私が普段、髪を切ってもらっている美容院で感じたことがある。
そこは日本でも、かなり有名な美容院だ。
許可をとっていないので名前は伏せておく。
そんな有名店には、やはりたくさんの素敵なスタッフがいる。
積み上げてきた技術と、その店で働いているという自信と誇りを持って、全体の空気を引き締めている店長。
細部までこだわりが強く、指名No.1で常にひっきりなしにお客様が来ているトップスタイリスト。
「他の人よりも早くスタイリストになるぞ」という気持ちをもって、日々練習に打ち込む若手。
など多種多様だ。
あそこには間違いなく美容師としての誇りが充満している。
これは不思議なのだが、名前や勤務年数を知らなくても、ぱっと見でプロ意識の差がオーラと空気で感じ取れる。
ちなみに美容院というのは大体が、
・代表(オーナー)
・店長
・ディレクター
・トップスタイリスト
・スタイリスト
・ジュニアスタイリスト
・アシスタント
という感じで役職が分かれている。
一方でこういう人もいるそうだ。
技術は合格ライン。
でも一生アシスタントから昇格できない人。
その美容室では、どれだけ技術があったとしても、”人として”の部分で先輩、店長、幹部からOKが一つでも出なければ絶対に昇格させないそうだ。
これを聞いて私はより一層、その美容室が好きになった。
のにマンとのに子
大抵の場合、会社組織の中で ”人として” の評価の壁を越えられず、昇格できない人が陥っていくパターンは決まっている。
まず報酬面、労働時間、人間関係、昇格条件の愚痴を裏で言いだす。
「自分はこんなに頑張っているのに」と全てが悪で自らの敵に見えてくるのだろう。
そうなると数ヶ月もすれば、「独立します」と言って辞めていくのが関の山だ。
私はこれを「のにマン」「のに子」と読んでいる。
こんなに練習している"のに”
こんなに努力している"のに"
自分は後輩の面倒を見ている"のに"
あいつよりもこんなに真面目にやっている"のに"
私はこれだけ熱い気持ちを持っている"のに"
のにのにのにのにのに・・・
「のに」は人が職場で腐り始める最初の危険信号だ。
地震の災害速報的な感じだと思ってもらえたらいい。
私は職種、業種問わず、こういう辞め方をして成功している人間を一人も見たことがない。
成功できない理由が明確にそこにあるとさえ思う。
もちろん辞める人には他にも種類がある。
・新しいもので世の中を変えたい起業家
・やりたいことがその環境では実現できないゲームチェンジャー
・とにかく死んでも人の下で働くことができない孤高の変人
・挑戦したいことが明確にあるチャレンジャー
・組織文化が合わず、自分の哲学で新たな世界を作りたい哲学者
働いていく中で自分の異常性に気づく人がほとんどだと思うが、こういう人間はいちいち愚痴を言わないし、辞めたいんだよね〜みたいな空気も職場では出さない。
休日を使ったり睡眠時間を削ったりして、誰に言われるでもなく独立の準備をしている。
そして準備段階である程度うまくいっていたり、上手くいくまで狂ったように一人で継続していたりする。
上長へ「辞めます」と言い出す時には、大抵もう次の仕事で上手くいっている。もしくはすでに始める準備が終わっていることがほとんどだろう。
”何をしても他者よりも上手くいく人間” というのは、ある程度決まっている。
何をしても上手くいく奴らは、毎日精一杯で自分のやるべきことをやっている。
他人にどうにかしてもらおうなんて考えは初めから0。
愚痴を言っている暇も、だらけている暇も無い。
”人として”を言語化してみよう
その美容院では、”人として” という部分は具体的にはいくつかあるそうだが、明確に開示はされていないらしい。
なので私も社長をしている身として「こういうところを見るだろうな」というのを予測で書いてみる。
いわばこれは、私が見ているポイントでもある。
一言で言うと人間力だ。
業種関係なく、仕事においての人間力というと、この辺りだと思う。
・仕事への向き合い方
・お客様への向き合い方
・プロとして仕事をする大人としての意識
・組織というものに対する構造と役割の理解
・会社や店舗に対しての愛や向き合い方
・上司からのアドバイスや指導に対しての姿勢
・後輩の指導、育成に対しての積極性
・全体への声掛け、気遣いなどの集団成功のための協調性
・自身の技術を研鑽し続けるという向上心
・自己規律、自己管理能力、責任感
・上司や会社に対して、何をしてもらえるかではなく、何ができるかというギブの精神
書き出したら無限に出てくるが、この辺で止めておく。
これを読んだ時に、「会社にとって都合の良い人間になれってことかよ」と思う人もいるかもしれない。
それは半分正解で半分間違いだ。
まずその会社組織、いわば船と看板を守る責任がある代表には、作りたい世界、やりたいこと、成し遂げたいことがある。
そこに共感してくれる仲間、協力してくれる人を求めて求人を出している。
求人を見た人は、その会社の何かしらを良いと思って応募するわけだが、代表とスタッフはどんな契約形態であれ、お互いに利益をもたらす関係性でなければいけない。
なぜならビジネスにおいての人間関係というのは、何かしらの利益をもたらしあうことで成り立つからだ。
これは小学生でもわかることだろう。
給料、報酬、ボーナスの正体
給料というのは、
”今月あなたが他者に対してもたらした利益の数値”
である。
さらにここにプラスで、
短期で反映されるものがインセンティブ。
中期で反映されるものがボーナス。
長期で反映されるものが役職や基本給の上昇、それに伴う報酬ルールの向上だ。
しかし、プロフェッショナル採用で即組織に貢献できる人材以外は、入社してから数年というのは育ててもらう期間でもある。
その期間、給料が低いのは当たり前だ。
なぜなら一人では、なんの利益も持たらすことができない人間が、会社に技術や知識、哲学、時間、お金を投資してもらっているフェーズだからだ。
”何も利益をもたらさずに、あらゆるものをもらい続け、自分は生かされている”
ということを理解せずに、自分の欲求や希望ばかり言葉にしている甘ちゃんはビジネスや資本主義を舐めすぎだろう。
18歳の頃の私がこれにあたる。
当時の上司に鬼のように厳しく指導をしていただいたおかげで、早い段階で気づくことができた。
正直あの時は、朝出勤するだけでも胃が痛かったし、オフィスでその人のデスクの近くを通る度に、恐怖で吐きそうになっていた。
今では心から感謝している、人生の恩師の一人である。
自分だけがもらおうとするからおかしくなる
もちろんビジネスの関係においてもたらす利益というのは、お金だけじゃなくなる場合もある。
ビジネスで出会ったが、お金だけの関係を超えて、戦友のような、兄弟のような、魂レベルでのつながりを感じる
といった精神的な充足感という利益をもたらす場合もある。
共時性(シンクロニシティ)の感度が高い人はここに気付けることが多い。
これはほとんどの人が何を言っているのかすらも分からないと思うが、そういうものが現実にあると私は感じているし、体感している。
シンクロニシティについてはまた別の記事で書こうと思う。
一方で利益を何も持たらさなくても、変わりなく続く、素晴らしい人間関係が家族や友人だ。
現代は、資本主義に疲れ、犬や猫でそれを代替し、心の充足感や安心感を得ている人も多いだろう。
”会社にとって都合が良い人間” になれと言っているわけではない。
まずは勤めている会社や属している組織、その組織を守って動かしている上長、指導してくれる先輩、目の前お客様など、自分の近くにいる人や集団に利益をもたらせる人間になろうということだ。
それすらも理解できず、自分の能力を高く見積り、他者に与えられる利益を履き違えている人間は、いわゆる資本主義の中での成功や理想の報酬を手に入れることは難しいだろう。
この世界は誰かに何かしらの利益をもたらすことで、そのお返しとして自分も利益を享受することができる。
自分だけがもらおうとするから、精神がおかしなことになり、在り方が崩れ、行動がおかしくなる。
組織という船の上で看板を借りて、守られながら生きているのにも関わらず、目の前の一人すらも喜ばせることもできない。利益をもたらすこともできない人間が資本主義の中で報われるわけがない。
組織に属し、組織の中で自分の価値を上げていく必要性を理解したのであれば、次に自分の考え方と取り組み姿勢を変えることが重要になる。
では、ここまで読んでくれた真面目で成長に貪欲なあなたに、同じ仕事でも考え方と取り組み姿勢によって全然未来が変わるということが分かる寓話をプレゼントしておこう。
3人のレンガ職人
ある旅人が、レンガを積んでいる3人の職人に尋ねました。
ーーーーーーーーーーー
旅人「あなたは、何をしているのですか?」
1人目の職人は答えました。
「見れば分かるだろ。レンガを積んでいるんだよ。」
2人目の職人は答えました。
「家族を養うために、賃金を稼いでいるんだ。」
3人目の職人は、誇らしげに答えました。
「多くの人が集い、祈りを捧げる、歴史に残る大聖堂をつくっているんです。」
ーーーーーーーーーーー
3人とも、やっている作業は同じだ。
しかし、仕事に対する意味づけが違う。
1人目は「作業」を見ている
2人目は「報酬」を見ている
3人目は「目的と未来」を見ている
この話が伝えたいのは、仕事の価値は、仕事内容だけで決まるのではなく、自分が何のために取り組んでいるかによって変わるということだ。
OuterArtsの営業だとこのように置き換えられるだろう。
1人目「商談をこなしている」
2人目「売上をつくって収入を得ている」
3人目「顧客が人生を変えるきっかけをつくっている」
同じ90分の商談でも、どの視点で向き合うかによって、質問の深さ、熱量、責任感は変わり、言葉や態度が変わる。
人間の行為は必ず、「何かのために、何かをする」という構造を持っている。
一つの行為の目的には、さらにその先の目的が存在し、目的と手段が連鎖している。
OuterArtsでは、
国力を上げる
↑
日本一のセールスOSを作る
↑
顧客が人生を変えるきっかけを作る
↑
売り上げを作って収入を得る
↑
商談をこなす
というような構造になっていて、上位の目的が下位の目的を決めている。
ここから分かるのは、より上位の目的を理解して仕事に取り組む方が有意義で充実感があり、責任感を持って毎日をエネルギッシュに過ごすことができるということだ。
そのためには視座の高さ、視野の広さが必要だ。
もう一つ重要なのは、目的がわからない行動は人間にとって地獄だということ。
何の意味があるのか、何のためになっているのか、誰が喜ぶのかをわからないまま、ただ毎日同じ作業を繰り返す。
”徹底的に無益で無意味な行動を一生繰り返す”
人間にとって、これほどの地獄はないだろう。
その地獄を作っているのは自分の認識、理解のせいかもしれない。
認識を変えなければどんな仕事をしてもまた同じ地獄が訪れる。
この記事が、仕事に対しての取り組み姿勢・考え方を見直すきっかけになったら嬉しい。