優秀な人が辞める時に起きる5つの現象
優秀な人が辞める時に起きる5つの現象
「〇〇さんが辞めることになりました。」
組織では珍しくない出来事です。
そして不思議なことに、辞める本人よりも、周りの空気が大きく変わります。
「急すぎる。」
「最後まで責任を持つべきだ。」
「もっと早く言ってくれたらよかったのに。」
そんな言葉が飛び交い、いつの間にか話題は「辞める人の問題」へと変わっていきます。
でも私は、少し違う見方をしています。
本当に問題なのは、人なのでしょうか。
それとも、組織の構造なのでしょうか。
① 辞める人が悪者になる
優秀な人ほど、責任感があります。
だから限界まで頑張ります。
ところが退職の話が出ると、
「急すぎる」
「最後まで仕事してほしい」
「辞めると言ってからやる気が見られない」
という言葉が出始めます。
もちろん、引継ぎは大切です。
しかし、その人が辞めるまでの間、本当に組織として引継ぎできる状態を作っていたでしょうか。
一人しか知らない仕事。
本人しか触れないデータ。
本人しか分からない判断基準。
それらを何年も放置したまま、「辞めるなら引継ぎして」と言うのは少し酷な話です。
そして、後任者に仕事が渡っていくほど本人は手が空くはずなのに
通常業務を最終日まで担当としてやる事になっている。
後任者は本人が退職してから初めて業務を担当することになります。
これでは引継ぎではなく、「退職後に覚える」状態になってしまいます。
② 引継ぎ問題が人格問題になる
引継ぎがうまく進まないと、
「説明が雑だった」
「協力的じゃない」
という話になりがちです。
でも、その前に考えたいことがあります。
マニュアルはありましたか。
資料の保管場所は決まっていましたか。
問い合わせ窓口は整理されていましたか。
引継ぎは、辞める人の能力だけで決まるものではありません。
日頃から情報を共有できる構造があって初めて、スムーズに進むものだと思っています。
③ 構造問題が感情問題に変わる
本当は、
「問い合わせが一人に集中している」
「判断基準が共有されていない」
「権限管理が曖昧」
という構造の問題だったはずなのに、
いつの間にか
「やる気がない」
「思いやりがない」
という感情の話に変わってしまう。
そうなると、本来解決すべき課題が見えなくなります。
本来であれば、問い合わせ窓口や権限、業務フローを見直す機会になるはずです。
しかし議論が感情論になると、仕組みは何も変わらず、同じことが繰り返されます。
④ 後任育成不足が本人責任になる
「後任を育ててほしかった。」
そう言われることがあります。
でも、後任を育てる時間や体制は、本当に用意されていたでしょうか。
日々の業務に追われながら、教育も通常業務もすべて一人で抱える。
そんな状況では、後任育成まで手が回らないことも少なくありません。
人材育成もまた、組織が仕組みとして考えるべきテーマだと思っています。
⑤ 「不義理」という言葉が出始める
退職の場面で、「不義理」という言葉を耳にすることがあります。
その時に考えたのは、
「ここまで一人に依存していた状態は、本当に健全だったのだろうか。」
ということでした。
誰かが辞めるたびに、組織が大きく揺れる。
それは、その人が特別優秀だったからではなく、その人しか回せない構造になっていたからかもしれません。
もちろん、約束を守ることや誠実に対応することは大切です。
一方で、組織として引継ぎができる状態を作れていたか、役割を分散できていたかという視点も欠かせません。
誰か一人の責任だけで語ってしまうと、本当の課題は解決されないままになります。
私が構造を見る理由
私は人を責めたいわけではありません。
優秀な人ほど責任感があり、最後まで頑張ろうとします。
だからこそ、その人の頑張りだけで成り立つ組織ではなく、
担当者が休んでも止まらない。
引継ぎで慌てない。
社長がいなくても回る。
そんな組織を増やしたいと思っています。
人を変えることは難しくても、仕組みは変えられます。
人が辞めるたびに誰かを悪者にするのではなく、
「なぜ、その人しかできなかったのか。」
そんな視点で組織を見る人が、もっと増えてほしいと思っています。
誰かが辞めた時は、その人を評価するタイミングではなく、組織の構造を見直すタイミングなのかもしれません。