♨ 笑顔と自然で未来を育む。ここは“もうひとつの故郷”♨
箱根・強羅の静かな山あいに、子どもたちが安心して暮らせる場所があります。
強羅暁の星園――。
ここは、家庭で暮らすことが難しくなった子どもたちが、「自分は大切にされている」と実感しながら生きられる、もうひとつの家。
毎日の暮らしそのものが、優しさと温かさと、未来への力に変わっていく場所です。
このストーリーは、私たちの歴史と理念、そしてこれから描きたい未来についての物語です。
■ 旧白百合園から「強羅暁の星園」へ
強羅暁の星園の歴史は、戦後間もない時期に遡ります。
当時の名前は 「白百合園」。戦災孤児や生活が困難な子どもたちを守るため、地域の祈りと善意の中で生まれた施設でした。
孤児の命を守ること、食べさせること、眠る場所を確保すること――。
混乱と貧困の時代、子どもたちの生活を守るだけで精一杯だった頃から、少しずつ「教育」「人格形成」「自立支援」へと支援の幅が広がっていきました。
そして時代が移り変わり、子どもたちのニーズや社会の価値観の変化に合わせて、より広い意味で“未来へ羽ばたくための支援”を行う施設へと進化するタイミングが訪れます。
その節目で生まれたのが、現在の名称 「児童養護施設 強羅暁の星園」 です。
「暁」は、新しい光の始まり。
「星」は、子どもたち一人ひとりが持つ輝き。
この名前には、子どもたちの人生の夜明けを共に迎えたいという願いと人の歩む道しるべとなる聖母マリアをあらわす名称として名付けられました。
■ 法人の転換 ― “神から託された使命”としての覚悟
施設の歴史が大きく動いたのは 平成17年 のことでした。
長年、施設を運営していたのは 社会福祉法人 シャルトル聖パウロ会。
キリスト教精神に基づき、愛と奉仕を軸に子どもたちを支えてきました。
しかし、時代の変化によって法人としての持続性や運営体制が問題となり、施設の将来を見据えた決断が必要になりました。
そこで、運営を引き継いだのが現在の 社会福祉法人 唐池学園 です。
この時、法人の吸収合併を決断したのが、現理事長である 鶴飼 一晴理事長 でした。
当時は、全国的にも社会福祉法人の合併はほとんど前例がありませんでした。
多くの人が「前例がない」「リスクが大きい」と声を揃える中、理事長はこう言いました。
「これは神から託された使命であり約束。守らなければならない子どもがいる。」
その強い意志と覚悟があったからこそ、強羅暁の星園は今日まで子どもたちの暮らしを守り続けることができています。
法人が変わっても、「子どもを守る」「人格を尊重する」「未来へつなぐ」という根源的な想いは受け継がれ、その想いは現在の理念へと形を変えて息づいています。
■ 強羅暁の星園が大切にしている基本理念
強羅暁の星園は、創設以来 誠実・勤勉・愛徳 の3つを大切にし、支援の根幹としてきました。
- 誠実 … 自分にも他者にも真摯であること
- 勤勉 … 日々を大切にし、積み重ねを怠らない姿勢
- 愛徳 … 相手を思いやり、互いを尊重する心
「日々の生活の中で児童が一人の人間としての権利を守られ、
互いの人格を尊重しながら、将来の自立に向けて生活できるようにする。」
これは単に“保護する”施設ではありません。
子どもが
「自分は価値のある存在だ」
と実感しながら育っていくための環境をつくることを、私たちは目標としています。
■ 生活そのものが育ちになる ― ここでの日常
強羅暁の星園の特徴は、日々の生活そのものを「育ちの場」と捉えていることです。
- 食事を一緒に囲む
- 温泉に入りながら今日の出来事を話す
- 勉強や部活動を応援する
- 喧嘩したら一緒に向き合い、仲直りする
- うまくいった時は全力で喜ぶ
こうした一つひとつの積み重ねが、子どもたちに
「大切にされている」「必要とされている」
という感覚を育てます。
また、複数の中舎で暮らす集団生活は、年齢の違う子どもたちが互いに影響を与え合い、支え合う文化を育みます。
家庭的養育か、集団養育か――。
社会では二項対立として語られることがありますが、私たちはどちらが“正しい”ではなく、ここでしか育たない豊かさがあると考えています。
■ 箱根という環境が子どもを癒し、強くする
強羅暁の星園が持つ特別な力。その一つが、箱根という土地です。
澄んだ空気、雄大な山々、四季の色彩、そして温泉。
この自然は、子どもたちの心と体を癒し、生活の安心を支える大切な土台になっています。
自然の豊かさは、時に子どもたちの不安をそっと抱きしめ、明日へ進む力に変えてくれます。
■ 卒園後も続く「もうひとつの故郷」としての役割
児童養護施設 強羅暁の星園は、「卒園」ではありません。
進学、就職、生活の悩み、家族との関係――
卒園後にも必要とされれば一生涯寄り添い続ける“アフターケア”を、 施設の大切な使命としています。
「困ったときに帰って来られる場所」がある。
それは、子どもにとって何よりの安心です。
私たちはこれからも、「帰ってきていい場所」を守り続けます。
■ 目指す未来 ― 子どもの権利と尊厳を守り続ける施設へ
強羅暁の星園が目指す未来はシンプルです。
子どもが一人の人間として尊重され、人格を大切にされ、
安心して未来へ歩き出せる場所であること。
そのために、生活を大切にし、関係を大切にし、子どもと大人が互いに支え合う文化を育て続けます。
私たちはこれからも、
笑顔と自然と温泉で、未来を育む“もうひとつの故郷”
としての役割を果たし続けます。