前回の記事では、「社長が現場に居続ける会社は成長が止まりやすい」というお話を書きました。
では、実際に社長はいつ現場を任せればよいのでしょうか。
私は、その答えは担当者の能力だけでは決まらないと思っています。
会社が次のステージへ進もうとするときです。
例えば、
二店舗目を出したい。
新しい事業を始めたい。
新しい地域へ展開したい。
こうしたタイミングでは、社長が今までと同じように現場へ立ち続けることは難しくなります。
一人の社長が、二店舗で同時に施術をすることはできません。
一人の社長が、二つの事業の現場を同時に見ることもできません。
だから、会社を成長させるために現場を任せるという考え方が必要になります。
最初から全部任せる必要はありません
とはいえ、いきなり現場を丸ごと任せるのは違います。
以前、「丸投げは自走ではありません。」という記事を書きました。
任せることと、丸投げすることは別です。
例えば、
最初はお客様への連絡だけ任せる。
次は見積書の説明まで任せる。
その次は契約まで任せる。
というように、少しずつ担当範囲を広げていく。
その積み重ねが、自信につながります。
任せるとは、一気に手を放すことではありません。
少しずつ支える手を離していくことです。
社長が確認するポイントを決めておく
任せるときに大切なのは、
「どこで社長が確認するのか。」
を決めておくことです。
以前、「管理は管理者のペースで行ってはいけない。」という記事でも書きました。
担当者が確認を上げるタイミング。
社長が確認するタイミング。
この両方が決まっているから、安心して仕事を進められます。
方向性を確認する。
金額を確認する。
契約前に確認する。
こうした節目だけ社長が関われば、担当者は安心して判断できます。
社長が答えを出し続けると、現場は育ちません
任せた後も、
「どうしたらいいですか。」
と相談されることがあります。
そんな時、社長が毎回答えだけを伝えてしまうと、担当者は次も同じ質問をするようになります。
だから私は、
答えだけではなく、
「あなたならどう考える?」
と聞き返すことも大切だと思っています。
もちろん、最終判断は社長が行う場面もあるでしょう。
でも、その前に担当者自身が考える機会をつくる。
それが経験になります。
任せる基準は、能力だけではありません
「まだスキルが足りない。」
そう思って任せられないこともあります。
もちろん、能力は大切です。
でも私は、それ以上に見ていることがあります。
報告ができるか。
相談ができるか。
分からないことをそのままにしないか。
約束を守れるか。
つまり、
一人で完璧にできるかではなく、
困ったときに適切に助けを求められるか。
そこを見ています。
組織は、一人で仕事をする場所ではありません。
必要なときに報連相ができる人は、安心して仕事を任せられます。
社長が現場を離れる日は、突然やってきます
会社が新しいフェーズに入ると、社長も打ち合わせや商談が立てこみ
現場を不在にする場面も多くなります。
その時になって、
「やっぱり社長しか分かりません。」
では遅いのです。
だからこそ、元気なうちから少しずつ任せる。
小さな経験を積み重ねる。
失敗しても立て直せる範囲で経験してもらう。
その積み重ねが、組織の力になります。
任せることは、人を信じることです
私は、「任せる」とは仕事を渡すことだけではないと思っています。
相手の成長を信じること。
経験する機会をつくること。
困ったときに支えること。
そして、少しずつ社長しかできない仕事へ時間を戻していくこと。
これが、会社を成長させるための任せ方です。
社長が現場を任せるタイミングとは、
担当者が完璧になった日ではありません。
会社が次のステージへ進む準備ができた日です。
そのために、
判断基準を共有する。
確認する仕組みをつくる。
少しずつ経験を積んでもらう。
私は、その環境を設計することも、経営者の大切な役割だと考えています。