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遠くへ行きたい人を求めて

求人担当をしていて思うこと

ありがたいことに現在も週に数件のご応募があり、面談の機会も多くいただきます。多くは20代前半の方です。30代以上の方は、移住を伴うことをお伝えするとミスマッチとなり面談まで至らないケースが殆んどです。社会人経験が多くなるほど都市部の生活に慣れてしまい移住するのは大きなハードルになります。また、ここがポイントなのですが地方は所得水準が低いため大半の方が減収になります。そうなると地方生活が描けないことで「不安」を通り越し「恐怖」とも言える感情がやってきます。逆に20代前半の方は未知の領域に簡単に飛び込んでしまう様な気軽さを持ってやってきたりします。

知夫村地域振興課は昨年の秋からwantedlyへ積極的な求人掲載を始めました。これまで2名の方が採用となり、移住されました。いずれも20代です。

2人に共通することは、面談のあと、現地へ足を運ばれたこと。移住体験施設で生活をして住むことを決め、その後仕事を決められました。

不思議ですよね。

仕事を探して求人を見つけてくれたのに、移住を先に決めてしまって大丈夫???

と誰でも思いますよね。私も最初はそう思いました。

そして、移住の前に何度か尋ねました。

「本当にいいの?生活できそう?コンビニも無いし、ファストフードも無いし、本屋さんも無いよ。飲食店もほとんどないし、遊ぶ場所なんて自然しかないよ。」

この島にはこれらの施設はありませんし、衰退の一途を辿っている終末感しかありません。(笑)

では、なぜ彼らは移住を決めたのか?

移住=永住ではない風土ができつつある?

勿論、できるだけ長く住んでほしいという願いはありますが、私たちはそれをまったく強要しません。とくに大人の島留学制度がスタートしてから意識はすっかり消えました(笑)。むしろ一人ひとりが住み続けたいと思えるようなヒト、モノ、コトが増えなければ定住につながらないと考えています。ひょっとするとそんな定住圧のない雰囲気が移住に繋がったのかもしれません。

知夫里島この5年の間にあった主な出来事

さて、いきなりですが近年の島の変化を見ていきましょう。

(ちなみに若い世代の移住増については令和4年度4月に大人の島留学生が6名移住、その他にも20代の若者が増えました。)

行政以外にもさまざまなところで変化が起こっています。

  • 知夫おそうじクラブ(海ゴミ清掃ボランティアグループ) 活動
  • お菓子工房 めにーでーる OPEN
  • シルクスクリーン工房 SURUDAWAI OPEN
  • 小料理屋どんどん OPEN
  • 民泊 小新家本店 OPEN
  • 島唯一のカフェ のらり珈琲 OPEN
  • ドナの知夫里島さざえコロッケオンライン販売スタート

細かい変化で言えばここでは書ききれないくらい多いのですが、新しいものが生まれ古いのもが消滅していくという姿が目立つように思います。

こうして書き記すと、とても盛り上がっている島だと感じますね。この目まぐるしく変化する知夫里島に魅力を感じる方もいると思います。

しかし、行政の施策だけで言えば、組織が増えれば人手不足や経営面についても大なり小なり問題が出てきます。しかし、誤解を恐れずいえば私は移住4年目の若輩者として、実際住んでいてそんなに大きな変化を感じません。(行政職員ですから特に感じ取りにくい立ち位置ではあるのですが…)それは、生まれて消えるサイクルの早い都会と比べて変化を感じないという意味ではなく、化学反応を感じないからです。

早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け

この島には化学反応が起きる風土はまだまだ作られていないと感じます。まだ何も作られていない、誰も手をつけていない手つかずの島。それはやっぱり魅力的で可能性のかたまりです。だから遠くへ行きたい人が増えてくると化学反応を期待してしまいます。そしてこんなにワクワクさせてくれることはありません。

地域は変えるものではなく、変わっていくもの

よい言葉ですね。これはお隣海士町の方が言っておられた地域活性化の本質を捉えた言葉だと思います。だからこそ島の生活を気に入ってくれた人たちが、暮らしを持続させるために何ができるかを考えていくことが地域の変化になっていくのだと思います。ここにしか無い仕事は無い。でもここにしか無い暮らしが有る。なぜなら、ここにしかいない人がいて、ここにしかない何かがあるから。

地元の人はこんな事を言います。「こんな離島で若い時に楽をすると都会では通用しなくなる。」

本当にそうでしょうか?たしかに競争環境は少ない。しかし、逆に競争を作らせない環境というものがあったりしますし、開拓者の足を見っぱる風潮が無いとは言えません。なぜこれまで人口が減り産業が衰退してきたのか?時代のせいだけでは片付けられない変化が生まれにくい風土があったのではないでしょうか。これからはこの狭い島で、風が吹かなくても空気が吸える環境を作ることが大事だと考えています。

行政なんて重箱の片隅にいるくらいの存在でいい

この島の主人公はこの島に住む人です。いずれは行政の後に人がついてくるのではなく、人の後に行政がついてくる。重箱の隅で、居たことを忘れられるくらいの存在でいいのです。

もし、興味を持っていただけたら、一度この島へ遊びに来てください。そして地道に一つずつ積み重ねていくことから新しいものが生まれることを実感しにきてください。

ひょっとしたら充実した生き方のヒントがあるかもしれませんよ。

https://chibu-vill.note.jp/

https://www.youtube.com/watch?v=KdfXNDc4GS8