この記事は、スケッチに興味を持ってくださった方へ向けて、入社後の“仕事の実態”を具体的に紹介するストーリーです。
カルチャー紹介ではなく、「コンサルタントが何を見て、何を考え、どう進めるのか」を2社の事例で深掘りします。
「変革支援コンサルタント」という職種は、何をしているのか。
単に人を採用するだけでなく、お客様の事業と組織の未来を見据え、その時々で最適な課題解決を目指すのが、私たちのコンサルティングです。
今回は、大手企業と中小企業という全く異なる2社の事例を通じて、コンサルタント喜多見が「採用の先」をどう見立て、どうプロジェクトを前に進めているのかを深掘りします。
この記事で分かること
・採用支援の相談が来たとき、最初に何をゴールに置くのか
・現状把握〜打ち手の設計〜実行まで、プロジェクトをどう進めるのか
・採用充足後に“次の課題”をどう発見し、なぜ踏み込むのか(定着・育成/評価制度など)
まず前提|採用支援の相談は「3つの入口」から始まる
喜多見:ご相談の入口は大きく3つに分かれます。
「採用充足したい」「採用体制を構築してほしい」「採用担当がいないから自社で自走できるように内製化を図りたい」。
そして大切なのは、採用充足をゴールとしないこと。
目指すのは、お客様が継続的に成長できる組織を作り上げることです。
今回の2社|入口の相談と「今の支援テーマ」
■北九州の建設会社
社員数:20名弱
入口=5年後を見据えた現場作業員採用の仕組み化 → 現在=評価制度の構築
■全国展開するサービス運営企業
社員数:数千名規模
入口=中途・新卒の採用体制構築支援 → 現在=中途担当チームの育成支援
事例1|北九州の建設会社(中小企業)
この案件でやったこと(ざっくり全体像)
・最初のゴール設定(まず1人でも採用できる状態)
・裏ゴール設計(自社肯定感の回復)
・施策設計の順番(魅力の言語化 → 採用サイト公開 → 求人媒体展開)
・テーマのスライド(採用充足後:定着・育成)
・定着・育成の打ち手(Instagram/全社員アンケート[2か月に1回]/紹介シート掲示)
・評価制度への踏み込み(社員の声を起点/「まずモノを見せる」提案)
入口の相談|「5年後の入れ替え」に備えたい。でも何から?
喜多見:同社は、70年以上続く会社で、現場はベテランの方が多いです。
60代の方や、定年を超えて働いている方もいらっしゃいます。
現状は回っているものの、5年後を見据えると入れ替えが必要になる。
ただ、採用活動を何から始めればよいか分からない——そこがご相談のスタートでした。
当時はHPもなく、ハローワークしか使ったことがない状況でした。
最初のゴール|「5人採用」より先に、“まず1人”を置いた理由
小野:支援開始時、最初のゴールは「5人採用」でしたか?それとも内製化や定着まで見据えていましたか?
喜多見:正直、支援開始当初は評価制度のことなどは頭にありませんでした。
まずは人が来るのかという根本課題があったので、最初のゴールは「ちゃんと採用ができるようにしたい。まずは1人でも」でした。
裏ゴール|「自社肯定感」を取り戻す
喜多見:ただ、裏ゴールとして設定していたのは、「うちは魅力ある会社なんだ」と社長を含め皆さんに思ってもらえる状態にすることです。
社長も「うちみたいな会社に応募が来るのか」と、ネガティブな状態からスタートされていましたから。
最初にやったこと|魅力の言語化 → 採用サイト → 求人展開
喜多見:まずは「自社の魅力を分かっていない」という課題の解決からです。
70年続く歴史や、大手と長年取引を続けている事実。クイックレスポンスや安全徹底といった長年の努力。
そうした強みを、インタビューを通じて引き出し、言語化して伝えました。
その後、“HPがない”という求職者の不安を解消するため、インタビュー情報をもとに採用サイトを作り、公開しました。
社長や皆さんに「うちがいい会社に見える!」と喜んでいただけた。
この「自社肯定感」が上がった状態で、初めて求人媒体での情報展開を行いました。
採用充足後に見えた“次の課題”|定着・育成へ
小野:その施策が功を奏し、4ヶ月ほどで想定以上に採用が充足してしまったと。この時、コンサルタントとして次にどんな課題を感じましたか?
喜多見:採用が充足してお客様は満足されている状態でしたが、私としては「これがずっと続くわけじゃない」という危機感がありました。
そして新しい20代の社員も入ってきたことで、次に直面する課題は「長く働いてもらうための仕組みがない」ことでした。
そこで、2年後・3年後を見据えて、まずは自社で情報を発信できる場としてInstagramの利用を提案しました。
若手採用を視野に、転職潜在層にファンになってもらうためです。
さらに、社員のコンディション把握のためのアンケートを2か月に1回、全社員に実施・分析。
ベテランと若手のコミュニケーション促進のために社員紹介シートを作って掲示するなど、育成・定着支援にテーマを移していきました。
評価制度に踏み込んだきっかけ|“社員の声”が出た瞬間
小野:評価制度の構築という大きなテーマに移行したきっかけは何だったのでしょう?
喜多見:新しく入社した4名に、採用活動に使うという名目で「キャリア面談のようなインタビュー」を実施しました。
すると、特に20代の2名から「この先、給与がちゃんと上がっていくのか不安」という声が出てきたのです。
これが、評価制度が必要だと確信した大きなきっかけです。
社長の不安を動かしたのは「まずモノを見せる」
喜多見:社長は当初、評価制度の導入に否定的でした。
「うちみたいな規模だと、まだできない」という不安があったのだと思います。
そこで私は依頼されていないのですが、小規模でも運用できる評価制度の土台(例えば月給ではなく賞与に反映させるやり方など)を先回りして作って、ミーティングのたびに具体的な提案を続けました。
採用がうまくいったことで信頼を得ていたこともあり、現物を見せることで社長が興味を示してくださり、今、評価制度の構築支援に至っています。
事例2|全国展開するサービス運営企業(大手企業)
この案件でやったこと(ざっくり全体像)
・入口整理(中途:体制見直し/新卒:アドバイザリー)
・初期スタンス設定(信頼獲得を最優先)
・現状把握(採用管理システム確認/1〜2か月)
・属人性の解消(予算の本社集約/媒体運用の本部一括)
・次の課題の発見(採用活動に“論がない”状態の可視化)
・育成アプローチ(安心して発言できる土壌づくり)
入口の相談|「中途は体制が弱い」「新卒はこのままでいいか不安」
喜多見:同社は社員規模が数千名。
採用体制自体はあり、新卒チームと中途チームに分かれています。
中途は、採用知見が十分ではないメンバーが中心で、体制の見直し・再構築が必要に。
新卒は表面的には回っているものの、
「今のやり方が本当に合っているのか分からない」
という相談で、アドバイザリー要素が強い形で始まりました。
大手支援で一貫するスタンス|まず「信頼してもらう」
小野: 支援開始時、喜多見さんが最初に設定されたゴールは、どんなことでしたか?
喜多見:大手企業は採用人数が新卒も中途も非常に多いです。
そのため、最初のゴールは採用人数ではなく、「私が信頼を得ること」に置きました。
ただ、これは支援終盤の今も変わらないスタンスです。
この人の言うことなら、労力がかかっても乗ってみようと思ってもらうこと。
同社は人とのつながりを大切にされている企業様なので、外部ではなく内部の人間として。
一緒にやる仲間、ワンチームとして見てもらうための関係構築を大切にしています。
最初にやったこと|徹底的な現状把握(ここが一番地道で、一番効く)
喜多見:まずは徹底的な現状把握です。
情報が散在していて、どの媒体を使っているか、オペレーション、定量目標などが全く不明確でした。
現状把握だけで1〜2か月程かかりましたが、現状把握は伸びしろをみつけるためにとても大事な要素です。
また、本社と現場で採用活動を行っている企業様に多いですが、特に中途採用は本社の皆様が現場の採用状況や課題をなかなか把握できない状態でした。
属人性を崩す|予算を本社に集約し、媒体運用を本部が一括で仕切る
喜多見:そこで現場採用の進捗を本社が把握しやすいように、オペレーション自体に手を入れました。
具体的には、各エリアが持っていた採用予算を本社に集約。
媒体を一括で本社が仕切る仕組みを提案し、実行しました。
本社が予算を持つことで、否応なしに全体を知ることになる。
これが、本社の皆さんが全体を把握するための大きな策でした。
決裁に数か月かかるなど時間はかかりましたが、実現できました。
次に見えた課題|「自分たちはこうしたい」という“論”がない
喜多見:体制が整ってきた中で見えてきた課題が、中途採用チームの「自分たちはこうしたい、という論があまりない」という点でした。
採用の経験が豊富な方がいないため、なんとなくこれまで使っていた媒体を使い続けている状況だったのです。
チーム育成の第一歩|安心して発言できる「安心の土壌」をつくる
喜多見:まずは中途採用チームの皆様が、安心して発言できる「安心の土壌」を作ることでした。
ミーティングでは私が一方的に話すのではなく、コンテンツごとに必ず「〇〇さんはどう思いますか?」と意見を聞く。
「正解はないから、何でも言ってほしい」と伝え続けていく中で少しずつ皆さんが自分たちの考えを発言してくれるようになってきています。
コンサルタント喜多見の「判断軸」と「仕事の面白さ」
判断軸|確信が持てる提案しかしない
喜多見:軸としているのは、自分が自信のない提案はできる限りしないということです。
お客様にとって面倒に思われることだとしても、「これがお客さんにとっていいな、プラスになるな」と確信が持てることしか提案しません。
それが信頼につながり、提案を前に進める力になると考えています。
責任|裁量が大きいからこそ、逃げない
喜多見:裁量が大きく何でもできるのがこの仕事の特徴です。
だからこそ自分の発言には責任を持たなければいけない。
定例ミーティングでの決断の瞬間など、逃げない心は必要だと感じています。
面白さ|同じ案件は二つとない。「突破口」を見つけた瞬間が一番面白い
喜多見:同じ採用支援でも会社が変われば課題が変わるので、毎回新鮮な気持ちで仕事ができます。
そして、難易度が高い案件でも必ず突破口はどこかにあって、それを見つけられた時に大きな面白さを感じます。
何より、お客様に圧倒的に深く入り込めるのが醍醐味です。
お客様とのコミュニケーションが「お世話になっております」ではなく「お疲れ様です」から始まり、外部ではなく「チームの一員として、深く、同じ目標を持って仕事ができる」。
また、日々学んだことや世の中のニュースなど、インプットした情報がすべて血肉になり、無駄にならない仕事です。
常にインプットとアウトプットを繰り返しながら、お客様の組織変革に携われることにやりがいを感じています。
(ここまで読んでくださった方へ)この仕事の共通点
2社とも、取り組んでいることは異なります。
でも共通しているのは、GOAL設定した上で課題を見立て、ロードマップを策定、そしてやり切ることでした。
編集後記(小野)
2社の事例を並べると、喜多見さんの仕事は「採用成功」ではなく、採用→定着→育成→制度へと、状況に合わせて支援テーマをスライドさせながら、お客様の“継続的な成長”をつくっていく仕事だと改めて感じました。
面談で「具体的に何をする仕事ですか?」と聞かれることが多いのですが、これまでシンプルに答えることしかできませんでした。
というのも、今回の事例のように、お客様の状況によって支援内容が大きく変わるからです。
それでも、スケッチに興味を持ってくださった方には、入社後の仕事をできるだけ具体的にイメージしていただきたい。
そう思い、今回の社員インタビューでは、実際の支援の進め方を事例ベースでご紹介しました。
100社あれば100通りの支援があり、
「何をするか」はコンサルタントの判断と工夫次第です。
そこに面白さを感じていただけたら、きっとスケッチでの仕事も楽しんでいただけると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
具体的な仕事内容にピンと来た方は、募集ページもぜひご覧ください。