エネルギー・マネージメント・システム
こんにちは、セカンドセレクションの井村です。 今回は、私が今まで取り組んできた、EMS(エネルギーマネージメントシステム)についての事例を紹介します。もちろんEMSの歴史は古いのですが、私自身がソフトウェア開発の中で一番影響を受けたシステムになります。 その前にネットワークへの取り組みを含めて説明をさせて頂きます。 M2Mシステムとの出会い 省エネシステムとして工場の電力の計測とデマンド制御に関するシステムを開発しました。 M2Mとは、IoTと呼ばれる前身となった概念で、マシンとマシンを繋いで会話できるシステムの総称で、「Machine TO Machine」と書きます。開発当初は、盗難防止システムでも応用されましたが、徐々に省エネシステムへ利用されてきました。 省エネシステムは、消費電力を独自で計測し、契約電気料を超えないところで制限をするシステムとなりますが、工場でのデマンド制御という部分で利用されていました。 データ収集ロガーシステム 省エネシステムが利用される工場の中では、他のセンサーを利用したデータの収集を行う機器の開発をしてきました。 一般的に「データロガー」と呼ばれる機械で、複数のセンサーが接続できて、そのセンサーのデータを蓄積できる不揮発メモリが搭載されており、時々、データを回収するというものです。 今では、温湿度計などは、このような仕組みで販売されていますが、記録データを読みだす手間がかかってしまい、中々長期データを活用するまではいたりません。 この頃は、センサーの種類を如何に増やせるのかという点に視点を置いた開発が主流となり、まずは、データを集めるところからはじまっていました。 もちろん消費電力もこのデータロガーの1つのセンサーとしてデータは蓄積されていました。 インテリジェント化 そうこうする中で、ある程度のセンサーデータが収集・蓄積されてくると、そのデータの閾値を見て、センサーやその他の機器のコントロールをするというニーズがでてきます。 すなわち、インテリジェントに制御したいニーズとなります。もちろん電力への省エネニーズが高まってきます。 こうなると中継装置がやたらと機能規模が大きくなり、センサー毎に対応する要件が違ってきたり、様々な要求がロガー上で蓄積され活用されるはずだったのですが、ハードウェアではそこまでの変化に対応できないので、ソフトウェアでアプリケーションを切り替えるような構造まででてきました。 しかし、それにも限界があり、現場にサーバを設置して巨大なDBを持つシステムになっていきます。でも、そうなると現場のネットワークに制御系と情報系の両方の要望が発生することで、工場への配置変更にネットワークが追従できなくなってきました。 しかし、そのころの工場では無線は課題が多く信頼されておらず、今のようなWiFiの安定感はありませんでした。 クラウドとゲートウエイ インテリジェントな中継器から、機能を分散させ、クラウドとゲートウエイに機能を分散する。これがIoTを進化させた良いブレークスルーになり、クラウドは単独で発展し独自で価値を表現するようになった。 AWSが出始めたころは、無料だからとりあえず使ってみよう派が使い始め、GoogleやMicrosoftが追従を始めたころには、さまざまなコンピュータメーカが導入を始めるが、AWSの進化ついていけなくなった。 ゲートウエイ装置といえば、WiFiルータとの違いが分かりにくく、一般的にはなくても良いと思われたときにクラウドにデータをためる事が簡単にできる、SORACOMが発表さて、sigfoxが出て、LPWAという世界が標準になって、スマホの基地局という概念が世間にでまわった。 この時点でEMSの世界では、太陽光発電が多くなりすぎて、出力制御と呼ばれる制限が必要となりました。FIT制度にて自宅の屋根に太陽光パネルを設置し自家発電した余った電力を販売するという制度により電力系統が不安定になる事を防ぐ目的で導入されました。 ここで電力会社との需要とのバランスをとる必要がでてきましたので国策として新たな段階にはいります。 EMSデータの活用 EMSの世界は、HEMSやBEMSやFEMSなどターゲットに応じた進化を遂げ、それぞれの世界でゲートウエイの必要性が求められ、セキュリティに守られた独自ネットワークと構内や宅内は標準化されたEconetLiteなる標準インターフェースで接続されるようになり、クラウドからオンデマンド制御される仕組みが経産省で決められたり(OpenADR)、電力会社から発電を抑制する仕様が提示・導入されるようになってエネルギーの創エネ・畜エネ時代に突入する。 この状態になると機能のすみ分けがされるようになり、電力会社規模での仮想電源(VPP)が社会システムとして注目をあびるようになって、クラウド上でのデマンドレスポンスが標準化されました。結果、現場での機器の利用が複雑(パワコンや蓄電池など)になり、インテリジェントでシンプルなゲートウエイ装置が必要となってきます。 私たちは、長年にわたりこのゲートウエイ中継装置のソフトウェア開発を継続して実施してまいりました。 導入効果と今後の取り組み 私たちは、インテリジェントなデータロガー機器からシンプルなゲートウエイ機器などのEMSで必要となるIoT中継ソフトウェアの開発を10年以上継続しております。 もちろん、センサーからのデータの収集やクラウドへのデータ格納やクラウドからの要求を受け取り制御する事を実施してきました。 これによりエネルギーマネージメント階層での役割の明確化ができるようになりました。 再生可能エネルギーの進化は「自家消費」の時代に入り、自営線をもったマイクログリッドが求められ、電力の世界では託送という新たなビジネスのヒントが出始めています。 これにはインテリジェントな中継局(機械の制御)が必要になってきます。 また、HEMSでの太陽光発電は、プロシューマ(生産消費者)というネットワークにも高速な切り替えを要求するような環境が必要となり5Gの活用が期待されています。 セカンドセレクションの他のIoT事例はこちらをご覧ください。 https://www.secondselection.com/business/