エンジニアからＰＭへ──“人と技術をつなぐキャリア”のリアル

クライマー株式会社の開発現場には、「つなぐこと」に情熱を注ぐプロジェクトマネージャーがいます。

エンジニアとしての現場経験を土台に、クライアントと開発チームの間に立ち、プロジェクト全体を前に進めていく――それがプロジェクトマネージャーの役割です。「PMって、実際どんな仕事をしているのかイメージが持ちにくい」という声は少なくありません。

そこで今回は、エンジニアからPMへキャリアチェンジした伊藤さんに、具体的な業務内容から、クライマーという会社の雰囲気、PMに向いている人・向いていない人まで、本音で語ってもらいました。

プロジェクトマネージャーとしての現在の役割

── まず、簡単に自己紹介と、現在どんな業務を担当されているのか教えてください。

伊藤と申します。クライマーではプロジェクトマネージャーとして、社内のプロジェクト全体の管理を担当しています。

仕事の中身としては、プロジェクト全体をリードしながら、クライアントと社内チームの「橋渡し役」を担っています。具体的には、要件定義や進行管理といったPMらしい業務に加えて、技術的な判断や設計の方向付けなど、裁量の大きいタスクにも関わっています。

「クライアントの課題をどう解決するか」を考えるところから、それを仕組みとしてシステムに落とし込み、形にするところまで、丸ごと責任を持つ――そんな仕事ですね。

エンジニア経験は、PMにどう活きている？

── 以前はエンジニアとして開発をされていたと伺いました。その経験はPMになってから活きていますか？

めちゃくちゃ活きていますね。

まず、技術のバックグラウンドがあることで、メンバーがどこで詰まっているのかに早く気づけます。「この仕様ならここでハマりそうだな」とか、「このスケジュールだと無理が出るな」といった感覚値は、実際に手を動かしてきたからこそ持てている部分だと思います。

また、スケジュールや見積もりを引くときにも、現実的なラインを引きやすいです。無茶なスケジュールを組んで現場にしわ寄せが行く、ということは避けたいので。

仕様面でも、技術的に無理のある要望や、運用を考えると成り立たないようなリクエストに対して、早期に「ここは難しいです」「こういう形なら実現できます」と提案ができます。

あとは、クライアントとの会話の中で、エンジニアの言葉を自分の中で一度噛み砕いてから、クライアントに伝わる言葉に翻訳して話す、という役割も担っています。その意味でも、「技術が分かるPM」はクライマーではかなり強みになっていると感じています。

PMになって大変だったこと

── 逆に、エンジニアからPMになって「ここは大変だな」と感じた部分はどこですか？

技術だけを見ていればよかったエンジニア時代と違って、PMは「技術以外」の視野をぐっと広げる必要があるところですね。

例えば、クライアントのビジネスモデルの理解や、そのシステムが実際に運用される現場で何が起きるのか、といったところまで想像しなければいけません。単に「作って終わり」ではなく、その後の運用までを見据えた設計が求められます。

もう一つ難しいのは、エンジニア上がりだからこそのギャップです。自分だったらこのくらいのタスクはこれくらいでできる、と思ってしまうところがあるんですよね。でも、他のメンバーにとっては難易度が違ったり、その逆もあったりする。

そのあたりの「自分の感覚」と「チーム全体の実情」をすり合わせていくのは、今も試行錯誤している部分です。

入社前と入社後のギャップ

── クライマーに入社する前と後で、ギャップはありましたか？

正直に言うと、あまりギャップはなかったです。いい意味で「聞いていた通り」でした。

というのも、クライマーとはもともと付き合いが長く、一緒に仕事をしていたメンバーもたくさんいたので、「どういう会社で、どういう人たちが働いているか」は事前によく聞いていたんです。

その中でも一番印象的だったのが、「社員同士の仲がいい」という話でした。仕事を辞める理由の多くは人間関係だと言われますが、クライマーでは人間関係のストレスがほとんどない、むしろ全然ない、という噂をよく聞いていて。

正直「そんな会社あるのかな？」と思っていたんですが、入ってみたら本当にその通りで（笑）。ギャップというより、「やっぱり噂は本当だったんだな」という驚きが大きかったですね。

「アットホーム」が本当にアットホームな会社

── 社員や会社からのサポートで、印象に残っていることはありますか？

よくブラック企業が「アットホームな職場です」と言う、なんて話がありますけど（笑）、クライマーは本当にいい意味でアットホームですね。

エンジニアって、自分のタスクに責任を感じるあまり、分からないことがあっても「これは自分で解決しなきゃ」と抱え込んでしまいがちなんです。でもクライマーでは、そうやって一人で抱え込もうとしても、周りからちゃんと「大丈夫？」って声がかかる。

本人が閉じこもろうとしても、周囲が放っておかない土台がある、という感じですね。みんなそれぞれ忙しいはずなのに、それでも時間を作って一緒に考えてくれます。

本当は自分からうまく相談できるのが一番ですが、「困っていそうな人に自然と手が伸びる」文化があるのは、すごくありがたいなと思っています。

エンジニアからPMを目指す人へのメッセージ

── 同じようにエンジニアからPMへのキャリアチェンジを考えている方に、メッセージをお願いします。

PMというと「管理職」というイメージが強いかもしれませんが、管理だけをする仕事ではありません。

お客さんと開発チームをつなぐ役割であり、チームの潤滑油であり、ときには会社とユーザーをつなぐ「ハブ」のような役割も担います。人と人をつなぐことが好きな人にとっては、とてもやりがいのある仕事だと思います。

必要なのは、技術力だけではありません。技術に加えて、コミュニケーション力や、人柄そのものが活きてくる仕事です。

ただし、PMをやるからといってエンジニアリングを手放さなければならないわけでもありません。キャリアの幅を広げる選択肢として、「PMに挑戦してみる」というのは十分アリだと思います。

クライマーでは、エンジニアとしての経験を活かしながらPMに挑戦することもできますし、周りのメンバーもそのチャレンジを歓迎してくれる環境があります。一度、「PMってどんな仕事なんだろう？」という興味だけでも持ってもらえたらうれしいですね。

PMという仕事のやりがいと、向いている人・向いていない人

── プロジェクトマネージャーというポジションは、会社に何人もいるものなんでしょうか？

基本的にはプロジェクトごとにPMがいるのが理想です。ただ現実的には、PMが足りなくて兼任している人が多かったり、エンジニアがPM的な役割も担っていたりする場合もあります。

エンジニアって「作ること」が好きな人が多いので、「俺はコードを書きたい」となりがちなんですよね。できる人ほどそうなりがちで、「なんでそんなこともできないんだ、もう自分がやるよ」となってしまう。

そこをぐっとこらえて、人を育てる方向に頭を切り替えられる人でないと、PMはしんどくなってしまうと思います。どちらかというと、経営目線に近い考え方が必要になる仕事ですね。

── では、PMに向いている人・向いていない人を教えてください。

向いていないのは、「一人で完結する仕事がしたい人」ですね。PMはとにかく人と関わる仕事なので、「自分の世界だけで完結したい」というタイプだと厳しいと思います。そもそもクライマーという会社自体が、そういうタイプとは相性が良くないかもしれません。

逆に向いているのは、想像力豊かで、人の話を引き出したり、ぼんやりした要望を形にするのが好きな人です。お客さんはふんわりとした言葉で要望を伝えてくることが多いので、それをどう伝えて、どう形にするかを考える「中間地点」がPMなんですよね。

クライマーへの入社の決め手

── クライマーへの入社を決めた理由を教えてください。

大きくは二つあって、ひとつは「人の良さ」です。

どんなに面白い仕事ができても、一緒に働く人が合わなければ、仕事は楽しめません。良いモノづくりは一人では絶対にできないので、「誰と仕事をするか」は本当に重要だと思っています。

クライマーについては、日頃から「人がいい会社だよ」と聞いていましたし、入社前に会社の飲み会に参加させてもらったこともあって、そのときの雰囲気がすごく良かったんですよね。みんなでワイワイガヤガヤと盛り上がっていて、「ああ、ここなら楽しく働けそうだな」と感じました。

もうひとつは、技術力です。一人ひとりのスキルが高く、真摯に仕事に向き合っている姿勢が印象的でした。「人も良くて技術力も高い」という会社は、ありそうでなかなかありません。その二つが両立していることが、クライマーに決めた大きな理由です。

職場環境と、ちょっと嬉しい制度たち

── 職場環境の中で「ここは魅力的だな」と感じている点はありますか？

まず制度面で分かりやすいのは、フレックスタイムですね。私はわりと早めに出社するタイプですが、体調や用事に合わせて時間を調整できる余裕があるのは、やっぱり大きいです。朝イチに銀行に寄りたい、今日は少しゆっくり行きたい、というときに、気兼ねなく調整できます。

それ以外にも、オフィスにコーヒーがあったり、お菓子が置いてあったりと、細かいところで働きやすさを感じます。小さなことの積み重ねではありますが、「ちゃんと社員のことを考えてくれているんだな」と伝わってくるポイントですね。

仕事の進め方という意味では、「提案がしやすい」のも魅力です。「こうした方がいいと思う」「こんなことやってみたい」といった意見を、直接伝えられる雰囲気がありますし、それを頭ごなしに否定されることはありません。

まだ成長途中の会社なので、改善ポイントもたくさんありますが、「一緒に良くしていこう」という余白が残されているのは、むしろポジティブに感じています。

これから挑戦したい開発と、クライマーとしての目標

── 今後、どんな開発やプロジェクトに関わっていきたいですか？

PMという肩書きとは直接関係ないかもしれませんが、今後クライマーとして力を入れていきたいのは「自社サービスの開発」です。

前職でも自社サービスをやっていたのですが、受託開発では味わえない楽しさと大変さがあって、それがすごく印象に残っています。自分たちで企画し、作り、育てていくプロセスは、会社としての成長にも直結しますし、メンバーにとっても大きな経験になります。

クライマーでも、そういった自社サービスをみんなで作り上げていきたいですね。

── 最後に、今後のご自身の目標を教えてください。

「クライマーに任せておけば安心だよ」と言われるプロジェクトを増やしていくことです。

そういうプロジェクトが増えれば、自然と「次もお願いしたい」という声が増え、さらに良い仕事に繋がっていきます。その好循環を、クライマーとして築いていきたいと思っています。

インタビューを終えて

伊藤さんの話を聞いていると、「PM＝管理職」という一面的なイメージが、いい意味で壊されていきます。

技術の知識をベースにしながら、お客さんのふんわりした要望を汲み取り、チームの力を引き出し、プロジェクトを前に進める――それはまさに「人と人、人と事業をつなぐ仕事」でした。

また、クライマーという会社の空気感についても、「人間関係でギスギスしない」「困っている人を放っておかない」「提案が歓迎される」といったエピソードから、日常の雰囲気が伝わってきました。リモートワークができる環境でありながら、それでも多くのメンバーが出社を選ぶのは、「人と一緒に働くこと」を楽しんでいるからなのかもしれません。

エンジニアとして手を動かすだけでなく、もっと広い視点でプロジェクトやビジネスに関わってみたい。

そんな想いを持っている人にとって、伊藤さんのキャリアは、クライマーでのPMという選択肢を具体的にイメージさせてくれるはずです。クライアントからも社内のメンバーからも、「クライマーに任せれば安心」と言ってもらえるプロジェクトが、この先どれだけ増えていくのか、とても楽しみです。