2025年7月、宿場JAPANは新たなMVV(企業のミッション、ビジョン、バリュー)を発表しました。
前回の記事では、新たなMVVを発表!
そして「なぜ今、新MVVを掲げるのか?」、その背景や込めた想いなどを宿場JAPAN代表の渡邊崇志さん(タカさん)・同社人事担当の二宮さん(ニノさん)、クリエイティブディレクターとして参画している水谷さん(ミズタニさん)で振り返りました。
後編では、新しく掲げたMVVはいったいどのように事業運営や、社員や外部メンバーに影響していくのか? 社員から社長・渡邊崇志に対して投げかけられた率直な質問に応える形でお届けします!
※この記事はリアルの場で行われた社内向けの新MVV研修の内容を再編集したものになります。社内向けにまとめたものではありますが、多くの人にも読んでほしいものになったので、社外の方々に向けて発信します。
新しいミッション、ビジョンは、事業運営や社員の行動にどう影響するの?
ミズタニさん:
さて、今回の新MVV研修の開催に先駆けて、開催告知とともに質問も受け付けていたのですが、その一つからまずは。
・ミッション、ビジョンは、これからの事業運営や社員の行動にどう影響してほしいと思っていますか?
・今後、このミッションをどう社内に浸透させたいと考えていますか?
このあたり、どうでしょうタカさん?
タカさん:
そうですね、会社のミッション、ビジョンももちろん大事なんですが、そこに自分の目標を付加して、誠実にチャレンジしたり、適正な負荷で仕事をしっかり誠実にやったりしていったら、自分の人生が120%豊かになるっていうことを、まずは約束したいですね。
このミッション、ビジョンは、今後のことを見据えてのものですが、これまでの歴史や経験が詰まったものでもあります。自分自身、もともとは飽きっぽい性格だったけど、15年経ってもまだまだやりたいなって思うし、毎日楽しかったなって思える1日の最後を迎えられるような仕組みになっているはずです。
社員の行動に対しての影響みたいなものは、この言葉を握って、それを実践していく、というよりも、実践しながら悩んだら、言葉に戻るっていうぐらいの置きかたでしょうか。確認していくっていうようなものにしたらいいんじゃないかな。
僕も、どっちかというと、身体が先に動いちゃうタイプで、それを事業に落としていったら、「あれ?」って思うことが多いので、僕自身、助かるかなって思います。仕事って選択の連続だから、こういうものがあったら、そこに立ち戻ることができるという意味です。
ミズタニさん:
クリエイティブな仕事にも通じるものがあります。やっていると、見失いがちですよね、そもそもの目的とか。一生懸命つくっても、結果、まったく意図しないものができあがってしまったりしたこと、昔はありました。
タカさん:
僕個人としては、この会をやった目的は、スピード感を上げることなんです。今までは全部僕に聞いて、僕が判断してきたけど、これからはそうとかじゃなくて、1人1人が判断したり、チームのプロジェクトメンバーと相談して決められたり、時には自分で裁量を持って決められたり、っていうことを増やしていきたいと思っているんです。それが結果的に各プロジェクトのスピードを上げるということにつながるのだと思っています。
僕らの仕事って、人の人生を幸せにするものだと思っています。うんと幸せにしたり、一方では、どん底みたいな人を救ってあげるような意味合いもあったりもするでしょう。スピードを増すことで、多くの人を助けられるし、多くの人を幸せにできるから、これ(宿場JAPANのミッションを達成すること)は、できるだけ急いでやったほうがいいなとも思っています。
ニノさん:
事前の質問では、「ミッションやビジョンを自分ごとにするのが難しいです」というものもありました。
タカさん:
まず、僕も自分ごとにするのは難しいと思ってるんですよ。それぞれの人生を歩んでいるし、それぞれのバックグラウンドがあるから、「これです!」と決まったことに対して、そう簡単には自分ごとにはできないのは当然。
ただ、前提として、この組織が目的に対して、道具というかプロセスとして宿泊業だったり、旅行業だったりを使っているということを、まずは認識してほしいと思っています。
なので、まあ、完全にわからなくても、自分ごとに(今はまだ)できなくてもいいから、こういう世界観を持っている集団なんだというのは理解していただく、というくらいでいいと思っています。
ミズタニさん:
とはいえ、新MVVは、おそらく今の宿場JAPANのメンバーの方々にとっては、親和性はすごく高いものなんじゃないかなとも思っています。タカさんの想いに共感して加わり、日々、そういう価値観に接しているのですから。
各個人の夢だったり、キャリアプランとか、いろいろなものがあると思うんですけど、そういったものが、このMVVと、どこかがリンクしていったりとか、掛け合わさったりしていくことを、会社は許容していて、むしろ、そこにこそ可能性があると思うんです。
で、このあとに続く、個人のミッション研修、チームのミッション会議というところで、それぞれの人生や、キャリアの方向性で紐解いていってほしいと思っていて、おそらくそのタイミングで、どう自分ごとにしていくかっていうところが見えてきたら、うれしく思います。
今後の宿場JAPANの事業展開も、さまざまな広がりになるんだと思いますし、そのときに、「いまのこの仕事って、なんでやっているんだっけ?」とか感じたときに、いやいや、これは会社のミッションやビジョンとこう関連するから、今は一見関係ないようにも思えるけども未来でつながるんだっていうふうな理解につながってもいいなとも思います。
最後に代表・タカさんからあらためて伝えたいこと
ニノさん:
時間も迫ってきましたので、最後、タカさんから改めて伝えたいことをお聞きしてもいいですか?
タカさん:
なるほど、わかりました。今日の話の補足というか、僕が大事にしていることがいくつかあって、それを共有させてください。
◎タカさんが大事にしていること
・行動
・出会い
・チャレンジ
・打率よりも「打席の数」を重視する
この15年で、会社がだんだんと大きくなってきたんですけど、本当にいろいろなことがあって。新しく変わろうとしている今でも、そういう日々、歴史というものは忘れちゃいけないし、これからも、大事にしたいなと強く思っています。
で、これまで15年間365日、ずっと宿を運営してきて、部屋を全開放したにも関わらず1人も泊まらなかった日が、実は2日だけあったんです。
それは東日本大震災のときと、コロナ2年目ぐらいの8月のお盆明けの1日。
この日のことは絶対に忘れない、って思っているし、自分のカレンダーにも書いてある。スタッフ全員でおもてなししようとしても、1人も来ないときもあるわけで、そのときにゲストハウスの全フロアの電気を泣く泣く消したときの気持ち。当たり前なことが当たり前じゃないことに、もう一回気づかされました。
以下は、そんな自分のヒストリーを思い返して、僕が「大事にしていること」について言語化していったものになります。
大事にしていること①行動
1つ目は「行動」です。
僕が20代のころは、情報は書物くらいしかなかった。雑誌、書籍。気になった人には直接会いにいって、名刺を交換して、また次の人を紹介してもらうとか、そういう時代でした。それが今は情報が溢れているから、行動することに、あらためて価値が出てきていると感じます。
まずは動いて、その日、そのときに自分が感じたことで、答え合わせをしていくこと。
大事にしていること②出会い
次いで「出会い」。
僕は圧倒的に多くの人と出会って、その人が自分の価値観を変え、自分を救ってくれて、今の自分があると思っています。中には当時の、住所不定、無職の28歳の僕に、ご飯をご馳走してくれたり、ありがたい話をしてくれたり、適切な学びについての本を紹介してくれたりする人もいた。
これはSNSでポチって友達申請するのとは、またちょっとわけの違うジャンルなんですけど、そういう中に宝物がいっぱいあったんです。
でも、SNSを含めて、一期一会の醍醐味を積み重ねて、今の宿ができていると思っています。そして、今は宿というコンテンツの中に、一期一会の仕組みができあがって、勝手にお客さんが、全然違うジャンルの人たちが来てくれています。
で、もしかしたら、その人が自分の運命の人かもしれないしっていうことが起こる場所にいるんだということを理解してほしいと思います。
大事にしていること③チャレンジ
3つ目は「チャレンジ」。
この写真は、今は須坂で「ゲストハウス蔵」をしている山上万里奈さんの開業前夜のもので、みんなで屋根裏を掃除しています。こっちは神戸のパクさんの「ゲストハウス萬家(MAYA)」の開業前夜。とりあえずみんな集めてDIYです。これって、成功するかどうかわかんないんだけど、なんか面白そうだからやっている状態。
長野県須坂市で「ゲストハウス蔵」を営む山上万里奈さんは、宿場JAPAN卒業生
兵庫県神戸市灘区にて「ゲストハウス萬家(MAYA)」を営む朴徹雄(パクチョルン)さん。山上万里奈さんと同じく、宿場JAPAN卒業生
この集まっている状態はあまりコスパはよくない。でも、コスパがよくないことに、結構おもしろいことがたくさん埋もれているから、宿場JAPANではすごくコスパが悪いプロジェクトもいっぱいやっている。同時にそこには、社会的にやる意義が高いものが多かったりすると思っています。
コスパ悪いかもしれないけど、やる意義があるからやる。〝そういう会社〟であることは、すべてこれまでの成り立ち、カルチャーがあるからこそのスピリッツだと思っています。
もともとは、僕の妄想で、「ゲストハウスを日本につくったら、すごいことが起こるんじゃないか?」って勝手に興奮して、はじまったプロジェクト。今から20年くらい前に。「いや、やれないには理由がある」とか、当時は多くの大人たちが言ってきたんだけど、「一回やってみていいですか?」って、始めたことです。
でも、やってみたら、賛同してくれる人が少しずつ現れてきて。で、今がある。僕は動き続けたら、絶対カタチになっていくと信じています。だから、悩んだら、難しいほうを選択する。選択し続けている。そのカルチャーが宿場です。
そんなマインドだと、「あの人なら相談したらやってくれるかもしれない」みたいになって、ジャンルの違うさまざまな事業の依頼が舞い込んでもくる。できないようなことも、ハッタリで「やります!」って答えたりもする(笑)。でも、それも自分たちを成長させてくれるきっかけであって、とにかくチャレンジしないと、なにも始まらないし、当然、失敗も多いんだけど、そこに学びがあって、そういうカルチャーも会社にはあるということを伝えたいです。
大事にしていること④打率よりも〝打席の数〟を重視する
最後は、「打率よりも〝打席の数〟を重視する」
チャレンジすることにも関係していますが、発明家が画期的な発明をしたり、新しいイノベーションが起きたりするその裏では、たくさんの失敗があるということ。球は打たなきゃ当たらないですから。
マネージャーのキミーさんは、昔バッティングセンターで4年間アルバイトをしていたことがあって、毎日バイト終わりに200球バッティングの練習をしたら〝バッティングセンターの鬼〟になったんです。一回、一緒に行ったら、全球打ち返しましたからね、キミーさん。
これは物理的な打率の話だけど、やっぱり人っていうのは経験値が伴う部分を持っている。うちの会社も、小さな失敗とか経験をいっぱいさせる環境を用意したいなと思っています。
失敗の経験は続くかもしれないけど、残るのは人生の成功経験。失敗の経験を大人たちが面白がるし、成功した経験は履歴書に書けるし、人生を豊かにするための種になるのではないかって思っています。