株式会社フィールド・デザイン・アーキテクツ(FDA)は、「制約への挑戦」をテーマに、都心の建築設計に取り組んでいます。FDAの特徴は、平均年齢が30〜35歳と若手が中心であること、そして年次に関わらず設計から監理まで「一気通貫」で裁量を持ってプロジェクトを担当できることです。アトリエとも、大手組織設計とも違う、FDAが目指す"新しい設計事務所の姿"。今回の座談会では、現場で働く若手設計者たちの「リアルな声」をお届けします。
「組織の歯車」ではなく「担当」として。
若手がFDAを選んだ理由
アトリエでも大手組織設計でもない、"第三の選択肢"
柏木: 新卒時、アトリエはあまり考えておらず、組織設計の就活もしていませんでした。自分が主担当で裁量を持ってやれそうで、戸建てではない中規模な物件を扱っているところを探していたのですが、フィールド・デザインは一番考えに近いかなと思いました。
山田: 前職の組織設計事務所では、プロジェクト担当者になれるのは30代前半くらいでした。より早い段階で自分が担当として実務ができる環境で働きたいと思ったからです。FDAのように、若手が多く、アトリエのような小規模物件ではない中規模な物件をやっている事務所は当時あまり知らなかったので興味を持ちました。
木村: プライベートでの環境の変化があり、建築業界全体の課題である、設計者としての労働環境や金銭面などが充実していることが魅力でした。以前いたアトリエでは労働環境や給与面で不安定さを感じることがありましたが、FDAはそういった問題点を改善しようとしていて、この事務所がこれからの新しい設計事務所の姿だと思い入社を希望しました。
平均年齢は30〜35歳。風通しの良さと働きやすさ
秋葉: 前職との大きな違いは、30代を中心とした組織であることです。同年代で切磋琢磨しながら成長できる環境が魅力です。外部に対してもおもねることなく、言うべきことはちゃんと言うというスタンスです。
内田: 前職がベテランばかりだったので、もっと若い方と仕事がしたくなったのがいちばんの理由でしょうか。FDAの平均年齢は30〜35歳程度で、業界的にはかなり若手の事務所です。前職では仕事で喧嘩してなんぼみたいな雰囲気がありましたが、FDAはとても穏やかです。残業もほぼなく、月一桁台で済んでいます。働きやすい環境ですね。
成長を加速させる「一気通貫」のプロジェクト体制
入社数ヶ月で担当。デザインから監理まで全てを担う
柏木: 僕は新卒で入って半月くらいで新川の案件を主担当として任命されました。当時はまだ知識も経験も不足していて大変だったことを覚えています。ただ、一通り経験できたので、建築を設計するプロセスを着工まで把握でき、押さえるべきポイントが分かるようになりました。飯田橋のプロジェクトでは、その経験があったので、どこが“絶対に守るべき”で、どこが“遊べる”のか、その勘所が掴めてからは格段に楽しくなりましたね。
秋葉: 資格がないと担当として一気通貫してやらせてもらえない会社が多い中、3年目(柏木さん)でもう内容を把握して仕事をしているのはかなりすごいです。
山田: 今は足立区のプロポーザル案件を手掛けています。会社として初めて公共の案件に挑戦できており、前職での公共プロポーザルの経験も活かせています。入社1年目ですが、最初のプランニングやデザインから関われるのはやりがいがあります。ほとんどの会社は、担当以下はできた図面を整理する仕事が多いと思います。
設計者の意図を形にする「3D」と「対話」
内田: 私は設計補佐なので、設計士が考えたデザインを形にするための補助が役割です。設計士は自由にかっこいい形を作りますが、私の頭の中では「これは作れるのか」とずっと考えていて、相談しながら具現化の方法を探っていくのが仕事です。
今、東上野で丸い外観の物件の工事監理をしていますが、2D図面だとなかなか現場に伝わりませんでした。そこで3Dモデルを立ち上げて、現場の職人さんやメンバーに見せて説明し、理解してもらうという過程が良かったですね。3Dは全員使えますし、イメージ共有にはかなり有効です。
「法規を制する者は建築を制する」
制約を可能性に変える設計力
"条例だから"で終わらせない。FDA流の「深掘り」
秋葉: 代表の口癖は「法規を制する者は建築を制する」で、これは皆に叩き込まれています。ちょっと甘いボリュームの計画を出すと、「もっといけるよね」と言われます。
“条例でそうだから”で終わらせず、趣旨を踏まえて関係者と粘り強く議論し、街にとってもクライアントにとっても良い落としどころを探すのがFDA流です。この辺はみんな深掘りしています。
山田: 法規についての知識は、プラン検討段階の打合せの中で、「この計画だとあの規定にかかるよね」といった会話が常に飛び交っていて、そういった会話のキャッチボールの中で学んでいくような感じです。検討と議論を繰り返すことで、体系的な知識の習得に繋がっていくのだと思います。
互いを高め合うフラットでオープンな組織文化
「定型」を嫌い、「遊び」を仕掛ける
柏木: 定型にしたくないというのがあります。決まり切ったパターンでやれば終わる仕事は避けたい。面白いことをやりたいという気持ちが常にありますね。新川の案件では、マンションの廊下で普通はやらない赤・青・緑など階ごとに違う色を使いましたが、お客さんも意外に受け入れてくれました。
木村: 建築は、人のお金で人のものをつくる仕事です。施主の好みやお金など色々絡んできますが、自分が作ったコンセプトが最後まであれば、建築として成功だと思っています。
内田: 私は設計者がどこにこだわってデザインをしているかを理解し、削減できるところを見つけ、金額的にも施工的にも成り立つように調整することに注力しています。そういったコミュニケーションは密にできていますね。
「分からないことが罪」ではない。全員で解決する風土
木村: 切羽詰まった時にも、他のメンバーが助けてくれます。ここではみんなで解決していこうという雰囲気ですし、リーダー陣がしっかり管理してくれています。コミュニケーションがとりやすく、わからないことはすぐに聞き解決できる環境があるので、後戻りができない状況になってからミスが見つかる、といったリスクを未然に防げています。
裁量が育む、設計者としての未来と個人の成長
「最前線に立つ」からこそ、答え合わせが早い
柏木: 最前線に立つ機会が多いと思います。代表はプロジェクト担当者にイニシアチブを持ってやってほしいという考えなので、施主様との打ち合わせも基本的に僕が任せていただいている感じですね。大体2週間に一回のペースで施主様にプレゼンし、設計業務の良し悪しを実感でき、それを基に善処し続けられる環境です。
その上、設計から監理まで一気通貫できるので、設計の答え合わせが半年後や1年後に現場レベルでフィードバックされるのはめちゃくちゃ勉強になります。
もちろん、打合せ後に社内で反省会をしたり、もっとこうしようという議論を代表や上長を含めて話し合うことはありますが、全員が担当者の成長をサポートしてくれているからだと思います。
秋葉: サポート体制というより、先輩たちが口出ししたい気持ちをグッと堪えて、担当者に学びの機会を極力与えようとしてくれる姿勢があります。間違った方向に行きそうなら軌道修正してくれる。それはありがたいです。
山田: ただのドラフターになるのではなく、自分の意思を持ってやれる環境があるのはすごく貴重なことだと思いますし、そういう環境があるからやっぱり成長できると思います。
木村: 学生の時は窓とか壁とかの建築の部分がどうやって収まっているのか、知らなかったです。実務にすぐに携われることは、学生時代に知らなかった建築にまつわる様々なことをすべて理解していくことにつながります。
「やりたい」と手を挙げれば、挑戦できる環境
内田: 社長に「工事監理に挑戦したい」と言ったら任せてもらえましたし、設計補佐の仕事外となるカラースキームについても任せてもらえました。なんでも挑戦したいことは言っておくと真摯に考えてもらえます。もちろん上司のサポートはあるので安心です。
秋葉: 今後は、自分も5000〜6000平米くらいの規模のものを主担当でやりたいという希望があります 。FDAでは『一気通貫』でプロジェクトを担えるので、オールマイティな成長ができます 。この5000〜6000平米というのは、法規制なども含め、設計から監理までを『一人で見られる限界の規模』だと感じています 。これ以上大きくなると、どうしても組織的な分業にならざるを得ず、FDAのコンセプトと反してきます 。だからこそ、そのギリギリのバランスが取れる最大規模で、手応えのある建物に挑戦したいですね 。
木村: 将来的には、公共建築、教育施設(小中学校や幼稚園)をやってみたいですね 。その街が50年後に良くなっている建物、そういう『街が変わるもの』を作りたいです 。
「法規を制する者は、成長も制する」。 若いうちから自分の意思を持って建築に向き合い、設計者としてオールマイティーなスキルを身につけたい。 そんな高い成長意欲を持つ仲間と、このフィールドで共に挑戦できることを、私たちは楽しみにしています。