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新しいテニスコーチ像を形成していく

インタビュー回答者:有田 凌コーチ

29歳/広島県広島市出身/硬式テニス歴14年、コーチ歴10年

『 丸くなるな、星になれ 』。この言葉が似合う有田コーチの頭の中を覗いてみました。

――ズバリ、有田コーチの得意なレッスンは何ですか?

有田/お客様のボールマネジメント、つまり対応力を上げるレッスンです。近年、様々なメディアを通じてテニスの知識が簡単に手に入り、テニススクールに通わなくてもショットの技術が高いお客様が増えました。一方、ショットの技術が高いハイレベルなお客様たちの抱える悩みは、これ以上成長を感じられない、一定のレベルの試合でポイントが取れない、勝てないといったものです。そこでpointになってくるのが対応力です。レベルが高ければ高いほど、高次元なボール(回転量×スピード×重さ)が飛んでくるので、飛んでくるボールに対応する力が必要となってきます。

この対応力を上げるために、私は以下の3要素に注目します。

①フィジカル、②戦術理解、③テクニック

特にフィジカルに関しては、私自身がボディビルを目指していたからこそ、他のテニスコーチより身体の動きに関する知識を持っています。この知識を活かし、お客様の矯正ポイントを身体の使い方の側面から一言で指摘できることが私の強みです。

――どのような悩みを持ったお客様に自身のレッスンを受けてほしいですか?

有田/先ほどの質問の回答と重なる部分がございますが、試合で中々勝てない悩みを持ったお客様に積極的に足を運んでいただきたいです。勝てない理由は様々ですが、「自分のことしか考えていない」プレーヤーに負け癖が付いていることが多いと感じます。例えば、ポイントを取られたときに「私がここに打たなければよかった」と、相手に良いショットを打たれる一つ手前の自分のショットが悪いと思ってしまいます。相手に良いショットを打たせてしまった理由は、ラリーの中でじりじりとやられていることが大半ですが、どうしても一つ手前のショットばかりにフォーカスしてしまいます。反省するにしても、ラリーのスタートからどういう流れでラリーを展開したのか整理する必要があります。

そして、整理していく中で悪い要素を洗い出し、できることから改善していくのが現実的です。自分のショットばかりにフォーカスしてしまっている人は、技術以前に改善すべき点が多くあるかもしれません。

――「勿体ないなぁ」と感じるレッスンはどのようなレッスンですか?

有田/とても内容が詰まった素敵なレクチャーをされているのに、コーチ自身がそのレクチャーの内容を再現できていないレッスンです。再現とはお手本を差し、コーチのお仕事は手本を見せないと説明に納得感を持たせることができない商売です。お客様の脳内に成功イメージを持たせるためにもお手本を見せることは必須スキルとなりますが、再現できないとなるとコーチングの大きな障害となります。

日常的にある話で、例えばスピンサーブの画期的な理論を教えたけど、ものすごく話が長いコーチがいました。かつ、その理論をコーチ自身が再現できていなかったです。テニスの練習、説明の練習不足で起こるミスだと思いますが、これはコーチだと誰にでも起こります。油断すると机上の空論だけで教えた気になりますので、コーチは常にテニスに対する理解を追求し、理解したものをコート上で再現することを決して忘れず、訓練を怠らないことが重要です。

GODAIのコーチとしてグループレッスンを展開する以上、担当コーチは万能でなければならないと捉えています。人数が多く、時間が限られている環境下でテーマに沿った最適解をスピード感持って提供しなければなりません。テニスコーチに限らない話ですが、テニスに対してわからないはテニスコーチとして困ります。日々、自分ができないものに対して深く考え、練習するように心がけています。

――これからのテニスコーチに求められるものは何だと思いますか?

有田/現在進行形で模索中ですが、年々テニスコーチのレベルが上がっている印象を受けます。スクールのテニスコーチは一般的にグループレッスンを展開することが多く、とにかく時間がありません。1人のお客様にMax5分程度しかアドバイスする時間がありません。これまではグループレッスンの中で他のコーチと違う結果を出すために様々な工夫を行うことが正しい形でしたが、様々な情報が溢れる現代社会だと努力が覆らないことが多くなってきました。そのような背景から、テニスコーチとして生き残っていくためにも様々なことにチャレンジする必要があると私は感じています。テニスコーチの枠のなかで人気ではなく、何か自分の発信できるもの(レッスン以外)が今後必要だと捉えています。

動画配信、クリニック、イベントの企画 etc. 

とは言っても私自身、レッスンが得意なのでレッスン+αを意識し、お客様がもっと上手くなる付加価値を身に付けていきたいです。

エッジの効いたビジュアルからは想像できない繊細なレッスンは、子どもから大人まで幅広い世代が虜に。高校からテニスを始めたとは思えない剛腕なテニスと高い身体能力を駆使し、ハイレベルなお客様たちにもファン続出。独自の解剖学によってテニス奥深さを発信しています。一部のお客様から「有田コーチのせいでテニスにハマってしまった。どうしてくれるんですか!」とテニス沼から抜け出せなくなったお客様も数知れず。特に伸び悩んでいる方、テニスコーチとして働いてみたいけど、目指すコーチ像が明確になっていない方はぜひ一度、有田コーチのレッスンを体験していただくことをお勧めします。(記事作成者_坂口)
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