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"海の未来を視えやすく"するサービス、「漁場ナビ」とは

漁場ナビが誕生するまで

あなたは、「海況予測」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
実は私(天野)は、この会社に入るまでは知りませんでした。天気予報はこんなに身近なのに、海については全く知らず、言われてみれば思いつかないな…恥ずかしながら、それくらいの知識でした。

アメリカやフランスの衛星を利用したサービスが、遠洋漁業者に多く導入されています。国内にも行政が提供しているサービスもあります。それぞれに特徴があり、得て不得手があります。
日本は海洋国家としては世界第6位ですが、漁獲高は年々減っています。食卓に上る魚の量は減っていない、にもかかわらず。ノルウェーやチェコ、アメリカ、中国などは発展しているのを横目に。
高騰する油費、高齢化、安い海外産の流通、長期教育、ICT化の遅れなどいくつかの理由がありますが、漁業者にとって一番は「その日操業して良いかどうかの判断をサポートできる決定的なツールがない」ということではないか、と考えています。

私たちが開発した「漁場ナビ」は、国家プロジェクトであるcrestで採択された、「北西太平洋のアカイカ漁場予測システム」の研究がベースとなっています。2018年の水産白書に、コラムとして取り上げられました。(第1章第3節「第3節 ICTの活用」内)このプロジェクトは2018年に取り上げられましたが、およそ10年前から研究プロジェクトは存在し、長い年月をかけ現在の漁場ナビが誕生しました。

漁場ナビの特徴

近年は、地球表面や大気の色や温度を観測することが出来る可視~熱赤外多波長光学センサを搭載している衛星「しきさい」などが打ち上げられましたが、更新頻度、過去データが豊富であることから、私たちは主に静止気象衛星「ひまわり」のデータを利用しています。

漁業者にとって水温は大切な操業判断の元となる指標の一つで、更新頻度が高い方がメリットがあります。10分に1度送られてくる衛星データを元に、6割隠れてしまう雲を除去する技術を活用し、観測できるエリア全ての水温を表示しています。この技術は特許を取得しています。

過去のひまわりのデータだけでなく、6時間毎、最大4日先の海水温の予測も出しています。海水温を見て、魚がどこにいるのかを漁業者は判断しているので、予測とこれまでの経験を合わせて、より角度の高い漁が可能になります。

そして、潮流もとても大切な情報になります。
一見穏やかそうに見えても、海面の下が早い潮の流れの場合は船を出すことはできません。漁どころか、海難事故に見舞われる可能性が高いからです。
また、潮の流れをうまく利用することで、航行日程を短縮することができます。遠洋漁業だと、1〜2日近くその差が生まれることも。高い油費を払って漁獲がゼロなんてこともあり得ます。できるだけ効率よく航行することは、とても難しいのです。
漁場ナビには、CEOの田中が開発した海洋数値モデルを使った海水温度予測、潮流予測のメニューがあります。

海洋数値モデルは大量の計算が必要になるので、JAMSTEC(海洋研究開発機構 | ジャムステック)のスーパーコンピューターを使って計算しています。数値モデルについては、また別のストーリーでお話しできたらと考えています。

サービス開発の状況

3つの業務に分かれています。

  • フロントエンド
  • バックエンド
  • データ作成

どの業務も重要ですが、特にフロントエンドについては業務量、ご依頼の増加で手が回らなくなってきました。先に書きました漁場ナビのUIだけでなく、バックエンドとのつなげ方、スピードが求められています。
創業メンバーは基本的に研究者であり、兼務でやってきました。やっと経営チームは増えてきたのですが、コアな部分のサービス開発メンバーがまだまだ足りていないのが現状です。
幸いなことに、優秀なインターンは増員できました。彼らを引っ張っていける、最初のリードエンジニアを私たちは待っています。

海の未来へ、新たな視点をつくる

研究者、しかもこの分野のトップ集団…海…予測… 最初は何も知らず参画した私(天野)ですが、今では知識は別にして、すっかり海洋の虜です。今の海、過去の海、そして未来の海。

およそ10年にわたる研究プロジェクト。ということは、それ以前から研究が始まっていたということになりますが、研究成果と事業として成立するかは全く別のお話。社会実装するには学術と実業の間で行ったり来たり、漁業者のニーズにどこまで応えるのか応えられるのか、毎日悩みながら開発が進んでいます。その姿を見ながら、海洋に対して興味が増すだけでなく、真摯に、科学的にアプローチするこのチームそのものが面白い、と強く感じています。

もしここに、リードエンジニアとしての経験を持つあなたが参加してくれたら、もっと面白いことができる…そんな期待が高まります。

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