今年8月、TRAIL HEADSは自らが手がける空間デザインの“実験の場”として新たなオフィスに移転しました。
オフィス空間をメイン事業にする僕たちが7年ぶりに新しいオフィスを作るからには、日々感じているオフィスの可能性を空間に落とし込んでみました。
一つ目は小さい空間でも、徹底的に細部にこだわることで『コミュニケーションの総量を増やすこと』。二つ目は空間デザインの知見だけではなく、普遍的な良さやそれらを組み合わせた新しさから生まれる『クリエイティブの基礎力を上げる』こと。この2つを創業メンバーである山口と高山が綴ります。
目次
タイムレスで上質な設計
B面に宿る“熱量・センス・創造力”
最後に:オフィスは“育てるもの”
タイムレスで上質な設計
新たな空間は、「タイムレス」で上質な設計を目指しました。流行やトレンドではなく、じっくりと使い込まれ、“余白”を設けることで個人やチームがアウトプットできる場になります。
細長い奥行きのあるレイアウトの中心には、人が自然と集まるカウンターを配置しました。音楽、コーヒー、食といった“立ち寄りたくなる”仕掛けを設けることで、自然と声をかけあえるきっかけを生み出します。
さらにこのカウンター周辺には、アナログ音質を良い音で鳴らすためのサウンドシステムがあります。ターンテーブル、真空管アンプ、1980年代に作られたALTEC社のスピーカー。デジタル音源にはない“耳に優しい温かい音”を通じて、空間そのものに豊かさを刻みました。
レコードに針を落とす感覚、ジャケットをめくる手の動き、自分のレコードを棚に加えるという楽しみが、ただの“装飾”ではなく自発的に音楽に向き合う仕掛けになっていきます。
また、作業環境もオフィスに来て働くメリットを最大限発揮できる設計になっています。特に重要な要素として考えたのが、『みんなの顔が見える』ということです。
執務エリアの長テーブルは、余分な脚を排除したひと続きの設計とすることで足元にゆとりを持たせています。
二人ブース席も用意し、オンラインミーティングや集中作業がしやすい場所も備えています。ここでも背中を向ける状態にならないよう横向きのブースにしています
打合せスペースは複数用意しながら、壁で仕切らずオープンに。細長い空間を活かして距離をとってゾーニングすることで、それぞれの環境が保たれるようにしています。
全社が集まるメインのMTGスペースはソファタイプにすることでPCを見つめている状態をなくし、“顔を上げて話す”ことを意識させます。
さらに、以前のオフィスから使い込まれてきたAaltoのヴィンテージダイニングセットを残し、メンバー同士が資料を広げ一緒に進められる“心地よい距離感”を担保しました。
B面に宿る“熱量・センス・創造力”
さて、山口パートです。すごくシンプルに捉えて空間(建築、インテリア)=A面だとすれば、僕がもう一つ大切したいと思ったのが“B面”です。
レコードのA面がヒット曲なら、B面はその裏で実験的で個性的な曲が流れる。(個人的に好きなReggae Dubより)
B面はクリエイティブな仕事をする上でのセンスのベースとして捉え、音楽、アート、本、写真の4つのジャンルを定義しています。
一つ目の目的は、これら4ジャンルの過去から現代までを幅広く学び体系を知ること。(1960年代くらいから!)もう一つの目的は、この4つの中で一つでも深く掘り下げて日常に欠かせないものとなるくらい熱中するモノを見つけることです。
各チームの学び・発見を共有するために、エントランスを入って右手に「カルチャーボード」を設置。アートや本棚が設置されているオフィスはたくさんあると思いますが、僕たちはもう一歩踏み込んで能動的にこれらを学び楽しんでいく場所にしています。
最後に:オフィスは“育てるもの”
リアルな場所で仕事ができるメリットを細部まで落とし込んだ『コミュニケーションの総量を増やすこと』、それを支える『クリエイティブの基礎力を上げる』B面の仕組み。
この二つは別々ではなく、互いに呼応しながら、TRAIL HEADSというチームを育て、強くしていくためのデザインです。
場をつくることは終点ではなく、どんな人がここに集まるのか、誰がどんなレコードに針を落とすか、仕事以外の会話がどれだけ生まれるか ──そうした“余白”をつくることで、私たちは新しい挑戦ができる土壌を共に育てていきたいと思っています。
もし、空間づくりやチームづくりについて「自分たちの会社らしくあるためのオフィスとは?」に興味を持っていただけたなら、ぜひお気軽にお声かけください。
私たちの“場”での取り組みが、ヒントになれば幸いです。
Writing: Yohei Yamaguchi, Nozomi Takayama(TRAIL HEADS)
Photo: Daisuke Shima (ad hoc)
Editing: Yuri Ishiguro(TRAIL HEADS)
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