山形 敢太
量子的人間 ―個人、分人主義、猫―
これは分人主義を批判するものでも、先に進めたものでもない。ただ、分人主義をある比喩で捉え直してみたら、よりしっくりきたという自己満足感を書いた娯楽だ。 個人という幻想 個人主義の世界は、わたしたちに矛盾のない、1本の芯の通った個人であることを求める。言動に矛盾があればとがめられる。酷いときには「多重人格」と揶揄される。そして、わたしたちは自分の矛盾に悩んだりする。でも人間ってそんなにシンプルだろうか。 家族に対する自分、恋人に対する自分、親友に対する自分、同僚に対する自分。これら自分が矛盾なく、一貫性あるキャラクターな人間なんているだろうか。 分人主義との出会い わたしは