見えない存在を、動きだけで感じさせる体験型プロダクトをつくりました
「見えざるペット」は、姿の見えないペットの存在を、ケージ内の動きだけで感じさせる体験型プロダクトです。
ペットを飼いたくても飼えない人に向けて、実際の生き物がいなくても「何かがそこにいる」と感じられる体験をつくれないか、という問いから制作しました。
この作品は、チームで企画・制作し、Maker Faire Tokyo 2022に出展しました。私は主に企画とギミック制作を担当し、見えない存在をどのような動きで表現するか、体験としてどう成立させるかを考えながら制作しました。
見えないものを、どうやって“いる”と感じさせるか
この作品で大切にしたのは、ペットそのものを見せないことです。
姿を見せるのではなく、床材がもそもそ動く、回し車が回る、シーソーが傾く、水を飲んだように給水機に泡が出る、といった環境の変化によって、鑑賞者が自分の想像で存在を補完できるようにしました。
「見えないけれど、そこにいるかもしれない」と感じる余白を残すことで、単なる機械仕掛けではなく、気配を飼うような体験を目指しました。
企画からギミック制作まで担当
制作では、小動物の行動を観察し、物陰に隠れる、気まぐれに動く、遊具で遊ぶ、食事をする、といった振る舞いを、どのような機構で表現できるかを検討しました。
特に床材の動きは、見えないペットの存在感を出すうえで重要な要素でした。3DプリンタのXYステージを転用し、ケージの下から磁石を動かすことで、床材の中に何かが潜って移動しているように見せる仕組みを制作しました。
ゼロからすべてを作るのではなく、既存の機構を転用しながら、短期間で体験として成立する形まで持っていくことを意識しました。
Maker Faire Tokyo 2022での展示
Maker Faire Tokyo 2022では、チームでブースに立ち、来場者に作品を体験してもらいました。
展示中は、多くの子どもたちがケージを覗き込み、床材が動いたり、回し車が回ったりする様子を見て「何がいるの?」と反応してくれました。姿が見えないからこそ、来場者が自分の想像で存在を補い、見えないペットを探すように楽しんでくれたことが印象に残っています。
また、子どもだけでなく大人の来場者からも、発想や仕組みに対して反応をもらうことができました。実際に展示の場に出すことで、作品が人の好奇心や会話を生む瞬間を見ることができ、体験型プロダクトの面白さを強く感じました。
この制作で伝えたいこと
この作品は、私にとって「企画意図を、機構と演出で体験に変換する」制作でした。
ただ動くものを作るのではなく、どんな感情を生みたいのか、どこに想像の余白を残すのかを考えながら、ハードウェアと演出を組み合わせています。
Maker Faire Tokyo 2022での展示を通して、ものづくりは物体を作るだけではなく、人の解釈や会話を生むことでもあると実感しました。今後も、企画者・デザイナー・エンジニアの間に立ち、アイデアを実現可能な形に翻訳しながら、人の感情や行動が生まれる体験をつくっていきたいです。