「個人の結果には敏感でも、チームには無頓着だった」 国立大野球部主将が、2人の「師」からインストールした「勝利へのOS」。
「良くも悪くも、個人で頑張ってしまう組織だったんです」
スポーツ推薦の強豪ひしめくリーグに所属する、唯一の国立大学。
世間からは「頭脳集団」というイメージで見られがちだが、主将のFさんは、チームが抱えていたある"欠陥"に気づいていた。
それは、「今日、自分が打てたかどうか」には一喜一憂しても、チーム全体の勝利やプロセスには無関心になりがち、という「個への偏重」だ。
彼を変えたのは、アチーバーズコーチが授ける「常識を覆すロジック」と、コーチと回し続けた「2週間の徹底的な実践サイクル」だった。
「自分がやらなきゃ」と背負い込みがちなリーダーが、思考と行動の両輪で手に入れた「経営者マインド」とは。
「個人」の集まりだった野球部
Achieversに参加する前、チームやご自身はどんな課題を抱えていましたか?
当時の僕達は、良くも悪くも「個人」で頑張ってしまうチームでした。
国立大の学生らしく、みんな真面目なので練習はします。
でも、関心があるのは「今日自分が活躍できたか」「自分の調子はどうか」ばかり。チームとしてどう勝つか、他人がどう動いているかには無頓着でした。
僕自身も、3年生までは思うような結果が出ず、苦しんでいました。
「やらなきゃいけない」とは分かっているけど、人間はどうしても楽な方に流されてしまう。自己規律や習慣化の面で、自分をコントロールしきれないもどかしさがありました。
そこからなぜ、このプログラムに参加しようと思ったのですか?
最初は、自分個人の「習慣」をどうにかしたい、というのが入り口でした。
でも、目標の立て方や振り返りのメソッドを学ぶ中で、「これはキャプテンとして新チームを作る上で、チーム単位で共有すべきOS(考え方の基盤)だ」と直感したんです。
個人の集合体ではなく、共通の言語と規律を持った「組織」にするために、このプログラムを導入することを決めました。
「理論」と「実践」の両輪で、脳みそを書き換える
プログラムでの学びは、どのように変化に繋がりましたか?
まず、講義で「思考の前提」がガラリと変わりました。
一番刺さったのは、「Have to(〜しなければならない)」から「Want to(〜したい)」への転換です。
今までは「練習しなきゃ」という義務感で動いていました。
でもコーチの方の「野球が好きだから、勝ちたいからやっているんだろ? ゴールが一番大事で、そこを目指せばやるべきことは自然と見えてくる」という言葉で、視界が開けました。
「言葉遣いで現実は変わる」という講義も、最初は「本当かよ」と思いましたが(笑)、論理的に腹落ちしました。
その「理論」を、どうやって定着させたのですか?
大きかったのが、コーチの佐藤航生さんの存在です。
講義でいい話を聞いても、人間はすぐに忘れて楽な方に流れます。
でも佐藤さんとの面談では、2週間ごとに『自分との約束』を決めて、それに嘘をつかずに取り組めたか、深く向き合う時間を作りました。
アチーバーズの講義で得た理論を、佐藤さんとの計画で強制的に実行に移す。
この繰り返しがあったからこそ、単なる「いい話」で終わらず、実際の行動が変わっていったんだと思います。
後輩に「言葉遣い」を注意されるまでの変化
その変化は、チーム全体にも波及しましたか?
はい。今では、僕がつい弱気な発言をすると、後輩から「それネガティブですよ」「マインド下がってますよ」と注意されるくらいです(笑)。
それくらい、学んだ思考法が文化として浸透してきました。
以前は「目標達成率(0か100か)」で自分たちを裁いていましたが、今は講義で教わった「成長率(以前より何%できたか)」で見られるようになりました。
これにより、失敗を恐れずに挑戦する空気が生まれ、以前のような「個人の結果に一喜一憂する」雰囲気から、「チームでどう成長するか」に向き合う組織へと進化しています。
リーダーの仕事は「一番働くこと」じゃなかった
プログラムや外部の方との交流を通じて、リーダー像に変化はありましたか?
180度変わりました。以前は「キャプテンだから、自分が一番動いて、全部やらなきゃ」と思っていました。
でも、プログラムのイベント(ネクストアチーバーズプログラムでは、学生と企業の人事・経営者が交流できる場を定期的に設けています。)で経営者の方々の話を聞いて、「それは違う」と気づかされました。
ベンチャーや中小企業の社長たちが口を揃えて言うのは、「リーダーの仕事は『やると決めること』と、部下に『任せること』だ」と。
一番上が忙しそうにして現場に介入しすぎるのは、むしろ組織として良くないことだと知りました。
それは大きなパラダイムシフトですね。
そうですね。それからは、自分一人で抱え込むのをやめました。
後輩に裁量を与えて任せ、自分は「決断」と「仕組みづくり」、そしてフォローに徹する。
「共感して一緒にやってくれる仲間」を徐々に増やしていく。
それが、僕たちが強豪ひしめくリーグで「勝ち点」を取るための、最短ルートだと今は確信しています。
最後に、かつての自分のように悩んでいる学生へメッセージをお願いします。
「現状を変えたい」と思っているか、思っていないか。全てはそれだけです。
いま上手くいっているかどうかは関係ありません。
少しでも「もっと良くしたい」「変わりたい」という気持ちがあるなら、まずはやってみること。
思考のOSを書き換えることは、野球だけでなく、これからの人生すべてにおいて価値ある投資になるはずです。