パナソニック株式会社 / 照明事業部 エンジニア → プロジェクトリーダー
Wi-Fi対応シーリングライトの操作用スマートフォンアプリの開発
◯企画要件が未確定な状況下での Figma 活用による仕様主導(2021〜2022) <置かれた状況> 事業部初の Wi-Fi 対応シーリングライト開発は、発売時期が決まっているにもかかわらず企画要件がまだ固まっていない状態でスタートした。 加えてコロナ禍2年目(2021年3月〜)の原則リモート稼働という制約もあり、Teams での会議を通じてオンラインで仕様を詰めていく必要があった。 <打ち手> 対面なら資料を指差しながら話せるが、オンライン会議では画面や操作のイメージが伝わりにくく認識齟齬が起きやすい。そこで Figma を使い、50〜60点の完成度でも構わないという前提で画面仕様を先に具現化するアプローチをとった。 Figma であれば操作フローや画面遷移をビジュアルとして共有できるため、オンライン会議でも「ここはこう動くべきではないか」「この状態は想定していたか」という具体的な議論が生まれやすかった。 <道中の苦労> もちろん全てが順調だったわけではない。一番苦しかったのは、企画仕様が固まっていないのに、開発側としては前に進めなければならない板挟みだった。 各方面から「仕様はまだか」「これ以上遅れたら困る」と声が上がる中、未確定なものを画面として出す怖さもあった。それでも、何も出さないまま議論を続ける方がプロジェクト全体のリスクが大きいと判断し、小出しでも構わないから画面仕様を出し続け、少しずつでも前に進める形を取り続けた。 <結果> 画面仕様を起点に企画・デザイナー・品質・ファームウェア・CS の各部門と折衝を重ね、曖昧だった仕様が順次確定。 アプリ画面仕様が全体仕様のアンカーになる形で、他コンポーネントの仕様決定も連鎖的に進み、タイトなスケジュールの中で予定通りの商品・アプリ同時リリースを実現。その後もストアレビュー評価を2.0→4.3に改善・維持し、2024年にはPLとして新機能開発を任され、要件が複数回変わる状況でも最終的にリリースまで結びつけた。 <現在への接続> 「具体物を先に出して、それに対するコメントで議論を動かす」というアプローチは、現在の Homii World でのデザイナー協業や、AI への指示出し設計にも通じる原点となっている。