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第1回では、レガシー産業の現場と技術の間に立つという竹中の問題意識を紹介しました。第2回では、Daisybellの音声AIが目指す顧客体験と、生成AIによってDXの考え方がどう変わり得るのかを掘り下げます。(聞き手:Daisybell Japan 広報担当)
1. 音声品質は、利用場面に適合して初めて価値になる
── 初めてDaisybellのデモを聞いたとき、どこに可能性を感じましたか。
竹中:最初に聞いたのは美容室の予約対応でした。言葉遣いやイントネーションが自然なだけでなく、落ち着きや親しみやすさを含め、美容室の電話応対として違和感が少ないと感じました。保険、航空、ホテル、美容室では、同じ問い合わせ対応でも求められる声のトーンや間合いが異なります。音声AIが企業のブランドや利用場面に合わせられることは、顧客接点として重要な要素です。
── 人と区別できるかどうかが重要なのでしょうか。
竹中:人に聞こえること自体を目的にはしていません。AIであることを適切にお伝えしたうえで、お客様が用件を自然に話せて、必要な回答や手続きにたどり着けることの方が重要です。音声の自然さは、そのための心理的・操作的な負担を下げる要素だと考えています。
2. 人がシステムに合わせてきたDX
── これまでのDXと、生成AIを活用したDXは何が違うのでしょうか。
竹中:これまでのシステムにはあらかじめ決められた画面や入力項目、業務フローがあり、利用者や現場がその形に合わせる必要がありました。標準化や効率化には大きく貢献しましたが、業務を変える負担や、使いこなせる人とそうでない人の差も生まれます。
── 生成AIは、そこを変えられると。
竹中:生成AIは、人が普段使っている言葉を入り口にできます。検索窓にキーワードを入れるための工夫や、決められたメニューを順番に選ぶ必要がなく、相談するように意図を伝えられる。すべての業務を従来のまま残せばよいということではありませんが、テクノロジー側が人や現場に歩み寄れる範囲が大きく広がりました。これはDXの進め方を変える可能性があると思っています。
3. 問い合わせ方法を、企業の都合だけで狭めない
── 顧客対応では、電話窓口を縮小する企業も増えました。
竹中:人手不足やコストを考えると、企業側には合理的な判断です。一方で、電話番号が見つからない、チャットボットでは意図が伝わらない、フォームに入力してもすぐには解決しない、といった経験をされた方も多いと思います。効率化の過程で、お客様が本来選びたかった問い合わせ方法まで狭めてしまった面はあります。
── 電話という手段を残す意味は、どこにありますか。
竹中:まずは文章を書くことに比べて、電話の方がハードルが非常に低いですし、相談もしやすいですよね。だからこそ、状況が複雑なとき、あるいはどうしたら良いか判断に悩む際には、文章よりも電話で話したいと思う方が多いと思います。電話を選ぶ方に別の手段を強いるのではなく、フォームを使っていた方にはフォームやチャットを、電話を使っていた方には電話を、より便利な形で提供する。利用者が自然に選ぶ接点を尊重することが、顧客体験の基本だと思います。
4.効率化と顧客体験は、両立できる
── 従来のIVRとの違いを、どのように説明していますか。
竹中:『予約は1番、変更は2番』というIVRは、企業側の振り分けを効率化する仕組みです。しかし、お客様は自分の用件がどの選択肢に当たるかを考え、階層をたどる必要があります。会話型のAIであれば、最初から用件を自分の言葉で話し、その文脈に沿って確認や案内を進められます。
── 導入効果は、コスト削減だけではないのでしょうか。
竹中:もちろん、費用対効果は重要です。ただ、私たちが目指しているのは、人件費を置き換えることだけではありません。24時間365日対応できる、待ち時間を減らせる、一度の問い合わせで解決できる範囲を広げられる。定型的な応対をAIが担うことで、人は判断や配慮が必要な案件により多くの時間を使える。企業側の効率と、お客様側の体験を同時に改善できることが本質的な価値です。
5. 電話応対ではなく、電話から始まる業務を扱う
── Daisybellは、会話だけを自動化するサービスではないのですね。
竹中:はい。予約の電話であれば、会話をしながら予約システムの空き状況を確認し、その場で予約を確定する。必要に応じてSMSを送り、顧客情報を記録し、複雑な案件は担当者へ引き継ぐ。電話を切った後の作業まで含めて設計しなければ、現場の負担は十分には減りません。
── 幅広い業界で活用できる理由は。
竹中:業界ごとに業務は異なりますが、問い合わせ、予約、確認、督促、社内ヘルプデスクなど、電話を起点とする業務は多くの企業に共通しています。だからこそ、汎用的な製品をそのまま当てはめるのではなく、業務を理解して個別に設計することが必要です。AIコンタクトセンターは、電話をなくすためではなく、電話という身近な接点を、企業とお客様の双方にとってより良いものにするための技術だと考えています。
(次回へ続く)
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