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自然な対話ができることは、AIコンタクトセンターの出発点にすぎません。第3回では、業務理解、導入設計、品質管理、継続改善を通じて、技術を現場の成果につなげるための考え方を聞きます。(聞き手:Daisybell Japan 広報担当)
1. デモの評価と、業務で使えることは別である
── 音声AIは、デモを聞くと品質を理解しやすい製品です。
竹中:新しい技術を企業に導入していただくうえで、短時間で利用イメージを持てることは重要です。Daisybellも、デモを聞いた段階で具体的な検討に進んでいただくことが少なくありません。ただし、自然に会話できることと、実際の業務を安定して任せられることは別の問題です。
── その間には、何が必要ですか。
竹中:問い合わせの種類、現在の応対方法、例外処理、既存システム、有人対応へ切り替える条件などを整理する必要があります。資料を受け取って設定するだけでは、現場で本当に必要な判断までは分かりません。お客様と一緒に業務を分解し、AIに任せる範囲と人が担う範囲を設計することが最初の仕事です。
2. 初期版を早くつくり、実際の会話から精度を上げる
── 導入はどのように進めるのでしょうか。
竹中:まず業務をヒアリングし、必要な資料や応対ルールを一緒に整理します。情報が整った段階で、早期に初期版をつくり、お客様と私たちの双方で繰り返しテストします。最初から長期間かけて完成形を想定するのではなく、実際の会話を通じて課題を確認し、改善を重ねて商用利用に近づけていく進め方です。
── なぜ、実際に使いながら改善するのでしょうか。
竹中:電話の会話には、資料だけでは拾えない表現や例外が多くあります。同じ質問でも話し方は人によって異なりますし、途中で用件が変わることもあります。実際の利用場面に近いテストを重ね、応対の正確性だけでなく、会話の流れや引き継ぎまで確認することが、安定したサービスにつながります。
3. 完全自動化を目的にしない
── すべての電話をAIに任せることが理想でしょうか。
竹中:必ずしもそうではありません。定型的な問い合わせや確認業務はAIと相性がよい一方、感情への配慮、複雑な判断、個別の権限が必要な案件は、人が対応した方がよい場合があります。自動化率を上げること自体を目的にすると、顧客体験を損なう可能性があります。
── AIと人を、どのように分けるのでしょうか。
竹中:会話の内容や緊急性、お客様の状態を踏まえて、必要な場合は適切な担当者へ引き継ぎます。AIが日常的な応対を担うことで、人は本当に判断や配慮が必要な案件に集中できる。この役割分担が成立したとき、業務効率だけでなく、組織全体の問題解決力も上がると考えています。
4. 導入後の対話が、品質をつくる
── 商用利用が始まれば、導入プロジェクトは完了ですか。
竹中:むしろ、そこからが本番です。問い合わせ内容は季節や商品、社内制度によって変化します。現場で気づいた点を定期的に伺い、会話や業務フローに反映する必要があります。AIの会社ですが、導入後は担当者同士がきちんと対話を続けることを重視しています。
── 継続支援で大切にしていることは。
竹中:数値だけで判断しないことです。応答率、解決率、対応時間などは重要ですが、『この言い方は自社らしくない』『このケースでは先に確認してほしい』といった現場の感覚にも価値があります。細かな違和感を拾い、修正し、再度確認する。その積み重ねによって、AIがその会社の業務に合ったものになっていきます。
── 安定した提供体制については、どのように考えていますか。
竹中:顧客対応を担う以上、会話品質だけでなく、安定稼働、監視、セキュリティ、障害時の対応まで含めてサービス品質です。目立つ機能だけを追うのではなく、日々安心して使っていただくための運用基盤を継続的に整えることも、私たちの責任だと考えています。
5. 顧客対応を、削減対象から価値を生む接点へ
── 導入企業では、どのような変化が見られますか。
竹中:コストや人手不足をきっかけに検討が始まることは多いですが、導入後には、営業時間外にも対応できるようになった、待ち時間が減った、従来のIVRよりも用件を解決しやすくなった、といった顧客体験の変化を評価いただくことがあります。電話を減らすのではなく、これまで十分に応えられなかった問い合わせにも対応できるようになる点に、AI活用の意味があると思います。
── AIによる応対への抵抗感はありますか。
竹中:導入前には心配されることが多い論点です。そのため、AIであることの伝え方や、対応範囲、有人への引き継ぎ条件を丁寧に設計します。実際には、AIであることそのものよりも、話を聞いてもらえるか、問題が解決するか、必要なときに人へつながるかが評価を左右します。技術の存在を意識させないことより、安心して用件を任せられる体験をつくることが大切です。
── 2~3年後、AIコンタクトセンターはどのような存在になっているでしょうか。
竹中:多くの企業にとって、特別な実証実験ではなく、顧客対応を設計する際の標準的な選択肢になっていると思います。電話、チャット、フォーム、有人対応を分けて考えるのではなく、お客様の意図を起点に最適な方法で解決する。その中で音声AIが自然に役割を担うようになるはずです。Daisybellを、その変化を代表する企業の一つにしていきたいと考えています。
── 最後に、導入を検討している企業へ伝えたいことは。
竹中:まず技術を見ていただくことは大切ですが、それと同じくらい、何を変えたいのかを一緒に話す時間を持ちたいと思っています。現在の業務や顧客対応には、残すべきものと変えられるものの両方があります。現場の声を聞きながら、その会社に合ったAIと人の役割分担をつくり、導入後も改善を続ける。そこまで責任を持つことが、Daisybellの提供価値だと考えています。
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