コンケン大学 短期留学
交換留学生として、タイ東北のコンケン大学歯学部から奨学金(渡航費・滞在費等)をいただいて、短期留学させていただきました。 コンケン大学はタイ東北のトップレベルの総合大学で、歯学部は最新の設備を備えた歯科医療施設を学部内だけでなく、各地方の寺院にも有しており、タイ東北の歯科医療を支える中核の歯科医療機関でもあります。 私は、歯学部5~6年生時に留学させていただいて、タイ東北地方のとある寺院で診療補助をさせていただきました。 そこでかなり悪い状態の歯を見せていただきまして、「日本には、ここまで悪い人はいないでしょう?」と言われました。 確かに、大学病院に来る患者さんで、そこまで悪い状態を見たことがなかったため、「はい。」と答えてしまいましたが、大学を出て、一般開業の歯科医院で診療していますと、年に数回は、あの時見た、酷い状態と変わらない口腔内の患者さんに、日本でも出会うのです。 タイでは、まだまだ歯科医院が少なく、治療を受けることができなくて悪い状態になるのですが、日本では、歯科医院が飽和状態で、保険医療システムのおかげで非常にリーズナブルな費用(歯科材料費や補綴物技工料を考慮すると実費以下です。)で医療を受けられるというのに、痛い時だけ歯科医院へ行き、応急処置のみを受けて、その後の根本的な治療に通わなくなる患者さんが多数います。 放置すれば、最悪の場合には治せない状態へとなっていきます。そして、治せない歯を抜かないで、また放置すれば、重度歯周病の原因にもなり、咬合崩壊を起こしていくこともあります。顎骨骨髄炎を起こすこともあります。 これだけ歯科医院の多い日本でも、タイ東北と変わらない患者さんが多いのは、患者さんが、治療で何をしているか、どうして行わなければならないのかを理解していないからでもあると思います。 広く一般に、歯科医療を理解してもらいたいと願っています。