今の仕事のスキルを、地方の復興に役立てられないか。そう考えるビジネスパーソンも多いと感じます。
今回紹介するのが、東京の広告代理店で15年以上働き、2021年にWasshoi Tohoku Groupにジョインした齋崇之さんです。
新卒で広告業界に飛び込み、数々のナショナルクライアントに向き合ってきた彼が、なぜ安定したキャリアを手放し、地方創生の世界へ足を踏み入れたのでしょうか。
「一過性の打ち上げ花火では、地域は変わらない」。そう語る彼の根底にあるのは、高校生の頃に目にした石巻のシャッター街への強烈な危機感でした。
齋 崇之 / セールス&コンサルティング本部長 執行役員
宮城県名取市出身。大学卒業後、広告代理店へ入社。その後、株式会社インフォニアへ転職し、長年マネージャーとして数多くのウェブ広告運用やキャンペーン企画を牽引。2021年4月Wasshoi Tohoku Groupに参画。富谷市の地域商社立ち上げや名取市の市民共創ラボ事業など、数多くのプロジェクトを成功に導き、地方創生の最前線で事業創出に取り組んでいる。
シャッター街の衝撃から始まった、広告の本質を追求する道
──10代の頃から地方創生を目標に掲げていたとお聞きしました。
高校生の頃、たまたま遊びに行った石巻の町並みを見て強い衝撃を受けたのが全ての始まりです。県内でも有数の規模を誇っていたはずの街の中心部が、シャッター通りと化している。子供の頃に感じていた活気は失われ、閑散とした風景が広がっていました。
その時、「このままでは小さな町は次々と消滅してしまう」という危機感を抱いたのです。人が集まる東京のような大都市だけがさらに膨張し、地方は静かに衰退していく。この状況を変え、地方にもう一度人を呼び込むためにはどうすればいいのか。そう考えた時に、地域の魅力を正しく発信し、人々の心を動かす「広告」の力が必要不可欠だと気づきました。
──そこからどう動かれたのですか?
当時、宮城には広告を学べる環境が少なかったため、東京の大学へ進学する道を選びました。
広告の最前線で働いていたプロの元で学びたいと思い、電通の広報室長を務めていた教授のゼミがある大学を選びました。
ここで学んだことが、その後の広告パーソンとしての土台になっています。
一過性の集客ではなく、本当に求めている人に刺さるメッセージを届ける。広告を通じて企業と顧客の長く続く関係性を作っていく。そんな本質的な広告の考え方を学生時代に叩き込まれました。
──大学卒業後はどのようなキャリアを歩まれましたか。
新卒では紙媒体中心の広告代理店に入社。その後、WEB広告が勃興したことを機に、自社媒体を持ちデジタル広告に強いインフォニアへ転職しました。
アカウントプランナーとして、ナショナルクライアント中心に営業、企画から広告運用まで一貫して担当。目先の売り上げではなく、どうしたら「必要な人に届き、企業の継続的な利益に繋げられるか」を考えていましたね。
そのために大事にしていたのが「現地現物」。実際の商品を試して、どこが良いのか、他との違いは何かを自ら体験していました。ときには女性用の化粧品も全部試しました(笑)。
そこでは約15年働き、最終的には社長直下で部長ロールも任せていただきました。子どもも生まれて、公私共に順風満帆でしたね。
社長に直談判。Wasshoi Labのパーパスに懸けた想い
──順調に人生を歩まれている中、地方創生の想いはいかがでしたか。
ずっと心の中にはありました。でも目の前の仕事や子育てで手一杯で。想いはあるけど、目の前のことに集中するうちに、日々がどんどん流れていく状況でした。
そんな忙しさが少し落ち着いてきた時、たまたまWasshoi Labを見つけたんです。その時になんかビビっときて。Wasshoi Tohoku Groupが運営している齋理屋敷にも帰省のタイミングで遊びに行きました。
──そこからすぐ応募したのですか?
いや、そもそも募集していなくて(笑)。
どうしようかなぁと迷っていたら、自分が遊びに行った1ヶ月後に丸森町が豪雨災害で冠水したんです。全く他人事に感じなくて、本当に心配しました。
Facebookを通じて近況を追っていたのですが、そこで見たのが代表の齊藤自らが泥まみれになりながら清掃し、地域の復興に向けて先頭に立って動く姿でした。
この人と一緒なら、私が高校生の頃に感じた課題も解決できる。直感的にここの会社で働く以外道はないと感じました。
そこで冠水被害が落ち着いたタイミングで、直接Facebookでメッセージを送り、「どうしても入りたい」と直談判したんです。
そして面接の場では、「自分がジョインしたら、今御社が抱えているこのプロジェクトをこう動かす」と具体的にプレゼンしました。熱意だけでなく、実務として即戦力になれることを証明したかったんです。
結果的に内定をいただくことができました。
──面接でグループCEOの齊藤さんとお話しされ、どのような印象を受けましたか。
志が高く、「みんなで行くぞ」と組織を力強く引っ張るリーダーでありながら、非常に人間味の溢れる方だと感じました。自分の弱い部分も包み隠さず見せてくれるし、何より情に厚い。やり切るまで絶対に協力し合うというスタンスが伝わってきました。
最も共感したのは、自分たちが儲かるかどうかよりも、「次の世代に何を残すか」を常に見据えている点です。今でもそこが全くブレない。
代表自らが本質に向かって進んでいるので、部下というよりは共に歩んでいける同志という感覚が強いです。
現地現物を貫く。広告の知見で「地域の未来」を実装する
──Wasshoi Labに入社後、まずは富谷市で地域商社を立ち上げられたのですね。
はい、まずは富谷市の地域おこし協力隊として赴任し、1年目で地域商社「株式会社1038(とみや)」を設立して2年間代表を務めました。
富谷市は仙台市のベッドタウンとして発展していましたが、観光や産業の拠点が弱いという課題を抱えていました。そこで、単なる指定管理としての施設運営にとどまらず、宿や観光の拠点としてテナントを募集。起業・創業のチャレンジの拠点としても機能しております。
▼運営施設の「とみやど」

とみやどについて | 富谷宿観光交流ステーション「とみやど」
結果的に初年度は年間来場者が20万人を超え、地域を盛り上げた実績を作ることもできました。
任期終了後は地元の方々に引き継ぎ。持続可能な事業基盤を作り上げることに奔走した濃密な2年間でした。
──その後、複数のプロジェクトを牽引されています。大事にされていることはありますか。
やはり「現地現物」ですね。現場に足を運び、そこに暮らす人々の思いを束ね、関係性を構築することが何よりも大切です。
例えば、地元の名取市での「なとり共創ラボ」のプロジェクト。最初は市民の方々の意見がバラバラでまとまりきらない状態でしたが、時間をかけて対話を重ねベクトルを一つに合わせていきました。その結果、「これは自分たちで解決していく問題だ」と市民の方自らが事業化に動く土壌ができたんです。
また、行政からも信頼いただき、事業の継続受注にもつながりました。現地現物を体感し、ステークホルダーと深い信頼関係を築くというスタンスは、広告時代から一貫して大切にしています。
──他に広告業界での経験が活きていると感じることはありますか。
長期の関係性を築くという点がリンクしていますね。
地方創生でよく陥りがちなのが、一過性のイベントで盛り上げて終わる「打ち上げ花火」のような施策です。
広告でも単発のキャンペーンではなくLTVが重要なように、地域ビジネスでも、関係性を構築し経済活動が自走し続ける仕組みを作らなければ意味がありません。
例えば移住定住の促進一つとっても、その地域をどう見せ、継続的に魅了し続けるか。自治体の予算を消化して終わりではなく、ターゲットのその先を見据える視点が、今の事業創出に直結しています。
──さまざまな地域課題に向き合う中で、最もやりがいを感じるのはどんな瞬間ですか。
自分たちの泥臭いアクションが、地域の未来に直接繋がっていると肌で実感できる瞬間です。
街の人たちと膝を突き合わせて「この街をどうしていきたいか」を語り合い、その理想を実現するための事業スキームを考え、実行していく。
時には困難な壁にぶつかることもありますが、チーム全体でサポートし合いながら乗り越えていく一体感があります。目の前の暮らしが少しずつ良い方向に変わっていくプロセスを、当事者として体感できる。これほど手触り感のある仕事は他にないと思っています。
社会に投資する人材を最大化し、共に正解のない問いに挑む
──Wasshoi Labとして、今後どのような未来を作っていきたいと考えていますか。
ミッションでもある「社会に投資する人材の最大化」を実現したいと考えています。
ここでいう投資とは、決して資金面だけの話ではありません。
一人ひとりが自分の貴重な時間や培ってきたスキル、そして情熱を地域社会に注ぎ込み、未来を自らの手で創り出していくこと。その総量をどうやって増やしていくかが、私たちの最大のミッションです。
社会に対して当事者意識を持つ人を増やし、持続可能な地域社会のモデルを東北から生み出していきたいです。
──最後に、これからどんな方に仲間になってほしいですか。
自分なりの「こういう社会を作りたい」という意思を持っている方にお会いしたいです。
ローカルの課題は複雑に絡み合っており、簡単に解けるものではありません。その中で、「どうすれば実現できるか」を粘り強く思考し、行動することは大変です。
でも、その先の未来が自分の使命に重なっている時、そのプロセスはこれ以上ないほど楽しく、毎日がワクワクするものに変わっていきます。
もしあなたが、培ったスキルを活かしながら、自分の使命と向き合うキャリアを考えているのなら、一度お話ししましょう。
きっとWasshoi Labは、その想いを発揮できる最高の舞台となるはずです。
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