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SIX2018登壇プレゼンを大公開!「ディープラーニングをビジネスに実装する3つの方法」

COOの菅沼です。

先月後半、ABEJA様主催の人工知能カンンファレンスSIX2018にて、弊社の長江が40分の枠を頂き登壇してきました。おかげさまで会場は満員。長江は「ディープラーニングをビジネスに実装する3つの方法」というテーマでプレゼンテーションを行いました。

そこで、今回は会場へ来れなかった方に向けて、長江の登壇の書き起こしの一部を公開したいと思います。

名古屋大学発AIベンチャートライエッティングが取り組む事業とは?

長江:ご紹介ありがとうございます。名古屋のAIベンチャー株式会社トライエッティング代表取締役社長CEOの長江祐樹と申します。よろしくお願いします。

(会場拍手)

長江:名前を聞いたことがないお客様の方が多いと思いますので、今日は名前だけでも覚えて帰って頂ければと思っております。弊社は全国でも有数のAIのアルゴリズムを、ディープラーニングを始めとした学習系のみならず、非学習系、シミュレーション系まで組み込み、SaaSにインテグレートする企業です。よろしくお願いします。

今日のアジェンダは3つ。プレゼンの簡単なご紹介をしながら、弊社の技術においてABEJA Platformをどのように活用しているのか、具体的にご説明します。その上で、ABEJA様と一緒に行っている我々のビジネスにおいて、実際にお客様にAIを導入、活用していただくまでの流れをご説明できればと思っています。

長江:まず簡単に、会社と私のご紹介をしていきます。私たちは「Creating The Future of Tomorrow, Today! (明日のものづくりを、今日しよう!)」というミッションを掲げ、人工知能という新たな技術を使った新しいものづくりをしようとしています。

会社の設立は、第三次AIブームと同い年の2年になるところでございます。近々で資金調達を終えたところで、いくつかパッケージ、SaaSをリリースさせて頂いているところです。

人工知能はデータ解析技術を使った省力化技術。しかし、単なる繰り返しを自動化しようという技術ではなく、知能というものが必要です。人間の力仕事の省力化技術開発を人工知能を用いて行っているものでございます。

私を含め、役員が4名のチームです。私の元々の専攻分野が、半導体物理というハイテク材料の発見をするために機械学習、人工知能の技術を使っていたというのが、会社の始まりです。

私は会社ではアルゴリズムの設計を担当しています。COO菅沼が哲学者、CTO竹島がシステムエンジニア、CDAO大塚が組み込みデバイス。この4名が役員メンバーです。

私自身は、名古屋大学発ベンチャーとして創業しながら、シリコンバレーのスタンフォード大学で材料研究を行って帰国しました。ガン発作の予測システムの開発というのを目標に、今も前に進んでおります。

長江:ではここで、人工知能界隈のビジネスが、どのようにレイヤードされているのかをご説明致します。インフラストラクチャのIaaS、プラットフォームとしてのPaaS、データのやり取りをするAPI、そしてソフトウェア。土地から柱、壁、そして外装と家を作るかのように、業界が密に連携をして構成されております。

この業界、いわゆる人工知能と言われている分野の企業は、IaaSとPaaSがメイン。弊社は、API領域をカバーするような形で実現されていることが多いです。ABEJA Platformと言うのは、このPaaS領域での雄とも言えるでしょう。

その中で、お客様に使って頂く機会を増やすため、私たちはお客様のニーズを聞いて、ソフトウェアコンサルという立場でABEJA様との関係性を築いています。「活用のトライエッティング」「基盤のABEJA」ということで覚えていただければよろしいかと存じます。

現在に至るまで、金融系コンサルや飲食系マーケコンサル、輸送、小売、製造などの業界で実績作りをして来ました。名古屋なので繊維や自動車系が多く、簡易性宿泊業、化粧品コンシーなど、多岐にわたる分野で関わらせてもらっています。

長江:我々の具体的な事業内容としましては、UMWELT (ウムヴェルト)というトライエッティングのAIプラットフォームがあります。その裏側を支える基盤にABEJA Platformを利用しています。

UMWELTは、「まだ学習をしていない人工知能」です。いわゆる赤ちゃんの人工知能。未来予測、リコメンド、言葉の処理、最適化計算、エラー検知、ゲーム理論が組み合わさって、1つのSaaSというものになります。

ご利用イメージは、お客様のデータを頂戴して、弊社の学習ロジックが入っているデータウェアハウス(データを貯めておくタッパーみたいなもの)に入れ、あらかじめ設定したモジュールの組み合わせでアウトプットします。

企業にエンジニアがいる場合は、この解析結果をシステムに組み込んで、ご活用頂いております。しかし、エンジニアがいない企業様も多いので、その場合にはUI/UXの部分も弊社の方で取り組んで、まとめて納品させて頂いています。

事業構造としましては、UMWELTというアルゴリズムを組み合わせたシステム化と、パッケージ、ソフトウェアとして組み込んで販売をする、この二軸でやらせていただいております。

ABEJA Platformはトライエッティングでどのように活用されているのか?

長江:では、どこでABEJA Platformが活用されるのか。今日はABEJA様のイベントなので、ABEJA Platformの良さを売り込みに来た営業マンだと思ってください。

(会場笑)

長江:私達のシステムのUMWELTは、モジュールと赤ちゃんの人工知能の組合わせ「レシピ」と、データの組み合わせ「スキーマ」、この2つで大きな1つの人工知能を構築しております。しかし、お客様がビジネスが発展していくなかで、データがどんどん溜まっていくわけです。1ヶ月前の学習済みモデルと、1ヶ月後の学習済みモデルは、全く違うものでなくてはなりません。常にリアルタイムで学習していく掲示学習に、ABEJA Platformを有用に活用させていただいています。

さらに、ABEJA Platformの非常に良いところは、データを貯めておくデータウェアハウスもセットで、利用させてもらえるというところです。今日アピールポイントとして言って下さいということで、PRでございます。

(会場笑)

長江:確かに便利です。プログラムに詳しい人にはわかると思うのですが、全然違う別々に構築しなければいけないものを、ひとまとめで、一行のコードを書くだけで、すぐに利用できてしまうわけです。

そうすることで、このモジュールの組み合わせとデータ、そして掲示学習の仕組みごとでデータを入力して、最終的にお客様にモノをどれだけ販売できるのかといった未来予測やカードや賃貸保証といった与信予測、採用・人材分析、在庫管理、IoT見守り、広告最適化、広告を打つ前にどれだけの広告効果などが、我々のSaaSで実現されるというものです。

ここで仕組みはわかりました。では、具体的にどうビジネスに活かしているのか、簡単な実例とロールモデルを差し込みながらご説明致します。

(スライド表示しながら)

スライドを見て下さい。ピコピコ動いています。これは、弊社で運営する人材管理AI「HRBEST (ハーベスト)」のシミュレーション画面です。30人31日分のシフトが、従業員の希望シフト、労務条件、ベテラン度、当日何人必要なのか、を考慮しながら、経常利益最大になるように決めてくれています。

これが機械学習による未来予測です。お客様の過去のシフトデータに、最適化ロジックのモジュールを組み合わせ、当日何人必要なのかというのを正確に予測しています。このアルゴリズムは日次、週次、時間、15分単位で、シフトを最適化するAIです。ボタンひと押しでシフトを全部決めることもできてしまいます。

私達の技術では、さらに天気レーダーや他の相場のデータを同時に学習させてあげることによって、微妙な差異をグっと縮める事ができます。これを他のAI企業が出さないため、私達の技術は業界で最高クラスの精度であると、いつもプレゼンの時は推しています。

これができると、UMWELT、いわゆる私達が言うレシピと、データの組み合わせスキーマ、人のデータ、例えば採用のデータを入れてあげることによって、エントリーシートを書いて応募してくれた時点で、98.5%の精度で「採用」「不採用」「採用したが辞退されてしまった」人数がわかるようになっています。こういった人材採用の人工知能パッケージとして存在しております。

次に、STOCK STREAMS(ストックストリームズ)をご紹介します。これは受発注のデータを学習させることによって、1年先までの受注数を95%の精度で予測します、リードタイムを勘案して、在庫数と鑑みて、今どれだけ発注生産しなければいけないのかを自動で逆算する在庫生産管理の人工知能です。

そして、「MATCHA (マッチャ)」のご紹介。これは欲しい材料の性質を入れると、その性質を満たす材料の組み合わせ、作り方、プロセスを最適化して条件出しをしてくれる、奧さんのような材料科学AIとなっています。私の専門分野ですね。

最後に医療分野で、女性のバイオリズムの予測や子どもの発熱予想を行うという事で研究をしている事業もあります。

これが、私たちの事業と研究内容です。機能の組み合わせとデータの組み合わせで、あらゆる分野を網羅することができます。

ディープラーニングをビジネスに実装する3つの方法

長江:はい。じゃあ以上を踏まえて、何が言いたいのか。そこで今回の登壇のテーマに戻ります。

今からトライエッティングが守ってきた大事な3つのことをお話しようと思います。ぜひメモしてお帰りになって下さい。

①目的・ゴール設定すること

まず、当たり前のことですが「目的・ゴール設定すること」です。

最近減ってきましたが、「とりあえずAI」は辞めましょう。上司から「〇〇の〇〇さん、AIやってるからうちでもやらなきゃね」という、「とりあえずAI」。「とりあえずビール」のような感覚じゃないんだからもうやめようよ、ということですね。事業課題からスタートするのが、実はうまくいく近道だったりします。

ただ現場の方は、長いこと事業課題に悩まされているので、「いやそんな事業課題解決できるわけないじゃないか」と必ず軋轢があるわけですが、そこはロジックでなんとかしましょう。

②データの本質を知ること

2つ目は、「データの本質を知ること」です。これもAI業界でよくある話ですが、とりあえず今集まっているデータを全部並べてリストアップして、それを全部データウェアハウスに入れ、学習してみろと、こんな訳のわからないことはないわけです。データをとりあえず入れるのはもう辞めましょう。データをとりあえず貯めるも辞めましょう。

そのために、データの出自を明確にしましょう。もしそのデータが意味のないデータであれば、出てきた結果は信用できないわけです。とりあえず学習というのは、予測してみて「わーい、当たった」となるんですけど、もしかするとたまたま当たっただけかもしれない。それをはっきりするために、データの出自をしっかりしようというのが2つ目でございます。

③モデル構築の後を考えること

そして最後3つ目、それは「モデル構築の後を考えること」でしょう。例えば、採用のデータであれば、「採用」「不採用」「採用したが辞退されてしまった」というラベルが出て来る。では、「採用」ラベルまで至っているんだけれども、辞退する人がなぜ辞退するのか、これまで理由がわからなかった。本人に辞退理由を聞いても、それなりの理由「一身上の理由」しか返ってこない。言いにくい理由が必ず存在するはずです。

私達が提案しているのは、外部評価として、リクルーターが「実はこういう理由で採用辞退されました。」ないしは「こういうことをリクルーター側からアプローチしたから採用辞退する感じだったのが、採用に至りました」と答えを突き合わせる事です。

新たに取得したデータをモデル化することによって、次の年の面接者に「採用」「不採用」「採用するけど辞退するかもな」ラベルを付けた後に、「辞退する」ラベルの人には、何をすれば採用に至るのか、この時点でわかるわけです。

しかしそのデータを取るのに1年やそこらかかるわけです。つまり、モデルを一番最初に作って、モデルの後を考えてデータの取得を新たに行ってきたところが、多種あるどうしても超えられない1年のデータ取得の壁になるということです。これこそ参入障壁になります。私達がクリエイトしているのは、このプロジェクトの意義・目的です。そして目的の後に、そのさらに先、事業を発展させるために何がいちばん大切なのか、どういうデータを他社より先に取りに行かなければいけないのか、データの質、中身はどうか。ここを明らかにしてプロジェクトをスタートすると、上手くいくわけです。

これからAI事業を進める方に向けて

最後に。私達トライエッティングはこのビジネスを続けてきて、創業期からABEJA様に非常に支えてきてもらっています。

AI業界はまだまだ黎明期です。私も今日は言いたいことをめちゃくちゃ言いました。これからの機能拡張に期待です。私たちはアルゴリズム側を作るのですが、その企業として、複数の学習系・非学習系の処理を、混在させてR・Python・C・C++・Shell全部を組み合わせて、混在接続同時実行できる枠組みに進化することに期待しています。しかもそれが、データウェアハウスと処理系が一緒になっている所で、全部ひとまとめで処理できるようになるといいなと、これできるとデータ貯めて、学習するだけじゃ天井見えてると思っています。ABEJA Platformこそ、これの回答かなと思います。

それでは、今日はこの辺で。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

残念ながら全ての登壇内容を書き起こすことはできませんが、今回の登壇で私たちトライエッティングの活動が少しでも多くの皆さまに知って頂けることができたら幸いです。

弊社が運営する在庫管理AI「STOCK STREAMS」、人材管理AI「HRBEST」、及び今回ご紹介させて頂いたABEJA Pratformの詳細は、ぜひ以下の製品紹介ページよりアクセスしてみて下さい。

在庫生産管理者が抱える悩み人工知能技術で解決 | STOCK STREAMS
在庫管理から、人間を解放する。在庫生産管理者が抱える悩み人工知能技術で解決しましょう。
http://stockstreams.jp
人工知能(AI)による人財管理サービス【HRBEST ハーベスト】
人工知能(AI)による人財管理サービス【HRBEST ハーベスト】は、過去の採用実績を蓄積し解析を行うことで、御社にとって本当に必要とされる人財を見極めるための、最適化された選考基準を提示します。
http://hrbest.jp/
ABEJA Platform
あらゆるデータをセンサーで取得しクラウド上に集積する「上りのIoT」。集まった大量かつ多様な「Big Data」を解析し、より価値の高いデータを生み出す「AI」。様々なビジネスの文脈に応じてデータを出力する「下りのIoT」。ABEJA Platformは、これら新時代のデジタルテクノロジーを結集し、第四次産業革命の中心的なエコシステムを構築する汎用プラットフォームです。
https://abejainc.com/platform/ja/
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