採用担当がバニッシュ・スタンダードの選考プロセスを解説してみた。 | 株式会社バニッシュ・スタンダード
こんにちは!株式会社バニッシュ・スタンダード(以下、VS) 採用担当の大熊です。今回のテーマは、ずばり「VSの選考プロセス」についてです。「どんなフローになっているの?」「何をポイントに見極めを...
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株式会社バニッシュ・スタンダード(以下、VS)は、候補者が選考を通じて体験する一連のプロセス、すなわち「採用CX(Candidate Experience=候補者体験)」の向上に、全社を挙げて取り組んでいます。
採用CXという言葉が一般化しつつある一方で、選考は今なお「評価」や「選抜」の文脈で語られがちです。しかし、候補者の意思決定は、給与や事業内容といった条件面だけでなく、面接で交わした言葉の温度感、連絡のスピード、情報開示の姿勢など、細部の積み重ねによって大きく左右されます。だからこそVSは、採用を「プロセス」ではなく「体験」として捉え、設計し直してきました。
なぜVSは、そこまで「体験」にこだわるのでしょうか。その背景には、過去の失敗を正面から受け止めた反省と、人に対して誠実であり続けたいという強い思想がありました。今回は、人事責任者の大辻と採用担当の横地に、VSが大切にしている採用思想と、候補者体験を支える実務の裏側について話を聞きました。
大辻 佑介(おおつじ ゆうすけ)
大学卒業後、新卒で入社した企業で営業職として全国1位の成績を記録。その後、スターバックスコーヒージャパンにてストアマネージャーとして約40名のチームマネジメントと人材育成を経験したことを機に、本格的に人事キャリアへ転身。社会福祉法人にて人事制度のゼロベース構築や組織開発をリードした後、急成長スタートアップの株式会社タイミーへ。IPOフェーズにおいて、評価制度設計やカルチャー浸透施策など、数々の0→1プロジェクトを牽引。その後も、フィットネス業界で人事労務部門責任者としてIPOを見据えた中長期の人的資本経営プロジェクトを推進するなど、人と組織の変革を主導し、東証グロース市場への上場に大きく貢献。2025年10月にバニッシュ・スタンダードに入社。社内での愛称は「ゆーすけさん」。
横地 健 (よこち たける)
造園業やビーズクッション専門店のストアマネージャー、フリーのフォトグラファーを経て、採用アウトソーシング事業を展開する企業に就職し、採用のキャリアをスタート。複数社の採用コンサルティングを担った後、2024年7月にVSへ入社。採用の母集団形成における戦略立案・実行を担当する。
(聞き手:Corporate Design・田中 悠)
ーーこれまで「選考」と呼ばれていたプロセスを、VSが「CX(体験)」として捉え直すようになったきっかけは何だったのでしょうか?
横地: 大きなきっかけは二つあります。一つは、内定を出した後の「オファー辞退」が続いたこと。もう一つは、入社後のミスマッチによって「短期離職」が発生してしまったことです。
オファー辞退が続いた時期に痛感したのは、選考フローの中で候補者の意思決定を十分に支えられていなかった、という反省でした。たとえば、以前、大手企業とVSで迷われていた候補者の方がいらっしゃいました。最終的にその方は、ご家族の「大手のほうが安定している」という後押しもあり、他社を選ばれました。
その話を聞いた時、私は強い後悔が残りました。もし当時、こちらがもう一段深く対話し、その方が大切にしている価値観や迷いの構造、ご家族の懸念まで丁寧に聞けていれば、VSで実現できる働き方や挑戦の機会を、より納得感のある形でお伝えできたかもしれない、と。
ーー入社後のミスマッチについては、どのような課題があったのでしょうか?
横地:2024年頃から、VSではミッションやバリュー、求める人物像の言語化を進めてきました。それ以前は、カルチャー面での相互理解をそこまで強く設計できていなかったと思います。しかし、カルチャーが言語化され、組織としての色が濃くなるにつれて、スキルは十分でも価値観の前提が合わないケースが生まれてきました。
つまり、VSの魅力を伝えること(アトラクト)と、双方のフィットを見極めること(相互理解)が、ともに十分ではなかった。この経験を通じて、候補者と私たちが「何を前提に、どこまで期待し合うのか」を擦り合わせる対話の設計、すなわち採用CXの設計が不可欠だと認識しました。
ーー現在、応募から入社までの流れはどのようなフェーズ設計になっていますか?
横地: 大きく「書類選考」「面接」「内定・オファー」の三つのフェーズに分かれています。本格的な選考に進む前に、会社の状況をまず理解したい方には「カジュアル面談」も実施しています。
面接フェーズでは、適性検査の後、現場のマネージャーやメンバーによる一次面接(職種によっては二次面接)、そして最終面接へと進みます。内定後は「人事面談」を挟み、条件提示を行う「オファー面談」という流れです。期間は、最短で1ヶ月以内。じっくり進める場合は2ヶ月ほどかけて、相互理解を深めながら進めています。
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ーーその中で、候補者の意思決定に最も影響する重要な分岐点はどこだとお考えですか?
横地:「カジュアル面談」と「オファー面談」だと考えています。
カジュアル面談は、候補者の方にとって、VSが自分に合う会社かどうかを見極める最初の場です。私たちはここで、候補者の転職軸をうかがったうえで、VSの現状や課題も含めて、できる限り率直にお伝えするようにしています。もし合わないと感じられた場合には、無理に次へ進めません。情報を飾って時間を奪うことは、候補者に対して誠実ではないと考えているからです。
もう一つの分岐点であるオファー面談に向けては、前段階の「人事面談」に特に力を入れています。ここでは、他社の選考状況、魅力に感じている点、懸念している点、VSへの期待や不安まで、できる限り言語化していただきます。希望する条件や働き方も含めて丁寧に伺い、VSとしてどこまで寄り添えるのかを検討したうえで、オファー条件を提示します。
ーーVSが考える「最高の採用体験」とは、候補者がどのような状態で選考を終えられることでしょうか?
横地:結果にかかわらず、お互いに納得できる終え方ができることだと思います。たとえばご縁がなかった場合でも、「価値観やカルチャーを踏まえると今回は難しい。ただ、また別のタイミングでご一緒できる可能性はある」と、前向きに整理して終えられる。あるいは入社される場合には、「必要な情報を十分に得たうえで、この選択に納得して踏み出せた」と思っていただける。そこに辿り着くことが、良い体験だと考えています。
大辻: 私は二つあると思っています。一つ目は、合否に関わらず「この会社を受けてよかった」と思っていただけることです。仕事選びという人生の重要な局面に関わる以上、たとえご縁がなかったとしても、何か気づきや学びが残る時間にしたい。目の前のご縁を大切にしたいと、心から思っています。
実は私自身、過去の転職活動で不採用になった企業から、理由を誠実に教えてもらった経験があります。そのフィードバックは、自分の課題を理解するきっかけになり、次の挑戦に活かすことができました。結果として、その企業への信頼も増したんです。
二つ目は、そうした誠実な体験が連鎖し、「VSは良い会社だよ」と第三者に紹介していただける状態をつくることです。候補者体験の質は、将来の採用にも、組織の信頼にもつながっていくと考えています。
ーー面接の場で、VSとして一貫して守っているスタンスやルールはありますか?
横地: 面接官となるメンバーには全員「面接官勉強会」を実施し、スタンスの目線合わせを行っています。そこで強調しているのは、「候補者の方に、VSに興味を持っていただける時間にする」ということです。
私たちが一方的に評価して見極めるような、一問一答の面接にはしません。あくまで対等な関係での情報交換、対話の場であることを意識しています。たとえば複数名で面接を行う場合でも、片方が話している間にもう片方がPC作業を進めるようなことはしない、といった基本姿勢を徹底しています。候補者の方からすれば、面接の時間は「会社の姿勢」を体感する瞬間でもありますから。
ーー合否を判断する際、スキル以外で特に重視している基準は何でしょうか?
横地:ご志向をVSで叶えられるか、カルチャーフィット、そしてミッション・ビジョンへの共感の三つです。VSはカルチャーの重要度が高い組織なので、スキルや経験が十分でも、定性的な部分で迷いが生じる場合には慎重に判断します。カルチャーフィットについては、言葉の選び方や思考の癖、会話のテンポなど、対話の中で見えてくる要素も大切にしています。
大辻: 補足すると、いくつかの基準の前提として、私たちが大切にしているのは「素直で、いい人」であることです。
VSは、頑張っている人が正しく報われる組織でありたいと考えています。チームで成果を出そうとする時に、斜に構えたり、否定から入ったりするのではなく、お互いを尊重し合い、前向きな相乗効果を生み出せる人と働きたい。会社の方向性や仲間の意見をまず受け止めたうえで、自分の意見も率直に言える。そんな方と一緒に、より良い組織をつくっていきたいと思っています。
ーー対等な対話を実現するために、あえて隠さずに伝えていることはありますか?
横地: 組織の課題や、募集ポジションが直面している現実的な難しさは隠さずにお伝えしています。たとえば、そのチームが今どのような局面にあり、どんな役割を期待しているのか。候補者の志向や経験と照らし合わせて、どのようなギャップがあり得るのか。そうした点まで言語化します。
また、マネージャーの人柄やチームのコミュニケーションの特徴など、入社後の働き方を左右する情報も、可能な範囲で具体的に共有します。双方が納得して入社を迎えるために、情報の透明性を重視しています。
ーーこうした候補者体験を、継続的に高い水準で提供するために、オペレーション面で工夫していることはありますか?
横地:特に重視しているのは「スピード」と「事前の情報提供」です。面接後の連絡は原則1営業日以内、書類選考など現場確認が必要な場合でも2営業日以内を基準としています。スカウトへの返信も、半日以内を目安にしています。
また、面接前には担当面接官の顔や人柄がわかる記事を共有したり、服装は自由で問題ない旨を事前に案内したりと、候補者が不安を抱えたまま当日を迎えないように設計しています。さらに、面接前アンケートを実施し、候補者が当日確認したいことを事前に把握することで、面接がより実りある対話になるよう工夫しています。
大辻: 私は、そのオペレーションの中で「定型文をただ送るだけにしない」ことを意識しています。候補者の状況や会話の内容を踏まえたうえで、一人ひとりに合わせたメッセージを書く。採用市場では自動化が進んでいますが、VSは「人が時間を使って向き合っている」ことが伝わるコミュニケーションを大切にしています。これは、VSのカルチャーを象徴する部分だと思います。
ーー逆に、採用CXを実行し続ける上で、今直面している難しさや課題はどこにありますか?
横地:現場の巻き込みと、情報のキャッチアップです。採用は人事だけで完結せず、現場の協力が不可欠です。VSのメンバーは協力的ですが、変化の速い経営状況や各部署の課題を人事が常に把握し、それを候補者の理解度に合わせて整理して伝えることは、簡単ではありません。
また、ご辞退された方から本音のフィードバックをいただくことも難しいと感じています。「他社に決めたため」という回答が多い中で、何が意思決定を分けたのかを丁寧に掘り起こし、改善につなげていく必要があります。
大辻:もう一つの課題は、面接のクオリティを全社で安定させることです。「受けてよかった」と思っていただくための振る舞い、表情、コミュニケーションの質を、多様な面接官が再現性高く体現するのは簡単ではありません。今後は、より実践的な面接トレーニングやフレームワークの整備を強化していきたいと考えています。
ーー最後に、これからVSの採用CXをどのように進化させていきたいか、理想の未来を教えてください。
横地: 直近では、選考という枠を越えて、VSのメンバーと自然に交流できる機会を意図的に増やしたいと考えています。仮に今回はタイミングが合わずご縁がなかったとしても、関係が途切れてしまうのではなく、必要な時に再びつながれるような関係性を築いていきたいです。
大辻:私が目指す理想は、採用CXを「点」ではなく「線」として完成させることです。
VSを知っていただく「認知」の段階から、応募、面接、オファー、そして入社後のオンボーディング、実際に活躍できる状態になるまで。一気通貫したストーリーとして責任を持って伴走したい。入社して終わりではなく、いかに早く会社に馴染み、パフォーマンスを発揮していただけるか。その支援にこそ力を注ぎたいと考えています。
最高の採用CXが実現した状態は、会社の成長と、個人の成長が重なり合う状態です。本人のWill(やりたいこと)と会社のWillが重なり、未来に向かって共に事業をスケールさせていく。仮にご縁がなかったとしても、この出会いが次の成功体験につながる「資産」になる。そうした採用を積み重ねていきたいです。
採用を「人を評価する仕組み」ではなく、「人と人が向き合い、未来を描く体験」として捉え直すVS。その選考プロセスには、情報の透明性と、候補者の意思決定に伴走しようとする姿勢が、細部にまで息づいています。
とはいえ、「採用CX」という言葉を、まだ完全に自分たちのものにできているとは思っていません。組織が拡大し、採用の難易度も変化していく中で、アップデートしていきたいことはまだまだあります。
だからこそ、候補者一人ひとりと向き合いながら試行錯誤を重ね、「受けてよかった」と思っていただける体験を、これからも少しずつ磨き続けていきます。
もし「自分らしく挑戦できる環境」や「誠実に対話する文化」を大切にしたいと考えているなら、ぜひ一度VSの選考に触れてみてください。
そこには、合否を越えて「受けてよかった」と感じられる対話があるはずです。