「人間の心理や行動特性を探求することで、真に役に立つ製品、サービス、またそれらを支える仕組みを創出し、豊かな社会の実現に貢献する」を理念に掲げるビービット。
UXグロースコンサルタントは、デジタルを起点とした顧客接点の継続改善によるビジネス成長をサポートします。一過性の改善提案にとどまらず、クライアント企業が自ら絶え間なくUXを改善し、サービスを持続的に成長できるよう、業務プロセスを整え、必要なスキルやマインドを定着させることがミッションです。
今回は、UXグロース部にてシニアマネージャとして活躍する田中 伸雄さんをご紹介します。実際の業務内容やそのやりがいについて聞きました。
田中 伸雄(たなか のぶお)/ UXグロース部 / シニアマネージャ
大学卒業後、アパレル企業向けのサイト制作、運用、ブランドコンサルティング業務を経て、企業変革を研究するアパレル経営者向けのラボ組織の立ち上げを行う。
ビービット入社後は、住宅設備/エンターテインメント/保険/リユース/精密機器など多くの業界のプロジェクトに従事。UX改善支援だけではなく、UX文化形成のための活動を企業に伴走しながら取り組んでいる。
── まず、現在はどのような仕事を担当していますか?
UXグロース部でシニアマネージャをしています。
基本はプロジェクトの品質管理ですが、プロジェクトでの取り組み自体が成果を出しているかに加え、それが中長期で広がっていくかをマネージャやコンサルタントとともに設計していく仕事です。
また、プロジェクト推進を通じて人材育成も行っており、次のマネージャを育てています。
── これまでのお仕事の経験を教えてください。
ちょっと遡るんですが、高校生の頃はアパレル業界を志望していて、そのまま服飾の専門学校に行こうと思っていました。しかし、親からの「とにかく大学には行った方がいい」という助言もあり、大学に行くことに。自分にとってはやりたいことが明確な分、当時は遠回りに感じましたが、そこからは「どうせアパレルをいつかやるのであれば、寄り道をしながら関係ないことをして、いざアパレルの仕事に就いた時に広い視野を持つための機会にしよう」と考え方を変えました。その考えは大学時代にさらに発展していき、新卒就職の機会を蹴って卒業と同時にバックパッカーになって、2年弱海外を渡り歩きました。
帰国して2年間、実際にアパレル業界で働きました。原宿・下北沢にある、大手ではないですがセレクトショップと言われるような業態のお店でした。働いていて、お客様の来店をただ待つ時間がひたすらつらかったのを覚えています。待っている間もそれはそれでやることはあるんですが、雨が降れば客足は落ち、売上は街のイベントにも左右される。そういった受け身の日々に、なんでこんなことをしているんだろう、もっとネットなど他の手段も活用して積極的にお客さんを呼んでみたい、と思うようになりました。
そこで「アパレル Web」で検索して出てきたのが、前職のアパレル専業のWebコンサルティング会社でした。
前職では合計14年働きました。入社したのが2008年で、当時はインターネットでいうとSEO*1が流行りだしたくらいの時期。アパレルで言うと、大手ファッション通販サイトのZOZOTOWNはありましたが、まだ今ほどは売れていなかった時代です。既存のアパレル企業も、大手が2005年くらいからEC*2を始めてはいましたが、買う側もまだ慣れていない時代でしたし、ほとんどのブランドがまだECサイトを持ってはいませんでした。ホームページと言えば、ブランドのシーズンイメージのフラッシュが流れて消えるまで待つようなサイトが多かったですね。春夏や秋冬といったシーズンのルックブックがPDFで置かれて、ニュースは3か月前で更新が止まっているような。
前職ではファッションECの黎明期に立ち会ったので、小規模企業から超大手企業まで幅広く支援しました。例えば今では各ブランドのサイトに行くと商品を着たスタッフさんのコーディネート写真が見られますよね。そういうスタッフコーデを登録、閲覧できるようなブログシステムを提案していました。写真の撮り方から文章の書き方、デジカメからどうやって写真をPCに移すかといったことまで指南しました。現在では当たり前になって、どこのブランドでも見られるようになりましたね。当時はまだOMO*3やUXなんて言葉もなく、企業のECの立場はビジネス的には非常に低く、社内でいかに実績を作って行くかが勝負でしたし、EC事業部を作ること自体の支援もしていました。
また、前職での最後の5年はアパレル企業の経営層向けの会員組織、サロンのようなものを立ち上げ、運営していました。週1ペースのオンラインセミナー、月刊の会員誌発行、ニューヨークやシンガポールなどの現地視察ツアーなどをやったりして、5年かけて事業の黒字化も達成することができました。そこで一旦区切りはついたかなと思いました。
ECの現場では、デジタルマーケティングとして数値を見ていくことが多くなってきましたが、本質的にファンを作っていく活動とのギャップは感じるようになっていました。そこでもう少し本質的なユーザとのつながりを作ることに携わりたいと思うようになって転職活動を始めました。
── ビービットに入社した理由を教えていただけますか?
ビズリーチ経由でスカウトをもらったことがきっかけです。正直それまではビービットのことを知らなかったんですが、誠実というか、真面目に相手のことを考えていて、稼ぐことを最優先には持ってこない感じ。そういうところが自分の性に合っているかもと思いました。
入社前にビービットの社員インタビューを見て、正直自分は学歴だけを見たら場違いなのではないかと思っていたんですが、いざ面接で出てきた方がかなりパッションで会話をしてくれて、「意外だな」といういい意味でのギャップがさっき言ったような印象になっていったんだと思います。業界や環境は違えど、そこでやってきたことを分け隔てなく評価してくれたこともシンプルに嬉しかった。
── 入社してみて、ギャップはありましたか?
やっていることは根本的にそんなに変わらないと思っています。前職も今も、結局はクライアントの真の課題にどれだけリーチできるかだと思います。
前職はECコンサルなので、CVR*4や売上をどう改善するか検討することが多かったのですが、自分は「根本的にはブランドが持つイメージとか、お客様からどう思われているのかを理解しないと売上の改善も限界がありますよね」というような話をよくしていました。前職では余談が多い人、よく脱線する人、みたいに言われてましたが。(笑)
もちろん単なる余談や脱線と捉えるのではなく、共感してくれるクライアントも多く、EC自体とは違った活動として取り込んでくれることもありました。ビービットでの仕事でも、そういう「ユーザに対してこうあるべきだよね」を考えることが、本質となって活きています。
── 入社して感じているやりがいや、印象に残っているプロジェクトについて教えてください。
UXのパワーを感じた案件というと、やはりLIXIL様とのお取り組みだと思います。
詳細はぜひ事例を読んでいただければと思いますが、LIXIL様とはデジタル接点の在り方について長く議論し、小さいところから改善・実行に移してきました。その中で積み上げた成果や考え方がLIXIL様の内部でどんどん広がり、UXグロース人材の育成につながって要所要所のプロジェクトで成果を上げるまでになっています。また、プロジェクトを始めて3年経った今、さらに大きな改善に取り組んでいこうという動きも出てきており、UXを通じて企業変革を実践できている実感があります。
LIXIL様では、私が取り組みを開始した当初はUXの部署が無く、担当者様がUXとは別のメイン業務と兼務する形でプロジェクト責任者となり、他部署から何人かを集めた連合チームで活動していました。伴走支援をしている中で、どうやったら社内に活動の成果や価値を知ってもらえるか一緒に考え、訴えていくことで、そのプロジェクトチームがUXを横断的に司る部署として組織化されたことは、やっていてよかったと感じた瞬間でした。これは大袈裟かもしれないですが、私としては前職でまだ売れるかわからない時代にECサイトやEC部隊を一緒に作ったこれまでの経験に似ていて、今度はUX、ユーザを理解する人と組織、文化を作っていく仕事をしているんだと感じる印象的な出来事でした。
── 今後の展望は?
個人的な話で言うと、まずは現在5歳と4歳の自分の子供たちをしっかり育てて小学校に入れたいですね。
── 田中さんというと、育児と家事にコミットしていると社内でも評判ですが、育児と仕事の両立についてはどのように考えていますか?
育児、家事についてはかなりやっているほうかなと思います。仕事との両立は大変ですが、社員や家族のみんなに協力してもらっています。
たとえば仕事は日中にぎゅっと固めて、遅い時間にはできるだけ何も見ないようにしています。メンバーからすると、「確認してほしい…!」と期待して色々送りたいところだとは思うのですが、それが当たり前になると、お互いずるずる仕事をしてしまう。限られた時間の中でどうやっていくかを真剣に考えることが、双方の成長にもつながりますし、もちろんそれもこれも、みんなの理解があって成り立つことだと思ってます。
── 仕事の展望はいかがでしょうか?
前職もなんだかんだマネジメント期間が長くて、もう10年くらいマネジメントをやっています。感覚が既にそうなっているのかもしれないですが、どちらかというと「人を成長させる」というところに意識を強く持ってます。ただ、成長させるとか、教えるとか、そういうことがすごく得意という自覚があるわけではないので、「機会を作ること」が自分の役目だと思ってます。クライアント企業でのUXの文化作りや組織変革が進むにつれて、ビービットのコンサルタントには成果や価値を出すことが多く求められます。そういった機会をフルに活用して、みんなが成功も失敗もたくさんできる環境を作りたいです。
デジタルは流れが速いので、若者が一番強いなと。うちの子供はタブレットネイティブですし、そういう若者が今感じることはやっぱりどこか完全には理解できないんですよね。もちろんユーザの中には私の同世代もいるので、すべてがわからないわけではないけれど、今の若いユーザがどう思っているか、それはできるだけ近い世代にメインで考えてもらいたい。つまり、一つひとつのUXを改善していくにはメンバー全員が「当事者」として考えていく必要がある。でも若い世代はまだ経験も少ないので、そういう機会を得た時に戦えるスキルやメンタルを整えられるよう、しっかり支援していきたいです。
注釈
*1SEO…SEO(Search Engine Optimization / 検索エンジン最適化)とはGoogleなどの検索結果で、自分のウェブサイトを上位に表示させるための手法を指します
*2EC…Electronic Commerceの略。インターネット上でモノやサービスを売買すること
*3OMO…Online Merges with Offlineの略。ネット(オンライン)とお店(オフライン)の垣根をなくし、一体となった便利な体験を提供すること
*4CVR…Conversion Rateの略。ウェブサイトを訪れた人のうち、実際に商品を購入したり、会員登録をしてくれたりした人の割合