関係デザインを通じて社会課題を解決することを目的としたNOMADOプロジェクトチームは長崎県立壱岐商業高等学校(長崎県壱岐市)の生徒10人と、対馬島(長崎県対馬市)で起業を目指す大学生とともに未来の島づくりを考えるワークショップを、同校でアントレプレナーシップ(起業家精神)の授業を実施する福岡大学・飛田努准教授と共同で開催しました。
離島 × NOMADO│教育分野での活動
デジタルインスタレーションを使って、新たな関係創出を目指すNOMADOプロジェクト。
9月に、長崎県の「壱岐島」と「対馬島」という二つの離島をつないだNOMADO体験を実施しました。
福岡大学の飛田努先生とのスペシャルコラボという形で、実現した今回の機会。
先生が受け持つ壱岐商業高校のアントレプレナーシップ授業の1コマをお借りし、長崎県立壱岐商業高校の3年生10人と、対馬島で起業を目指す大学生の須内洸至さんが参加してくれました。
このワークショップでは、高校生が多角的・相対的な目線から「自分ならでは」の島の魅力を考察・言語化することをゴールに、二つの離島をNOMADOの「窓」でつなぎました。
色々なアングルから島での暮らしを「観察」する
まずはNOMADOチームが提唱する「ENdemic思考」のトレーニングからスタート。
身の回りの物をモチーフに、多面的に物事を観察・説明するスキルを引き出すためのものです。
パッとスリッパを手に取って、形や大きさ、色、硬さなど、どんな特徴があるのか、何でもいいので学生たちに即興で答えてもらいます。
一人ずつ口に出してもらうことで、常に身の回りにあって当たり前のモノでも観察する人によって視点がちがう、という気付きを促します。
次は身の回りのモノから、ふるさとの「島」へと題材をシフト。
スリッパを観察するように、島の暮らしにはどんな魅力があるのかを色んなアングルから考えます。
高校生の自分から見た壱岐の魅力とは?
お年寄りから見たらどうだろう?
観光客としてだったら?
自然や食が豊かとか、人との距離が近いといった一般的な島の魅力だけではなく、島を多面的に捉え、自分ならではの言葉で説明してもらう発想力・言語力を伸ばすトレーニングを経験してもらいました。
「もし自分が島のリーダーだったら?!」魅力を編集・言語化するロールプレーイング
後半は、須内さんと一緒に、それぞれの島の未来を考える時間です。
まずは須内さんが対馬市の市長役になり、「対馬の全国NO.1」な部分を須内さんならではの目線でアピールします。
次は高校生の番。
生徒たちに壱岐市の「市長」や「観光担当」、「経済担当」、「未来創生担当」、「広報担当」になってもらい、30年後の島の未来を想像してもらいました。
前半で見つかった自分ならではの島の魅力を、今度は「観光」や「経済」など各役割の視点から再編集し、さらにアイデアを言語化して「島の代表者」の立場で発表します。
「名産の海や山の幸を使った大食い大会を企画し、イベントの様子をSNSで発信。視聴者には島内で使える特典をプレゼントする」
「足がない高齢者のために島を周遊する乗り放題バスを完備し、島民による観光需要を喚起する」
「島の土地を活用して海外の大企業を島に誘致し、経済を活性化させながら人口増とグローバル化を図る」
など、クリエイティブな意見が数多く上がりました。
「魅力を伝えて、人の輪をつくる」参加者の感想
ワークショップ終了後、生徒たちに感想を聞くと、
まだまだ自分が知らない壱岐の魅力があることに気づけた。緊張しても、自分の意見を言うことの大切さを実感した。
自分の気づいた島の魅力を人に伝えながら、人と人の輪を作っていくことが重要だと思った。
楽しいこと、面白いことを見つける力を身に着けることや、考えを言語化することの難しさを感じた
と答えてくれました。
スリッパと同じように、言語化することで、クラスメート視点の新たな島の魅力を知り、考えを深め、さらに新しいアイデアが生まれる。
このサイクルを生徒たちに体験もらえたワークショップになりました。
わたしたちが感じたこと
離島の高校生にとって外の世界とのつながりを通じて島を客観視し、魅力を再認識する機会はそう多くありませんでした。むしろ離島だからこその不便さに目が行きがちに。
そこでマッチしたのが、同じ離島の対馬島で起業を試みる須之内さんです。同世代の起業家が語る島の未来は、高校生にとって気付きや共感が生まれやすいものでした。
同じ「離島人」との新たな出会いを経て島への思いの解像度を高め、改めて高校生の心の奥に「壱岐人」としてのアイデンティティやプライドが育まれた瞬間をつくることができたのです。
今回の社会実験を通して、NOMADOプロジェクトが提供する機会を改めて以下のように定義することができました。
①コミュニティ外の世界とつながる機会を提供すること
②それにより自身のアイデンティティを強め、コミュニティ内の結束が高めること
③外部との継続的なつながりによって、文化交換や価値感の変容をもたらすこと
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