幼児教育・保育の分野で、子どもたち一人ひとりと丁寧に向き合ってきた社会福祉法人 檸檬会様。
小学生向け英語プログラムでは、子どもたちの英語への興味や好奇心をさらに広げたいという想いがありながらも、「時間も費用もかかりすぎて難しい」というジレンマを長年抱えていました。
「AIを使いこなせるだろうか」「理想のイメージを形にできるのだろうか」。
そんな半信半疑の気持ちからスタートしたプロジェクト。キャナルAIとの伴走を経て、現場の「無理だ」が「できるかも」に変わっていきました。
本記事は、教育現場の課題にAIとともに向き合った事例であり、AIを通して「理念を体現できた」物語です。
「AIを使いこなせるか不安」「自分たちらしさを保ったまま業務を効率化したい」と感じている教育・保育関係者様に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
本PJのサマリ
インタビュー参加者
- 檸檬会様: 福山様
- キャナルAI: 國廣
課題|「作りたいのに、作れない」。属人化した業務と、踏み出せなかった教材づくり
ーーまずはAI活用が始まる前のお気持ちを教えてください。
福山様:
それまでAIというと、ChatGPTで文章の添削に使ったりする程度でした。
なのでキャナルAIさんとのプロジェクト発足時は、「AIを使いこなせるようになるのだろうか」という不安が強かったです。
今まで手作業でも実現が難しかったことがAIによって叶うのか、正直半信半疑なところもありました。
國廣(キャナルAI):
福山さんは英語教育のプロフェッショナルです。最初にお話しした時に、教育や子どもたちに対する熱量をヒシヒシと感じました。
一方、現場のプロがやってきた仕事の一部を、AIが効率化し、さらに進化させていけるのか。そのことについては確信が持てていない様子でした。
ーー英語教材をより良いものにしたい、という想いがあったとお伺いしました。
福山様:
はい。子どもたちがもっと面白がれて、熱中できるような教材を作りたいという想いを長年抱えていました。
今までは、学年のレベルに応じた教材をCanvaで手作りしていました。必要なことは押さえられていましたが、定型的な内容なので、子どもたちにとっては「自分に関係ない」ものになってしまうんですよね。
これまで使用してきたオリジナルワークブックも活用しながらも、特に高学年の子どもたちの発達や興味関心に合った音読教材を開発したいと考えていました。
▼これまでのオリジナル教材
子どもたちの今の興味やイメージを取り入れた、自分たちだけの教材があればもっと学習意欲が高まるのではないか——そう感じてはいたものの、制作にかかる時間や費用を考えると難しいだろうと思っていました。
國廣(キャナルAI):
日々子どもたちと向き合いながら、その裏でこれだけの手作業を一人で抱えていらっしゃる。お話を伺って、大変さを強く感じました。
それでも前を向いて「子ども達にとって、もっと良いものを作りたい」という福山さんの姿を見て、「皆さんの理想を、AIのプロとして叶えていきたい」と強く感じました。
ーー他にはどのような課題があったのでしょうか。
福山様:
テスト結果やフィードバックを集約する「アセスメント業務」に多大なる時間がかかっていました。
アセスメントは子どもたちの英語の成長を保護者の方と共有するための、とても大切な機会です。
一方で、在籍している約100名分の結果を集計し、講師のコメントも一つずつつけて個別レポートを作成する作業が、毎回大きな負担になっていました。
問題や形式、クラスが毎回変わるため、平均点を算出するシートの関数を組み直す作業が本当に大変で。この作業を任せられるメンバーがいなかったので、私一人で担わなければいけない状況でした。
時間にすると毎回10~15時間ほどかかっていました。
ソリューション|完成品を渡すのではなく、一緒に手を動かす。伴走型のAI支援
ーー実際にプロジェクトが始まり、理想の教材作りはできましたか?
福山様:
はい!子どもたちが考えたキャラクターが出てくる「オリジナルストーリー教材」ができたんです!
作成フローとしては、まずは子どもたちに意見を聞き、手書きで思い思いのオリジナルキャラクターのイラストを書いてもらうことからスタート。その後はAIにそのイラストや英語の学習ポイントを指定するだけで、子ども達の考えたオリジナルキャラクターが出てくるストーリーが完成するようになりました。
子どもたち自身の発想が教材として形になったことに私自身とてもワクワクしましたね。
▼実際の教材
國廣(キャナルAI)
福山さんの理想の教材を作れるようになり、私としてもとても嬉しかったですね。
また、作業手順とプロンプトを整えたことで、今後は福山さん以外の方でも作れる形になっています。
やはり私たちがいなくなった後も、活用し続けていただくことが何よりも大事と考えています。
ーーアセスメント集計は、どのような仕組みに変わったのでしょうか。
福山様:
点数の集計から、講師コメントを含む個別レポートのPDF出力まで、サイト上で完結する仕組みができました。
生徒を追加すると施設・クラスが選べるようになっていて、点数を数字で入れると自動で平均点まで集計してくれます。
講師からのコメントも入力して保存すれば、一覧から欲しいPDFをすぐに印刷できる。しかも見やすくて可愛いデザインで仕上げていただきました。
▼実際の画面
國廣(キャナルAI)
また、他に良かったことは「他の先生にも作業を依頼できるようになったこと」です。
元々は関数スキルがある福山さんしかできなかった業務ですが、他の先生からも「これなら私にもできそうです!」と、前向きな反応をいただきました!
成果|工数の削減だけでない、理念の表現物へ
ーーオリジナル教材ができた時の子どもたちの反応はいかがでしたか?
福山様:
もうみんな大喜びで(笑)。
「これは自分のキャラクターだ!自分が読みたい!」と、びっくりするくらい自分から取り組むようになりました。
また、この業務も子どもたちの意見を聞いて、プロンプトに反映さえすればできるので、他の先生にも任せることができます。
誰か一人で負担するのではなく、みんなで子ども一人ひとりの可能性に寄り添える。この変化は効率化以上の成果だと感じています。
國廣(キャナルAI):
檸檬会さんは「子ども主体」を理念に掲げていらっしゃいます。
単に子どもが楽しめるものを用意することではなく、一人ひとりの興味や関心を捉え、その年齢や発達に応じた「もっと知りたい」「もっと学びたい」という気持ちを引き出していく。
AIを活用していただくことで、これまで先生方が大切にしてきた子どもたちの興味や発想を、教材という目に見えるカタチで表現できるようになった。
このことは、一番本質的な成果だったのではないかと、私も感じておりました。
ーーアセスメント業務の負担は、実際にどれくらい変わりましたか。
福山様:
数式を組み直す手間を考えると、半分くらいにはなったと思います。10~15時間かかっていたものが、5~6時間ほどになったイメージです。
私は責任者でもあるので、一つのレポートを出すことに時間が割かれていた状況が変わったのは大きな変化です。他の業務にももっと携われるようになりました。
また、「他の先生にも作業を依頼できるようになったこと」も良かったことです。
これまでExcelをあまり触ったことのなかった方にも「これなら私にもできそうです!」と言ってもらえて。今では現場のパートナーに委ねられるようになりました。
ーーキャナルAIからのサポートで、特に印象に残っていることは何でしょうか。
福山様:
私自身が手を動かす過程をずっと見守ってくださったことです。
私がよく忘れてしまって「あれ、どうでしたっけ」と聞いても、「大丈夫ですよ」と何度も寄り添ってくださいました。
単に方法をレクチャーする、完成品を代わりに作るのではなく、とにかくそこにいてくれたこと。それが何よりも心強かったです。
後日、成果物を共有したときも、我が事のように「素晴らしいです!良かったです!」と喜んでくださって。
同じチームとして仕事ができたという感覚がありました。
國廣(キャナルAI):
そう言っていただきとても嬉しいです。
私たちはあくまで黒子であり、主体はみなさまです。そのため、自分たちがいなくなった後のことも考えて、プロジェクトを推進してまいりました。
福山様:
このプロジェクトが終わった後も、「AIでこんなこともできるかもしれない」という視点で、業務や事業を見直せるようになったのが大きな変化です。
ーー今後、どのようなことに取り組んでいきたいとお考えですか。
福山様:
今はリズムに英語表現をのせた「チャンツ」をオリジナルで開発することにも挑戦しています。
鼻歌でリズムを入れてAIに読み込ませるという試行錯誤を重ねながら、だんだんとできるようになってきました。誕生日のお祝いソングを自分で作ってみたりと、データの取り入れ方にも少しずつ慣れてきています。
國廣(キャナルAI):
福山様が「自分たちらしさ」を大切にしながら一歩ずつ形にしていかれる姿は、私たちにとっても大きな学びです。
これからも、現場の想いに寄り添いながら、一緒に歩んでいくご支援を続けていきたいと思います。
▼みなさんと記念撮影