2025年3月 能登半島にてボランティア活動と地元の農家・生産者・企業への訪問 | 株式会社ワンパク
デザイナーの川上です。3月20日〜22日までワンパク代表の阿部とクライアントであるタカマツハウスの宇杉さま、そして阿部の知人の方々を含む6名で能登半島へ行ってきました。今回、2日間を現地の農家や...
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こんにちは。デザイナーの川上です。
ワンパクには、「プロボノ」という取り組みがあります。プロボノとは、自分たちの専門領域であるデザインやブランディングの力を、社会的意義のあるプロジェクトに無償で提供することです。利益のためでなく、困っている人や誰かの力になるために動く。そんなプロボノの取り組みを、この記事ではご紹介します。
今回ご紹介するのは、石川県能登半島で100年以上の歴史を持つ醤油蔵、カネヨ醤油さんとのプロジェクトです。
カネヨ醤油さんは、能登半島の豊かな自然と風土の中で、代々受け継がれてきた醤油づくりを続けてきた老舗。地元の食文化を長年支え、地元ならではの醤油をつくり続けている、志賀町にある蔵元です。
2025年3月、ワンパク代表の阿部と能登でボランティア活動を行うと共に現地の農家や生産者・企業を訪問し、震災の影響をヒアリングして回りました。その際、カネヨ醤油さんの蔵元に行き、そこでカネヨ醤油3代目の上江さん(現社長)と、4代目を承継する予定の木村さん(現社長のご息女)と出会いました。
2025年3月に訪問した際の記事はこちら↓
蔵を訪れ、震災を乗り越えながらも醤油を造り続ける上江さんたちの姿を見たとき、阿部から「お手伝いできることがあれば、何でも言ってください」と素直な思いが出ていました。
そこからしばらく経って、木村さんから「2026年にカネヨ醤油は100周年を迎えるためロゴをつくってほしい」というメールが阿部の元に届きました。
しかしながら阿部は、創業100周年という節目は、カネヨ醤油というブランドを今後どうしていくべきかを考える、良い機会ではないかと思い立ち「もちろんロゴをつくることもできますが、せっかくなのでリブランディングに取り組んでみませんか?」と提案したことが、このプロジェクトを始めるきっかけとなりました。
私は以前から、デザインを必要としているのに、そこにたどり着けずにいる人たちのために、何か自分にできることはないかという思いがあります。また、福岡出身の自分にとって、都心が注目されがちな現状にもどかしさを感じていました。日本全国には、魅力的な人、場所、モノ、コトが溢れています。そんな日本全国の地域ごとの魅力を引き出し、元気にするものづくりに携わりたいという思いを持ち続けていました。そのときに、ワンパクでカネヨ醤油さんのリブランディング支援をスタートさせることを聞き、これはずっと考えていた思いを形にするチャンスだ!と考え、このプロジェクトに参加しました。
このプロジェクトはワンパクが普段の仕事の中で使用している、リブランディングのメソッドやプロセスを活用しつつ、カネヨ醤油の木村さんにも理解しやすいように、丁寧に時間をかけながら進めていきました。幸いにして100周年を迎える2026年までは半年以上の時間があったため、ワンパクのミッションにも掲げている「一緒に考え、一緒につくる。」を体現した理想のプロジェクトのかたちとなりました。
ワンパクからは、代表の阿部がクリエイティブディレクターとして入り、デザイナーの塩屋と川上が参加、能登半島での支援を単独でも進めている外部パートナーのリムナーの次田さんと共にチームを組み、2025年4月にプロジェクトがスタートし、毎週、木村さんとオンラインでMiroのボード(オンラインのホワイトボード)を使用しながらセッションを重ねながら進めていきました。
まず私たちは、「聞く」ことから始めていきました。
カネヨ醤油さんの中で何が起きているのかを、社内(Internal)・社外(Outer)の両面から、できるだけ丁寧に引き出しました。木村さんからお話を聞かせてもらい、カネヨ醤油が抱えている様々な問題が少しずつ明らかになっていきました。
様々な問題がある中で優先度が高い問題は大きく2つ。
問題が明らかになったら、次は「では、どうなるべきか?何をかえるべきか?」と「何を残すのか」を一緒に考えるフェーズです。
私たちは、問題点の洗い出しと同様に社内(Internal)・社外(Outer)の両面からあるべき姿を考え、更に残すべきことと、変えるべきことについてセッションを重ねました。
社内の視点では、商品・価格・組織・業務改善・設備・ブランド発信という6つのカテゴリに分けて課題を整理しました。
高価格帯商品や加工品バリエーションの拡充、少量多品種への対応、蔵出し醤油や添加物削減といった商品の方向性。FAX中心の業務フローのデジタル化や配達の省力化といった業務改善。そして、ブランド発信の強化。様々な課題がありましたが、どれも、100年続いてきた蔵が、次の100年へ向かうために必要なことでした。
社外の視点では、取引先・業務改善・マーケティングの3カテゴリで課題を整理しました。ビジョンやミッションを社内外に明確に伝えること、SNSやブログを通じたブランドストーリーの発信、蔵見学の実施、宣伝・営業活動の強化。
これまで「良い醤油をつくれば伝わる」という姿勢で歩んできたからこそ、外への発信は後回しになりがちでした。能登への注目が高まっている今だからこそ、カネヨ醤油の価値を、発信していく必要があると、木村さんも強く感じてくださっていました。
こうして内と外の両面から「やるべきこと」を可視化したことで、カネヨ醤油が進むべき方向が明確になっていきました。
そして、様々な課題があがった中でも、まず今回のプロジェクトでは下記の2つを優先的に取り組むことにしました。(それ以外の課題についても、継続的に支援をおこなっていく予定です)
まずは、カネヨ醤油の価値を明確にするために、ワンパクの普段使っているブランドフレームに整理していきました。木村さんの話しに加えて、社長の上江さんから先代の話などを聞いてもらい、様々なキーワードを出し、それを最適な言葉に落とし込んでいきました。
歴史を紐解く中で浮かび上がってきたのが、能登半島の漁師たちと一緒につくってきた、刺身に合う甘くてまろやかな醤油という事実でした。それは単なる商品の特徴ではなく、能登の食文化そのものです。これがコアバリューの核心となり、カネヨ醤油ならではの強みが見えてきました。
100年の歴史が築いてきた醤油の蔵を少しづつ、丁寧に紐解き、ようやく「これだ」と思える言葉が揃いました。そして、カネヨ醤油のフィロソフィー、ビジョン、コアバリュー、ミッションが完成しました。
PHILOSOPHY [理念]:食を活かし、食卓を豊かにする醤油づくり
VISION [目指す姿]:醤油づくりを通じて、能登に根付く文化を多くの人々に届ける
CORE VALUE [価値観]:能登半島の漁師とつくった 地域の文化として根付く「刺身に合う甘い醤油」
MISSION [使命]:
能登のために何かしたい。でも、自分たちに何ができるのか。2025年3月に能登を訪問した際に、阿部から木村さんにお声がけしたことがきっかけとなり、歴史ある醤油の蔵のリブランディングに繋がるとは、そのときは想像していませんでした。
100年続く醤油づくりの節目に携わるプロジェクトは、東京にいるだけではなかなか出会えないプロジェクトだと思います。現地を訪れ、現地の人の言葉を直接聞き、声をかける。その大切さを、このプロジェクトで改めて実感しました。そして、デザインやブランディングという自分たちの得意なことが、少しでも誰かの力になれると分かりました。
また、言葉の力も、とても大切だと実感しました。フィロソフィー、ビジョン、コアバリュー、ミッションで決めた言葉があることで、カネヨ醤油さんがこれから迷ったときや何かを決断するとき、立ち返る指針ができました。
今回のプロジェクトをきっかけとして、カネヨ醤油さんが更なる成長をしていくことが、能登が少しでも元気になること・前進することに繋がると信じています。ワンパクは、これからも伴走者として一緒に歩んでいきます。
次の記事では、アイデンティティの定義(ロゴ、ブランドガイドライン)、そしてECサイトへと展開したストーリーをご紹介します。ぜひ、次の記事もお読みいただければ幸いです。
※ vol.2 は、7/1(水)公開予定です。