大阪府八尾市にある「シャープ八尾事業所」は、シャープの国内外全ての白物家電を企画・開発している重要な拠点です。はじまりは、1959年。当初は、電化製品を生産する統合工場として誕生し、シャープが総合家電メーカーへ発展する足がかりとなりました。その後、生産機能は海外へ移管し、現在は白物家電の企画・開発拠点として進化を遂げています。その中で洗濯機・掃除機の開発を担っているのが、今回ご紹介する「清潔ランドリー事業部」です。
今回は、Smart Appliances & Solutions事業本部 副本部長 兼 清潔ランドリー事業部長として事業を率いる小森さんに、モノづくりへの想いや今後の展望についてお話を伺いました。
目次
ドラム式洗濯乾燥機の開発に携わって32年。シャープ洗濯機のすべてを知るリーダー。
1994年に入社してすぐ、私は八尾工場(現・八尾事業所)の洗濯機技術部門に配属となりました。以来、他部署に異動することなく洗濯機開発一筋。この経歴は、シャープの中でもかなり稀だと思います。
その中で私が30年にわたり携わってきたのは、“ドラム式洗濯乾燥機”です。今でこそドラム式洗濯乾燥機は広く普及していますが、売れない時代が長かった。特に2016年頃は非常に厳しく、社内では「もうドラム式洗濯乾燥機から手を引いた方がいいのではないか」という声まで上がったほどでした。その時に挑んだ新製品開発は、今でも忘れられませんね。コンセプトは、“他社がつくらない斬新なデザイン”。企画段階で「従来のデザインとは全く違う、ドアを全面ガラスにする!」と決めて、勝負に出ました。これでダメなら諦めると言い切って。この決断が功を奏して、私たちがつくったドラム式洗濯乾燥機はヒット商品となり危機を脱することができました。以降10年間で、どれほどドラム式洗濯乾燥機が進化を遂げてきたかは、皆さんご承知の通り。今、非常に好調に売上を伸ばしています。
コンセプトは「“キレイ”にこだわる」。自由闊達!枠にとらわれないモノづくり。
事業部名を「清潔ランドリー事業部」という名称にしたのには、意味があります。コンセプトは「“キレイ”にこだわる」。洗濯機・掃除機という枠にはまらず、“キレイにするもの”だったら何でもつくる部署にしようというわけです。たとえば、部分洗いに特化した『超音波ウォッシャー』もその1つ。片手で持って、洋服などの汚れた部分をなぞるだけでキレイにできるというもので、2016年の初期モデル発売時からこれまでロングヒットを続けています。「モノづくりは、もっと自由であっていい」というのが、私の考え方。共通のキーワードを持たせることで、新しい領域の商品を生み出していきたいのです。
こんな自由なモノづくりができるのは、チャレンジ精神をとても大切にする風土が根付いているからだと思います。先ほどお話しした「斬新なデザインのドラム式洗濯乾燥機」も、他社ならば企画段階で却下されて終わりだったでしょう。「やりたい!」と提案したアイデアに、「面白そう!」と共感してくれる仲間がいて、それを実行に移せる環境がある。私は、これこそがシャープの大きな強みだと思っています。
シャープの全ての白物家電は、ここ八尾で企画開発されている!
もうひとつ、この「八尾事業所」という場所自体も、シャープの強みです。ここは、エアコンや空気清浄機、冷蔵庫や調理家電も、“白物家電”と呼ばれるもの全てを生み出している一大拠点。全商品の開発メンバーや商品企画メンバーがここに集結する中、横のつながりをもつことで「お互いの技術」を共有できるのです。
たとえば、空気清浄の独自技術で知られる「プラズマクラスター」が、洗濯機にも冷蔵庫にも活かされているのも、この体制があるからこそ。また、“洗濯が終わったことを、キッチンで冷蔵庫が知らせてくれる”など、家電同士で機能を連携させるのも、この体制ならば容易にできます。部門を超えた技術の融合は、今後ますます“シャープのモノづくりの鍵”になると思いますね。
一つの拠点にここまで機能を集約しているケースは、家電業界の中でも非常に珍しいと思います。それぞれの分野が独立して商品開発を行うのが業界の常識ですからね。シャープは、独自路線を突き進んでいる面白いメーカーだと言えるでしょう。
キーワードは、「BtoB」と「海外」。伸び代がある市場で事業を拡大。
洗濯機や掃除機というと“家庭向けの商品”を思い浮かべますが、それだけではありません。ビジネスや公共の場でいかに私たちの商品を使っていただくかが、これからクリアすべき課題だと考えています。中でも今一番力を入れているのが、『排水レス循環型洗濯システム』の開発です。これは、使用する水を循環させながら洗濯ができるという仕組みで、給水排水ができない環境下でも使える洗濯機。地震などの災害で断水してしまった時の避難所や海外を含めた水不足地域などをイメージしていただければ、分かりやすいでしょう。
他にも、大手清掃事業者様からの依頼でスタートした、『業務用のロボット掃除機』の開発も順調に進んでいます。「すでにあるじゃないか」と言われそうですが、問題はその性能。現在日本で使われている業務用ロボット掃除機のほとんどが海外製で、吸引力/静音性ともに大きな課題があるのです。シャープは掃除機の静音技術にかなり自信を持っているので、期待通りのものをつくれば市場は一気に広がるはず。他社がまだ踏み込んでいない領域でもあり、非常に大きな可能性を秘めています。
また、「海外市場の拡大」にも大きなチャンスがあります。というのも、ASEAN地域の洗濯機普及率は国によってはまだ50%ほど。すでに自社生産工場があるインドネシアやフィリピンでは当社が上位のシェアを獲得していますが、まだまだ伸び代は大きいのです。ここでポイントとなるのが、「その国に合った商品開発」です。日本の洗濯機を海外に持って行っても、ニーズが違うので全く売れません。たとえば、インドネシアの主流は2槽式洗濯機。タイやマレーシアで求められるのは容量20kg以上の超大型洗濯機。つまり、市場にフィットした商品をつくらなければ意味がないのです。現地で求められるものを、シャープの技術で生み出すことがとても大切。その先に、さらに大きな市場が拓けていくと考えています。
スピード感&コミュニケーション!当事者意識で、あくまでもポジティブに。
縦割りの組織の中で、ひとつひとつ稟議を上げなければ物事が進まないというのは、日本企業の良くない風習です。海外メーカーのスピード感は本当に速い。そこを見習うべきだと思いますね。もしも途中で間違いに気づけば、そこで方向転換をすればいいだけの話。ですから私は、「やってみよう」とか「これはもうやめよう」とか、そういう判断を極力早く出すよう心掛けています。
もうひとつ、face to faceのコミュニケーションもモノづくりの現場では非常に大切です。情報共有をするだけならばメールでも十分ですが、それ以上のものは生まれない。面と向かった会話の中にこそ、新しいアイデアや面白い発想が隠れていると思いますね。
今挙げた2つは、私が大切にしている行動指針ですが、そのベースにあるのは「当事者意識をもつこと」です。つまり、すべて自分ごととして動くこと。「自分がやる!」という姿勢で取り組むことが非常に大事。壁に当たった時に「できません」と報告する前に、「この条件をこう変えてくれたら、できるかもしれない」など、前向きな提案をしてもらいたいし、それができる方と一緒に働きたいですね。特にキャリア採用で迎える方には、もっとこうした方がいいという積極的な改善案を大いに期待しています!
キャリアの可能性を広げていける。挑戦する人にチャンスがある。
私のように、技術者として一つの分野に特化して専門性を極めていくこともできますし、Smart Appliances & Solutions事業本部の中で、事業や組織の状況に応じてエアコンや冷蔵庫など他の分野にキャリアを広げていくことも可能です。また、各事業部の経営企画などビジネス系の領域も魅力的なフィールドですし、海外市場にもキャリアの道は拓けています。要は、描けるキャリアは自分次第だということ。たとえば、この清潔ランドリー事業部である程度経験を積んだ後に、社内公募制度を利用して別のプロジェクトにジョインすることだってできますよ。シャープは、「手を挙げる人にチャンスを与える風土」がある会社。事実、私はここで30年以上ずっと、“自分のやりたいこと”をやってきました。副本部長としての私のミッションは、一人ひとりが新たな挑戦を通じて成長できる環境をつくっていくことです。世の中を「おおっ!」と驚かせるような商品づくりに関わりたい方、ぜひ一緒にこの高い壁を越えていきましょう。
※記事内の部門名、役職名、内容はインタビュー当時ならびに掲載当時のものです。
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