前編では、事業理解を通じて「組織の空白」を見つけ、自らボールを拾いに行くことで成果を上げるまでの軌跡を追いました。後編では、その経験を経て培われた、さらに高度な「予測する力」と、AIコンペ連続受賞にもつながる具体的な思考プロセスに迫ります。
4.情報の断片から「背景」と「意図」を汲み取る技術
自分が飛び込む楽しさを知った後は、加えて「予測して動く能力」も飛躍的に高めました。足りないポジションを補うためには、周囲が何を考え、どこに向かおうとしているのかを正確に把握する必要があったからです。
誰か、から誰かへの連絡、チャットの短いメッセージ、あるいは会議でのちょっとした表情。そういった少ない情報から、『その背景には何があるのか』『つまり上はこう考えているのではないか』を想像する癖がつきました。
単なる情報の受け渡しではなく、その裏にある「思惑」や「背景」を汲み取れるようになったことで、仕事の質は劇的に向上しました。
「言われたことをやる」のではなく、「相手が本当に望んでいるものを提供する」その視座の高さが、彼のビジネスマンとしての資質をより強固なものにしていきました。
5.一を聞いて十を知る
社内で行われたAIコンペ、そこで2年連続受賞した功績も、決して偶然ではありません。「これから会社はAI活用に力を入れるはず」「なら今のうちにプロンプトエンジニアリングを勉強しておこう」そうした読みがあったからこそ、早く準備し、成果を出すことができました。
雨が降ってからでは遅いんです。雲行きを見て、雨が降る前に傘を差し出す。私みたいにスキルのない人間は、そうすることでようやく事業に貢献できるのだと思います。
6.何のために」の解像度を高めれば、「自分の居場所」は必ず作れる
入社当時の苦悩から、全社会での表彰に至るまでの道のり。そこまでたどり着いたのは「何のためにこれを行うのか」という目的意識の解像度でした。
足りないピースを自ら埋めにいく姿勢さえあれば、居場所はいくらでも作ることができる。到達したこの境地は、若手社員のみならず、多くのビジネスパーソンにとっての真理と言えるでしょう。
その「一歩」が、組織を変える力になる
「特別な能力があったわけではない」と繰り返す松村さんですが、誰もが気づかない「空白」に気づき、そこに飛び込む勇気こそが、何より得難い才能なのかもしれません。
目の前の仕事の先にいる「誰か」を想像し、そのために何ができるかを徹底的に考えること。その一歩を踏み出したとき、景色は変わり始めます。松村さんの挑戦は、これからも組織に新たな風を吹き込み続けるでしょう。