SES企業を比較していると、2種類の主張を見かけます。「還元率の高い会社を選ぶべきだ」という主張と、「単価の高い案件を持つ会社を選ぶべきだ」という主張です。
どちらも半分だけ正しい、というのが私の答えです。今回はこの話を、計算式で整理します。
月給は「掛け算」で決まる
SESエンジニアの月給は、突き詰めればこの式です。
月給 = 単価 × 給与ベースの還元率
掛け算なので、片方だけでは金額は決まりません。具体的に見ます。
- 単価50万円 × 還元率70% = 月給35.0万円
- 単価70万円 × 還元率60% = 月給42.0万円
- 単価100万円 × 還元率50% = 月給50.0万円
還元率が一番低い3つ目が、月給では一番高い。逆に、同じ単価70万円なら還元率70%の会社(49.0万円)が60%の会社(42.0万円)に月7万円の差をつけます。還元率の高さも、単価の高さも、単独では待遇の証明にならない——これがこの式から出る唯一の結論です。
「逆転現象」の正体
高単価の会社から低単価の会社へ転職して年収が上がった、という話を聞くことがあります。不思議な現象に見えますが、式に当てはめれば謎はありません。単価の差を上回るだけ、還元率の差が大きかった。それだけのことです。
この現象は「単価は当てにならない」ことの証明ではありませんし、「還元率さえ高ければよい」ことの証明でもありません。掛け算の片方が変わった結果を、もう片方のせいにしているだけです。
片方しか語らない話には、理由がある
ここから、会社選びで使える実践的な教訓が出ます。
単価に触れずに還元率だけを語る会社は、単価を見せたくない可能性があります。 還元率90%でも、単価45万円なら月給は40.5万円です。
還元率に触れずに単価だけを語る会社は、還元率を見せたくない可能性があります。 単価100万円でも、給与ベースで50%なら月給は50万円。同じ単価で70%の会社があれば、その差は月20万円です。
そして以前の記事で書いた通り、還元率という言葉自体にも定義の幅があります。社会保険の会社負担や交通費を含めた「見かけの還元率」なら、数字はいくらでも大きくできます。つまり確認すべきは、単価・還元率・還元率の定義の3点セットです。どれか一つでも面談で答えられない会社があれば、そこが隠したい部分だと考えて、まず間違いありません。
当社の答え
ディリテックは、この3点をすべて公開しています。計算式は単価×70%=月給(社会保険の会社負担・交通費を含まない給与ベース)、単価は案件ごとに本人へ開示、給与シミュレーターはコーポレートサイトで公開しています。面談では、あなたの経験なら単価いくらの案件が現実的か、という話まで具体的にします。
単価と還元率は、どちらを見るかではなく、両方を掛けて見るものです。この視点を持っておくだけで、SES選びの解像度は大きく変わるはずです。