AIを使うと、企画書のたたき台も、メールの返信案も、短い時間で用意できるようになります。
入社して数年がたち、任される仕事が増えてきた方なら、助かる場面も多いと思います。
一方で、こんな迷いはないでしょうか。「案はたくさん出せる。でも、どれを選べばいいのか分からない」私は、AIを仕事に組み込むうえで、ここが大切な分かれ道だと考えています。
■「作りました」の先にある仕事
たとえば、お客様への提案メールをAIに作ってもらうとします。
丁寧な案、短い案、熱意の伝わる案。どれも、それらしく見えるかもしれません。
ただ、初めて連絡する相手なのか。長くお付き合いのある相手なのか。納期の遅れで、すでに不安を抱えている相手なのか。それによって、ふさわしい文章は変わります。
「一番きれいに書けた案」と「今、この相手に届けるべき案」は、同じとは限りません。だから、AIに作ってもらった後に、人が考える仕事が残ります。
■これから意識したい、3つのこと
ひとつ目は、目的を決めること。今回のメールで、相手に何を伝え、どう動いてほしいのか。「返信を書く」の手前にある目的を、自分の言葉にしてみてください。
ふたつ目は、選ぶ理由を持つこと。「AIがおすすめしたから」で終わらせず、「今回は安心してもらう必要があるので、納期と対応方針が明確な案を選びました」と説明できるか。そこに、あなたの判断が表れます。
note では、この選ぶ基準を「美意識」と表現しました。見た目の好みだけを指す言葉ではありません。お客様との関係や、自社が大切にしている姿勢に照らして、ふさわしいものを見極める感覚です。三つ目は、任された範囲で結果に向き合うこと。
内容を確認し、権限を超える約束や判断は上司に相談する。間違いがあれば修正する。「AIが書いたので」で済ませず、仕事として相手に届くところまで考えることです。
なお、若手が会社の責任を一人で背負うという意味ではありません。誰が確認し、誰が承認するかを決めることは、組織や経営者の役割です。
■経験は、AIへの指示にも使える
お客様に喜ばれた言い方。行き違いになった表現。先輩から教わった確認の順序。
そうした経験を、「この場合は、ここを確認する」という条件に変えると、AIにも伝えやすくなります。元記事で紹介したFDE(Forward Deployed Engineer)の考え方も、現場の事情や経験を理解し、実際に使える仕組みへつなぐ点に注目しています。
ツールの操作だけでなく、現場を知っていることにも意味があります。
■明日の仕事で、ひとつ試すなら
AIの案を提出するときに、「この案を選んだ理由」を一文添えてみてください。
「相手が初めて読むので、専門用語を減らしました」「確認漏れを防ぐため、納期と数量を先に書きました」その一文があると、上司も判断を確認でき、あなた自身の基準も言葉として残ります。
私は、目的を決め、案を選び、関係者と協力して結果につなげる働き方を「プロデューサー」と呼んでいます。
それは役職がついてから始める仕事ではありません。今の仕事の中でも、小さく始められると考えています。
島田浩司|株式会社Gマーケティング
note:AI時代のリーダーシップ:職人からプロデューサーへ