルも代表的ですが、料金体系はサービスによって異なるので、「SaaS=必ず月額課金」ではありません。
また、SaaS企業で働く人が全員エンジニアというわけでもありません。
法人営業、マーケティング、カスタマーサクセス、企画、サポートなど、サービスを「つくる」以外の仕事もあります。
SIer・SES・SaaS、結局何が違う?
かなりシンプルにすると、
SIer
→ 企業のシステムづくりをプロジェクトとして支援する
SES
→ エンジニアの技術・業務遂行を通じて、開発や運用を支援する
SaaS
→ ソフトウェアをサービスとして継続的に提供する
というイメージです。
ただし、何度も言いますが、この3つは完全に同じ分類軸ではありません。
大切なのは言葉を暗記することではなく、
「この会社は、誰に・何を・どう提供して売上をつくっている?」
と考えられるようになることです。
IT業界にはどんな仕事がある?
IT業界=エンジニア、ではありません。
システムやソフトウェアをつくるエンジニア。顧客の課題を聞いてITサービスやシステムを提案するIT営業。ITを使った課題解決を支援するITコンサルタント。
SaaSなどでは、導入後の活用や成果を支援するカスタマーサクセス、サービスを広めるマーケティング、プロダクトの企画に関わる仕事などもあります。
もちろん、どんな職種があるかは会社によって違います。
だから、求人票に「IT企業」と書いてあったら、そこで終わらずに**「自分が応募する職種は何をするの?」**まで見てみましょう。
文系でもIT業界に入れる?
文系だからIT業界に入れない、というわけではありません。
文系出身者を採用しているIT企業もありますし、未経験者向けの研修を用意している会社もあります。
また、営業やカスタマーサクセス、企画など、プログラミングそのものを主業務としない仕事もあります。
ただし、
「文系だからIT知識はいらない」わけでもありません。
IT業界で働く以上、自社のサービスや技術、顧客の業務について学び続ける姿勢は大切です。
IT業界で身につきやすい力
仕事によって違いますが、IT業界ではIT・デジタルに関する知識、課題を整理する力、論理的に考える力、プロジェクトを進める力、法人顧客への提案力などを使う場面があります。
たとえばSIerなら、顧客が何に困っているのかを整理し、技術側と連携して解決方法を考えることがあります。
ただし、「IT業界に入れば全部身につく」という話ではありません。
会社よりも、実際にどんな仕事を経験するのかまで見てください。
IT業界の大変なところ
ITは技術やサービスの変化があるため、仕事によっては継続的に新しい知識を学ぶ必要があります。
また、システム開発では複数の関係者と協力して進めることも多く、ITプロジェクトでは予算・人員・進捗などを管理する役割も存在します。職業情報提供サイト(job tag)
営業職であれば売上目標やKPIを持つ会社もありますし、エンジニアなら担当する技術・工程・案件によって仕事内容も変わります。
つまり、
「IT業界だから働き方はこう」と一括りにはできません。
ここも会社選びでかなり重要です。
こんな人は、IT業界を見てみてもいいかも
新しいサービスや技術に興味がある人、企業の課題を解決する仕事に興味がある人、仕組みを考えるのが好きな人。
ほかにも、変化のある環境で学び続けたい人や、法人向けビジネスに興味がある人は、一度IT企業を見てみてもいいかもしれません。
「パソコンが好きか」だけではなく、
「ITを使って、誰のどんな課題を解決したいか?」
という視点でも考えてみてください。
こんなイメージだけで入るとギャップがあるかも
「ITって将来性ありそう」
「リモートで働けそう」
「手に職がつきそう」
「エンジニアなら人と話さなくてよさそう」
「SaaSってなんとなくかっこいい」
興味を持つきっかけとしては、どれも悪くありません。
でも、そこで会社選びを止めないこと。
勤務地やリモートワークの有無、顧客先で働く可能性、研修、配属、担当業務、評価制度などは会社・職種・案件によって変わります。
「ITだから」ではなく、「この会社の、この仕事だから」で判断できるところまで調べてみましょう。
就活生が勘違いしやすいIT業界
「IT業界=エンジニア」
→ 営業、コンサル、企画、マーケティングなどさまざまな仕事があります。
「IT企業=全部自社開発」
→ 顧客から開発を受託する会社など、ビジネスモデルはさまざまです。
「SES=派遣」
→ 同じではありません。派遣では派遣先から指揮命令を受ける点が大きな違いです。厚生労働省
「客先常駐=全部SES」
→ 働く場所だけでは契約形態は判断できません。
「SaaS=自社開発企業」
→ SaaSはソフトウェアの提供形態を表す言葉であり、「自社開発」と同じ意味ではありません。経済産業省
「文系だとITは無理」
→ 採用条件は企業・職種によります。まず応募する仕事に必要な知識・スキルを確認しましょう。
「IT企業ならリモートで働ける」
→ 働き方は会社・職種・案件によって違います。
IT企業を見るなら、ここを比較しよう
会社説明会や求人票を見るときは、最低限この7つを確認してみてください。
- 何のIT事業をやっている?
- 誰がお客様?
- 自社サービス?それとも顧客のシステムづくりを支援する?
- 何を提供して売上をつくっている?
- 自分が応募する職種は何をする?
- 配属・研修・働く場所はどうなっている?
- どんな評価制度・キャリアがある?
「IT企業だから受ける」ではなく、
「何のIT企業だから興味があるのか」
まで言えると、会社選びも志望動機も一段深くなります。
説明会で聞いてみよう!
企業HPを見るだけでは分かりにくいことこそ、説明会で聞いてみましょう。
「御社では、どの事業が売上の中心になっていますか?」
「新卒1年目は、どのような仕事や案件を担当することが多いですか?」
「自社内で働く場合と顧客先で働く場合は、どのように決まりますか?」
「文系・未経験で入社した方には、どのような研修がありますか?」
「若手で活躍している方に共通する行動や学び方はありますか?」
説明会は「会社の話を聞く時間」だけではありません。
自分が実際に働く姿を具体的にする時間として使ってみてください。
30秒でおさらい
✓ IT業界は「エンジニアの業界」だけではない
✓ SIer=企業のシステムづくりを支援する
✓ SES=技術・業務遂行を通じて開発や運用を支援する。派遣と同じではない
✓ SaaS=ソフトウェアをインターネット経由でサービスとして提供する
✓ 「ITに行きたい」から、「どんなIT企業・仕事に興味がある?」まで考えてみよう
X-careerのCPから一言
「IT業界、ちょっと気になるかも」と思ったら、次は**“どんなIT企業に興味があるのか”**まで一緒に整理してみましょう。
SIer・SES・SaaSという言葉だけで、会社の良し悪しを判断する必要はありません。
大事なのは、
「誰に、何を提供している会社?」
「自分はそこで何をする?」
「どうやって売上をつくっている?」
まで見ること。
気になる企業があれば、
「この会社って、結局何をしているIT企業?」
くらいの感覚でCPに聞いてください!