富士通(株) / 統括部長
地上デジタル放送受信機能のパソコンへの実装
テレビ放送の受信機能は、アナログ放送時代からパソコンにも実装され「テレパソ」として親しまれてきましたが、2003年12月に地上波デジタル放送が開始されるのを機に、パソコンへのデジタル放送受信機能の実装ニーズが一気に高まりました。しかし、オープン・アーキテクチャであるパソコンには、デジタル放送受信器の実装規約(ARIB)にある著作権保護の順守に課題がありました。そこで、富士通社内の半導体部門、研究所、事業部門が結束し、著作権保護のためのセキュアLSIを開発しそれをパソコンに実装することで、2003年末に世界初のデジタル放送受信機能付きパソコンの開発に成功しました。このプロジェクトはパソコンのハード・ソフトの開発はもちろんのこと、それ以外にもパソコンでのデジタル放送の著作権保護順守を放送業界全体に認知してもらう必要があり、それが最大の難関でもありました。富士通が世界初の名乗りを上げたあと国内競合他社も追随し、メディアからも「地デジ・パソコン」として大きく注目を浴びました。 これを契機にパソコンの普及にも大きく貢献できたことで、2009年に文部科学大臣賞を受賞することができました。